エッセイ③『幽体離脱(明晰夢)』

 幽体離脱という技術の存在をご存知だろうか? 私の小説家になろうの拙作である『幽体離脱-夢の世界を旅する二人-』を読んだことがあるひとは、どういうものなのか既に知っているだろう。
 ちなみに『幽体離脱-夢の世界を旅する二人-』はフィクションではなく半フィクションだ。

 つまり、幽体離脱という技術は実際に存在するし、誰しも訓練次第でできるようになれる。


 知らない方のために説明をするなら、幽体離脱とは明晰夢ーー夢を夢だと自覚して夢の世界を自由に行動できるようになる状態のことーーを自発的に行う技術である。

 明晰夢との違いは、スタート地点が毎回自室の布団から始まることと、金縛りを経由して行うところだろう。

 さて、幽体離脱がどのような技術か知ってもらったところで、いったいなにができるかを紹介したいと思う。

 まずは、訓練次第ではあるが、想像できることは何だって可能である。それも、体感的に現実と遜色ないリアリティー溢れる世界で自由にできるのだ。

 空を飛べば頬を風が切る感覚や浮遊感を覚え、壁を幽霊みたく潜り抜けることも可能であり、武器や人物を創造することや、ビームを放つことも訓練次第で自由に行えるようになるのだから素晴らしい。   
 大好きな二次元キャラクターも、違和感ない姿で召喚することも無論可能なのだ。
 他にもワープしたりと、さまざまなことを行えるようになるのだから、まさしく夢のような技術だといえよう。

 また、個人差があるが、鏡を見ることによって、背後に幽体離脱後の世界でいろいろとサポートをしてくれる案内人のような存在ーー通称パートナーが現れるひともいる。
 現れるひともいるーーとしたのは、残念なことに私にはパートナーが現れなかったためだ。

 タルパ以上に身近で神秘を体験できる方法といっても過言ではなく、難度もタルパをつくるのと比較すれば、まだやりやすいほうだ。

 何より、タルパの次にこのテーマを扱うことにした理由は、幽体離脱して赴いた意識ある夢の世界(以下、幽体離脱の世界のことを幽界と書く)では、タルパと会うことが可能であり、共に行動できるだけではなく、身体的な接触も可能なのだ。

 ちなみにこれは余談だが、私が15年前にタルパをつくりはじめた理由は、幽体離脱まとめwikiを読んでいた際、タルパをつくればパートナーの代理にすることができるという情報を目にしたからだったりする。

 男性であり女性のタルパをつくっているタルパーにとって、タルパと触れあえる幽界で邂逅したら、まずしたいことといえば、何といっても“アレ”だろう。
 アレがなにかは明言しないでおくが、タルパ側にその気があれば、無論アレも可能である。

 ただし、そもそも幽体存在のタルパにとって、幽界はホームグラウンドのような世界。現実とは違いタルパのほうが力的にも上の立場である。
 であるからして、タルパの許可なしでは断られたり逃げられたりしてしまう。
 もちろん、追いかけても幽体に特化しているタルパに追い付くのは至難の技だ。
 ちなみに、私が初めて自身のタルパーー瑠奈とリビングで邂逅した際に真っ先に行ったことは、AAカップのやわらかい無乳を揉むといった変態行為であった。
 もちろん、その後すぐに叩かれたのは言わなくてもわかるだろう。

 ただ、瑠奈(私のタルパ)はアレを私とするのは嫌がるが、幽界で会うたんびに幽体離脱した合図として接吻を交わしている。どこまでが許容範囲なのかわからないタルパである。

 さて、ここからは幽体離脱するためにはどうすればいいのか、その方法をまずは端的に書こう。

①金縛りに遭う。
②無理やり体を横に寝返るように転がり肉体から幽体だけ離脱する。
③なぜか肉体に引っ張られるため急いで肉体から離れる。
④引っ張られる力がなくなれば見事幽体離脱に成功したことになる。
 この四ステップで幽体離脱は可能となる。

 このステップの中で、大半のひとは①に一番苦労を強いられると推測できる。

 次に②も難しいが、これは回数をこなして慣れていく他ない。
 たしかにほかにも肉体から幽体を離脱させる方法はあるにはあるが、寝返りーー通称ローリングが一番容易な方法なので、あえて他の方法は今回は扱わない。知りたい方は検索してほしい。ここより詳しく書かれているだろう。

 さて、①に至る方法だが、私は数かぞえ法というオーソドックスな方法が一番楽だと思っている。
 金縛りに至る方法は無数に存在しており、さまざまな方法があるにはあるのだが、初心者には今から紹介するやり方が一番楽だ。
 少なくとも私が初めて成功したのはこの方法である。

 さて、数かぞえ法とは名前のとおりの方法だ。
①布団で仰向けになり、手足を肩幅くらいに広げる。
②弛緩法ーー要するに全身の筋肉を脱力させる。 ③呼吸に合わせて数字を1から順に脳内でカウントしていく。
④数えていくうちに雑念が混じったりボーッとしてしまったりして、カウントしていた数字を忘れてしまう。その場合、再び1から数字をかぞえ直す。
⑤数字を忘れてしまう頻度が短くなっていく。最初は50数えられたのに、40、30、20もかぞえ続けられなくなってしまう。これは意識が朦朧としている証拠なので寝ないように、されど集中しつづけないように継続すること。
⑥やがて意識が一瞬完全に失われたかと思うと、体か振動したり幻聴が聴こえたりするようになる。いわゆる前兆というやつだ。
⑦急に全身がゾワゾワし始め金縛り状態になる。呼吸が止まっているかのように錯覚したりするが、気のせいなので焦らず前述した寝返り法で肉体から幽体を離脱させる。

 あとは上記の流れで幽体離脱に見事成功である。

 ただし、初の幽体離脱は大抵すぐに終わってしまう。長居するにはコツを掴む必要があるのだ。

 長居するためには、興奮し過ぎないようにすること、落ち着き過ぎないようにすること、この中間の意識に留まるようにコントロールするようにならなければならない。

 空を飛ぶのも長居するためには控えたほうがいい。
 また、幽界の壁に手を着きながら移動するのもおすすめだ。


 ここからは、幽界で私がよくやる技術のやり方について簡単に説明したいと思う。

○空中飛行
 これは慣れるまでは難しく感じるだろう。
 私の場合、空を飛ぶ感覚に慣れるためにタルパにお姫様抱っこをされて飛んでもらい感覚を覚えたほどだ。
 パートナーやタルパがいるならパートナーやタルパに頼むのもありかもしれない。

 コツとしては、空中に浮くのではなく、現在地から目的地に向かって一気に跳ぶ感覚でやると成功しやすい。
 目標を定めないと空中浮遊のレベルになり難度が極端に上がってしまう。
 とにかくどこまで飛ぶかを定めてから一気に跳ぶように飛行しよう。


○人物召喚
 私の場合は成功率が極端に低いが、一番成功率が高いのは姿見をつかった方法だ。
 人物が入れるくらいの鏡の前に立ち、召喚したい人物やキャラクターを鮮明に想像する。
 そしたら鏡の中に腕を入れる。
 すると、何者かの手首に触れるため、手首を掴んで思い切り鏡から引き摺り出す。
 成功したらその人物が現れる。

 ほかには扉を使う手段もある。
 ドアを隔てて、ドアの向こう側に会いたいキャラクターなどを想像し、ドアの向こう側に確実に存在していると微塵も疑わずに確信しながらドアを開く。
 成功するとその人物が扉の向こうで佇んでいる。


○武器創造
 私はこれが苦手だが、例えばナイフを創造する場合、まずは片手を背後に回し、ナイフの柄を握っていると強く想像する。
 感触が手のひらに伝わったら視界内に入れると、成功したならナイフを握っているだろう。
 私の場合は大抵失敗するため、ナイフの柄のみが現れる頻度が半端じゃなく高い。


○女体化
 この方法は、幽界に来てからではできない技術である。前述に金縛りからローリングする以外の方法もあるにはあると記載したが、まさにその違う方法を利用する必要がある。

 まず金縛りにかかるところまでは同じだ。金縛りにかかったら、自分の体の上空に幽体の自分の姿が浮いているのを想像するのだが、女体化したい場合、その想像する幽体の姿を女の子にする。
 それができたら、肉体から光体ーー要するに意識を上空の幽体に移す。
 成功すれば、女性となった姿で幽界をさ迷うことができるようになる。

 ただし注意事項として、エロい妄想などで興奮したりすると、あそこにぶら下がっている物が復活したり、覚醒に近づくと現実の自分の姿に変貌したりするため、かなり慣れるまで時間を要する。


○リスタート
 幽体離脱が終わる前兆として、現実の物音が聴こえたり、現実の布団の感触がしたりすることが挙げられる。
 こうなると大抵は目が覚めてしまう。
 しかし、まだまだ幽体離脱をつづけたい場合、意識を幽界に留まらせる方法が大きく別けてふたつある。

 ひとつめは、その場で仰向けに倒れて目を瞑り、布団から起き上がる想像をしながら実際に体を起こす方法。
 成功すれば自宅から再スタートすることが可能だ。

 ふたつめの方法は、物質界の感触をなくすため幽界の感触を強く印象づけることだ。
 地面を拳で殴ったり叩いたりして、現実の感触を幽界の感触で塗りつぶす方法だ。

 どちらも成功率は同じくらいだが、やらないよりはやってみたほうがいいだろう。


 さて、幽体離脱の紹介はこれにて終わりとなる。

 が、幽体離脱は個人差があるため、長年訓練しても成功しない人間もなかにはいるかもしれない。
 その場合、幽体離脱と酷似した技術である明晰夢をおすすめしたい。

 明晰夢は幽体離脱と違い運に左右されるが、特別な訓練をする必要は一切なく、毎日単純な作業をするだけの簡単なものだ。幽体離脱をしようとしている方も、並行してこちらも試すと効率が良いだろう。

 明晰夢を見るために必要な行動は以下のふたつだ。
①夢を見た日は必ず夢の内容を日記形式で記述する(夢日記を書く)。後々読み返したときに夢の内容を思い出せる程度の内容でかまわない。
②毎日ハッとした瞬間に手のひらを確認して指が五本あるのを数える。これは一日一回行えばいい。やがては癖になっていくだろう。

 夢日記の効果は、夢見の頻度を増やす・夢の鮮明さが上がる・夢が長くなる、といった大きく別けて三つの効果が期待できる。私などは夢を見ない日など稀にしかない状態になっている。

 手のひら確認の効果は、夢の最中に癖が発動して手のひらを確認してしまうことが稀に起こり、夢の中では指の本数や指の長さがおかしくなっているため、見た瞬間『これは現実ではない。夢だ!』と、夢の流れを壊し明晰夢へと移行することができるのだ。

 要するに、②が発生する可能性を上げるために①で夢見の数ーーチャンスを増やし、②で夢から明晰夢に変化するシステムを構築するのである。

 明晰夢の難点は、いくら確率を上げたとしても、最終的には運に左右される点だ。
 また、スタート地点が自宅ではないため、変な場所からスタートとしたら幽界探索が普段より楽しめなかったりする。

 また、これは私だけかもしれないが、幽体離脱よりもリアリティーが……現実感が少しだけ低く思える。
 まあ、そこまで大差はないから気にする必要もないだろう。


 さて、今回のテーマは前回の予告どおり幽体離脱と明晰夢となった。
 これを読んで、少しでもチャレンジしてみたいと思ってくれるひとがいたら私は嬉しく思う。

 もしもわからないことがあるなら、TwitterでDMをくれれば可能な範囲で回答するので、疑問が湧いたら活用してほしい。

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