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釜山旅行#01.ソウルや大邱の市場とはまたひと味違った釜田商店街市場

 海や畑から収穫されて間もないだろう色鮮やかな食材たち、無尽蔵に積まれた個性あふれる雑貨の数々、エネルギッシュな人々の生活がリアルに感じられ、全体から「生きてるぞ~!」と伝わってくるような場所。

 それが市場です。

 ソウルからはKTXで約2時間半。釜山駅を出て茫洋とした青空を見上げると、思ったよりも近くに山が見えて驚きました。

 はて、釜山ってこんに長閑な街だったかな?

 釜山に来るのはこれで3度目で、過去2回は海雲台や港町を中心に回ったため、市街地にある市場を訪れるのはこれが初めてでした。 

KTX釜釜田商店街市場山駅前

釜田商店街市場(부전상가시장)

 地下鉄1号線の釜田駅から歩いてすぐの場所にある釜田商店街市場(부전상가시장)は、釜山で最も大きい規模の在来市場です。

 畜産物、鮮魚、果物、野菜、乾物、キムチ、塩辛、おかず類の他、食器、衣類、雑貨など、「無いものは無い」と言われるほど様々な食材と生活用品が揃った市場です。

◇◇◇

◆入り口からわくわくがいっぱい

礼儀正しく並べられた果物

 市場はきっとこちらの方角で合ってるはずと歩きながら見つけたこの風景は、まるで「正解!」と伝えているかのようです。

 商店街市場のアーケードが見えるか前から並ぶお店の数々。果物やパン、お餅、蜂蜜もあれば、日本では見慣れない乾燥させたゴーヤ(どうやって食べるんだろうか)やテジカムジャ(돼지감자、直訳すると「豚のじゃがいも」)と呼ばれるキクイモ茶などが売られていました。

 その中で一番目を引いたのは、巨大鍋で煮込まれるどじょうスープ(추어탕チュオタン)、ユッケジャン(육개장)、牛の鮮血を使ったスープ(선지국ソンジグク)、牛の酔い覚ましスープ(소고기해장국ソコギへジャングク)です。煮込めば煮込むほどに深みとコクが増すスープ料理。市場で売られているというだけで、さらにおいしそうに見えます。

乾燥したテジカムジャ(キクイモ)、なつめ、ゴーヤなど
パン!パン!パン!
お餅
左からチュオタン(どじょうスープ)、ユッケジャン、ソンジグク(牛の鮮血を使ったスープ)、ソコギへジャングク(牛の酔い覚ましスープ)

◇◇

◆海のゆかいな仲間たち

 魚介類が大好きな私にとって、市場の中でも特に欠かせないのが鮮魚コーナーです。

 さすがの釜山。

 海に面した街らしく、ソウルの市場よりも多い種類の鮮魚が売られている気がしました。見ているだけでも豊かな気分になります。旅行なので購入できないのがもったいない!

ワタリガニ
コノシロ、エビ、貝類など
ハモかな? 高級魚じゃないか~

◇◇

◆ご飯のお供には塩辛っしょ

 特に買う必要はなくても、どうしても探してしまうのが塩辛専門店です。

 イカ、テナガダコ、イイダコ、スケトウダラの腸、明太子などの塩辛が並んでいて、味見も可能です。

◇◇

◆野菜で見る地域の違い

 意外にも、野菜コーナーでソウルとの違いを見つけました。

 まず、ソウルだと外国人が多く通うようなスーパー以外ではあまり見かけないズッキーニが数多く並んでいました。代わりに、かどうかは分かりませんが、ソウルではどのお店でも売っているエホバク(애호박)と呼ばれるズッキーニに似た朝鮮カボチャはあまり見掛けませんでした。

 偶然かな?

多分「タダガオイ」と呼ばれるキュウリ

 そしてもっとも気になったのが、意外や意外、キュウリです。

 ソウルで見掛けるキュウリは日本のそれよりも大きめで、白っぽいです。初めて見たときは、日光不足じゃないかと思ったほどです。しかし、調べてみると、どうやらそれはタダガオイ(다다가오이)と呼ばれるキュウリだそうで、釜山の市場で売られていたのはカシオイ(가시오이)。

ソウルでよく見る一般的なキュウリ

 カシ(가시)とは棘という意味ですが、その名の通り棘が多く、深い緑色をしていて、サイズも大きかったです。例えるならば、ソウルのキュウリと日本のキュウリを足して2で割った感じ。ソウルと日本の中間にある釜山らしいキュウリです。

 同じ国で、しかも、そこまで国土が広いわけじゃないのに、地域によってこのような違いが見られておもしろかったです。

◇◇

◆実は気になる根菜類

 韓国も根菜類が豊富です。

 ゴボウやレンコン、長芋、山芋だけでなく、トドク(더덕)やトラジ(도라지)と呼ばれる韓国ならではの根菜類も売られていました。他にも、初めて見る小さなサツマイモのような形のヤーコン(야콘)というものもあったりして、楽しかったです。

◇◇

◆韓国らしい唐辛子の山

 いつ見ても、唐辛子の山は見応えがあります。韓国っぽいなあとしみじみ思う市場の風景です。

 もちろんこの状態でも購入できますが、分量を伝えて粉末状にしてもらうことも可能です。

◇◇

◆荷台販売?

 キュウリの次に気になったのが、この荷台販売です。

 市場を歩いていると、鮮魚や野菜、果物を荷台に乗せて運ぶ人たちを所々で見掛けました。ソウルの市場では一度も見掛けたことがなく、最初はただ食材を移動しているだけだろうと思っていたのですが、どうやらこれで販売しているようでした。荷台にはそれぞれ番号が付けられていて、場所が無くても商売ができる良いアイディアだなと思いました。

◇◆◇◆◇◆◇

 やはり市場にはその土地ならではの特徴と生活感が溢れ出ていて、とても惹き込まれました。活気ある人々と豊かな食材に、エネルギーを貰った気分です。

 ただ唯一残念だったのが、思ったよりもディープさが強くなかったこと。

 数か月前に行った大邱があまりにも強烈だったので、釜山の市場はもっと混沌としているはずと思っていましたが、意外にも市場の人々は柔らかく、言葉も大邱弁ほどに聞き取れないことはありませんでした。

 ま、それでも十分楽しみましたけどね。


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