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<MBTI>N型はなぜ生きづらいのか?理由について説明する

 16タイプ界隈の1つの定説として、「N型は生きづらい」というのがある。もちろんN型にも強みはたくさんあるし、有効に活かせればS型の及ばない高みに至ることも可能だ。しかし、現実の問題として生きづらさを抱える人間は多いようだ。私もN型特有の性質故に苦しんだことは多い。今回はN型の抱える問題点について徹底解説したいと思う。

環境適応能力が低い

 S型とN型には大きな違いがある。S型は現実の世界に生きているが、N型は想像の世界に生きている。これがN型の生きづらさの一つの要因になっている。

 S型は自分の置かれた状況を所与のものとして自明視する。要するに環境に染まっていくということだ。男性は男性らしく、女性は女性らしくするものだと思っているし、先輩後輩関係に関しても厳格だ。「なぜか?」ということは考えない。「みんなやっているから」そうしているのである。

 一方でN型はそうは考えない。N型にとっては自分が日常を過ごしている環境は自明のものではない。「実は別のやり方があるんじゃないか?」とか、「10年後は変わっていくんじゃないか?」と考える。N型は慣習や社会的役割から自由な人が多い。こうした性質は強みにもなる。常識に囚われない革新的な発想を産んだり、日常の環境を共にしていない相手とも仲良くなることができる。

 こうした違いを前提とするとS型の強みが分かる。S型の方が置かれた環境に対する適応能力が高いのだ。場の空気を自明視して疑わないし、環境に対する観察力も強い。環境を異にする相手とのコミュニケーションはN型の方が得意だが、環境が同じ相手とのコミュニケーションはS型の方が得意だ。語学で例えよう。シェイクスピアに詳しいのがN型とすれば、実際に日常会話ができるのがS型だ。旅行に行ったときにどちらが強いかは明らかだろう。

 こうしたS型の性質は集団に対する適応度を高めている。小学校を思い返してみれば良い。N型にとって小学校は次世代を教育する夢の機関であり、無邪気で楽しい思い出の詰まった場所かもしれないが、少し思い返してみればそんな天国のようなところではなかったことは分かるはずだ。実際の小学校とは均質性が極端に高い環境であり、同調圧力や空気の読み合いが激しい場所だ。このような場面では環境適応能力の高いS型が優位であり、N型は悩みを抱えることが多い。スクールカーストは総じてS型の方が高めだ。

組織に向かない

 これはすべての人に当てはまるわけではないし、組織やその人の役職・スキルにもよるのだが、総じてN型は組織に向かない傾向がある。特に組織が大規模で、統制が厳しく、役職が低いほどその傾向は強まる。この原因も前に述べたS型とN型の違いに起因している。

 個人や小集団がヨットだとすると、組織というものは巨大な空母のようなものだ。行き先を勝手に決めることはできないし、乗組員が一糸乱れぬ連携をする必要がある。組織人にとって大切なことは上から言われたことを言われた通りに実行することだ。組織人の本質とは組織に命じられたことを一生懸命頑張ることであり、それが自分の目的に適っていると信じることだ。N型のように自分の考え方がはっきりしており、それを表現することを喜びとする人種は組織にそこまで向いていないだろう。

 組織にN型が不要という訳では無い。しかし、N型の特性を生かせる部門は上層部や専門的な部門などの一部に限られていて、その他の定例業務は基本的にS型の方が向いている。少数のN型と多数のS型という構造が一番組織として強靭だ。N型は船で例えるなら船頭だ。「船頭多くして船山に登る」ということわざの通り、N型が多すぎる自体は避けなければならない。裁量のあるポストに就けなかったN型は「会社の経営陣は〇〇すべきなのに〜」といった評論家的な言説を酒の席で愚痴る。こうした言説は組織の一体感を破壊するので好まれない。

 N型の性質が強い業界は総じて組織化の程度が低い。例えば教育がそうだ。大学教授はもちろん、学校教師や塾講師であってもオリジナルのやり方にこだわる人が多い。膨大な量の独自教材を用意してくる人が多く、優秀な人ほどその傾向が強い。学習指導要領を堂々と無視する人もいる。マニュアル仕事・ジョブローテ・マイクロマネジメントといった概念は教育関係者には苦痛極まりないだろう。他にも政治家や作家など、N型の性質が強い業界は総じて組織化の程度が低く、個人事業主の寄り合い所帯となっている。逆に高度な組織化が必要な軍隊や鉄道は、S型か少なくともS型に合わせられる人間を好む。

 余談だが、組織化の程度が高いのに構成員がN型ばかりという集団がある。一部の閉鎖的なアカデミアやエリート組織が該当するかもしれない。最も分かりやすいのが共産党だ。この手の組織は反発するマグネットを無理やり輪ゴムで束ねている状態だ。したがって激しい内部紛争と権威主義的な閉塞感が蔓延しているケースが多い。N型はやっぱり組織化の程度が低い業界の方が幸福に暮らせそうである。

考えすぎる

 これもN型の生きづらさを下げる要因となってしまうだろう。特にIN型に顕著だ。N型はたしかに思考能力が高いし、想像力豊かだ。それが仇となって嫌なことを考えすぎてしまう。仮に成功したとしても「この先自分はどうなるんだ」とか「人生の意義とはなんだろう」と思い悩んでしまう。芥川龍之介も太宰治もきっとこうやって自殺したのだと思う。

 その昔、かなり残虐だが、サルの脊髄を破壊する実験が行われたことがある。しかし、サルはそれによってストレスを感じることはなかった。むしろ毎日楽に餌がもらえて快適だと考えていたらしい。人間では考えにくい発想だ。どうにも人間特有の豊かな想像力が憂鬱を招いてしまうようだ。N型とS型の違いもこれに近いだろう。N型は想像力が高いがゆえに想像上の存在に対して恐怖してしまうのだ。

 この想像上の恐怖というのは非常に厄介だ。幻肢痛と同じだからである。例えば「同僚の〇〇さんが嫌」が悩みであれば、移動を待つとか関わりを避けるという解決策が取れる。しかし「30年後が不安」といった悩みは解決しようがないだろう。N型の考えがちなこの手の悩みを取り除くのは困難であり、N型の生きづらさを助長している。「杞憂」の由来となった古代中国人はきっとN型だと思う。

 N型は日常に関しても懐疑的だ。S型は毎日安定してうまいもの食べて暮らせれば、それ以上なにも考えることはないが、N型はそんな状態でも閉塞感を感じて病んでしまうことがある。実際に周囲を見ても、イケメン・優秀・コミュ強という完璧人間が悩みを大量に抱えているケースを多々目撃した。彼らが何を望んでいるのか私にはうかがい知ることができなかったが、N型特有のモヤモヤした何かが存在するのだろう。

 N型は思考が環境から独立しているという特徴がある。何十年も前のことが昨日のことのように精神に影響を与えている。思考が時間軸を簡単に飛び越えるのだ。したがって目の前に存在しない遠くの人間に対する劣等感や恨みで憂鬱になってしまうことがある。N型の悩みは単純に「しつこい」とも言いかえられるかもしれない。

N型はつらいよ

 N型がS型に劣っているとは思わない。N型はN型なりの強さがあるし、それを使って幸福になる人間は多いはずだ。また、対人比較による劣等感や理想と現実のギャップはS型にもN型にも共通して存在する。

 N型が明らかにS型に比べて劣っている点は以上の3つに集約されるだろう。環境適応能力の低さ、組織に対する相性の悪さ、そして無限の思考ループである。

 N型が不得意なのは、一言で言うと保守的なムラ社会だ。農村・小学校のクラス・高度に組織化された大企業など、他人から与えられた環境の中で適応することが求められると、N型はかなりしんどい。逆に自分から積極的に繋がりを作っていくことを求められる場所ではN型は強みを発揮する。ルソーの一般意志と似ているが、集団と大勢の個人は違う。前者を得意とするのがS型であり、後者を得意とするのがN型なのである。

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