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地球上で最強の兵器、「MIRV搭載型弾道ミサイルを配備した原潜」について

 筆者はミリオタでは決してないのだが、やはりオタク趣味の男子あるあるで、武器・兵器に対する興味は強かった。筆者が小学生の時に書いた自作ライトノベルはNBC兵器の話でいっぱいである。星新一の本に核兵器ネタが沢山乗っていたという理由が大きいが、やはり人類の生み出した最強の力というのは魅力を持つのである。

 さて、実際に地球上で最強と言える兵器は何だろうか。結論から言ってしまうと、MIRV搭載型弾道ミサイルを配備した原子力潜水艦である。

 最強の兵器として有名なのは旧ソ連が生み出した水爆のツァーリボンバかもしれない。威力はなんと50メガトン、広島原爆の5000倍の威力となる。これほど強力なので、ネット上でも良くネタにされることが多い。

 しかし、威力が強ければ良いという問題ではない。単発の爆弾の場合、どうしても効率が悪くなる。重すぎて持ち運びが難しいし、垂直方向に向かう衝撃が無駄になってしまうからだ。それよりも中規模の水爆を散弾銃のように撒き散らした方が効率がいい。300キロトンくらいの核弾頭が10個ほど搭載されたMIRVという弾頭がある。目的地のはるか上空で分裂し、クラスター爆弾のごとく地域を焼き尽くす。こちらの方がツァーリボンバよりも遥かに効率的だ。

300キロトンの核兵器を東京に投下した場合

 次に問題となるのは輸送装置だ。当初の核兵器は自由落下爆弾だったため、爆撃機によって運用されていた。現在でもこのタイプの爆弾は配備されている。しかし、爆撃機よりも強力なのは大陸間弾道ミサイル(ICBM)だ。ICBMは射程が一万キロ以上に及び、最近は地球を一周できるものもあるらしい。発射と共に宇宙空間に射出され、マッハ10で大気圏に突入するため、迎撃が困難だ。潜水艦から発射されるものはSLBMと呼ばれる。米ソ冷戦時代には両国がお互いの中枢部を攻撃するために多数のミサイルを開発した。

 最後に発射基地の問題がある。通常のミサイルサイロはすぐに衛星で特定されてしまうため、核戦争が開始すれば真っ先に攻撃対象となる。列車で発射装置を移動させるスタイルもあるが、やはり完璧とは言えない。最強は原子力潜水艦である。レーダーで探知不能であるばかりか、自由に位置を移動できる。原子力潜水艦ならば燃料補給のためにいちいち寄港する必要がない。原潜は攻撃不能であるため、相互確証破壊には必須の存在である。

 米ソの核開発競争はMIRV・弾道ミサイル・原潜の三点セットが完成した時点で終了した。これ以上強力な兵器が思いつかないからだ。この時点で相互確証破壊は完成したと言えるだろう。もはやアメリカもソ連も相手の核兵器を破壊することが叶わなくなったので、核戦争の回避が共有の目標となった。

 星新一の有名作である「午後の恐竜」はこの地球上最強の兵器が頭のおかしい館長の手によって乱用される恐怖を描いた作品である。先程のシミュレーションだとMIRVは700万人ほどを殺せるらしい。それを20発も原潜に積んでいたら、潜水艦一隻で日本の全人口を殺害できることになる。実際は大都市だけに人口が済んでいるわけではないので難しいだろうが、非常に恐ろしい事実だ。

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