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京大医学部VS筑駒、どちらが難しいのか

 今回は学歴考察のうち、通常は比較できないと考えられている二者を比較してみたいと思う。日本最高の頭脳集団が東大理三であることは間違いない(学歴を基準にするならの話だが)。ところが、2番手となると、意外に難しい。東大理三はその特殊な性質によって日本中の天才を引き付けるが、それ以外の学科は志望や居住地によって大きく進路が別れるからだ。今回は異種格闘技として、日本で二番目の頭脳集団を決める戦いを考えてみたいと思う。

 日本で二番目に難しい大学は京大医学部だ。これは間違いない。対抗馬として考えられるのは、中学受験の最高峰として知られる筑波大学附属駒場である。灘と筑駒のどちらが難しいのかは議論があるが、ここでは筑駒をエントリーさせたい。理由は後述する。日本で二番目に頭の良い集団はどちらなのだろうか。

 ここで母集団を考察する必要がある。日本の学力上位層の分布を知れば良い。まずは居住地だ。東大生の出身地を見て考察しても良いが、この場合は地方の医学部志向の強い進学校が埋もれてしまう。東大理三の出身校を見ていると、関東が50%・関西が25%・その他が25%のようだ。これはこのまま日本の学力上位層の分布と考えてよいだろう。理三受験に特化した特定の進学校や塾の影響を受けている可能性が否定できないが、人口構成や東大生の出身地などを踏まえるとあまり違和感もない。

 次に志望先だ。以前の記事で日本の学力上位層の志望は東大文系・東大理系・医学部が25:50:25で分かれることを論じた。ただし、東大理三は特殊な性質により、必ずしも医学部の枠には当てはまらない。京大医学部の場合は更に厄介だ。理一から生徒を引き付ける力は理三ほど強くはないが、それでも一定数存在するだろう。

 中学受験人口だが、ここで取り上げている筑駒は中学と高校の両方で生徒を募集している。人数比は中学120人・高校40人だ。今度記事d触れたいと思うが、首都圏上位層の中学受験組と高校受験組の人数比は3:1と思われるため、両者は均衡している。中学受験人口の問題は考える必要がなさそうだ。

 最後に男女比だ。東大の男女比は8:2だ。これは東大理三も同様である。地域差があるのではないかとも思ったが、そこまででもないようだ。したがって地域に寄らず学力上位層の男女比は8:2と考えることにする。

 京大医学部は全国上位何人の範囲なのだろう。京大医学部の特徴は西日本の人間しか進学していないことだ。全国の半分を占める首都圏の上位層が全く参戦していないのである。したがって、京大医学部の難易度はこの一点を取っても東大理三に大きく差を付けられている。次に医学部志望者の割合だが、京大医学部はその特殊なブランド力により、25%よりも多くの受験生を惹きつけていると考えられる。割合の算定は難しいが、50%としよう。こうなると、京大医学部の受験層は全国の25%ほどとなる。この内最上位層の30人ほどは東大理三に行くので京大医学部に行くのは次の100人だろう。計算してみると、京大医学部に合格するには全国上位500〜600位の天才であれば良い。

 筑駒はどうだろうか。筑駒は受験層が首都圏に限られる。その上、学区があるため、実際の母集団は更に狭い。首都圏の上位層は50%を占めるが、このうち筑駒学区内の人間は30%〜40%くらいだろう。しかも男子に限られる。こうなると、筑駒の160人は全国上位500人〜600人と考えられる。

 ん?意外に拮抗しているぞ??実は京大医学部と筑駒の難易度は良い勝負だったのかもしれない。両者は同じくらい天才ということだろうか。ただ、立地と進路の関係で、著名人は筑駒の方が多い。黒田東彦とか植田和雄は本当に頭が良さそうだ。

 もちろん京大医学部に受かる偏差値があるけど阪大医学部に行ったとか、筑駒に受かる偏差値があるけど開成に行ったという人もいるだろう。ただ、考察の都合上、こうした人間は省略するものとする。

 ちなみに他の学校のレベルも計算することができる。灘のレベルは全国上位1100人くらいだ。越境入学を考えると上位1000人だろうか。首都圏と関西圏で人口が違うこと、灘のほうが定員が多いことによって、筑駒とは結構差が開いている。開成は上位1400人で、実は灘の難易度は筑駒と開成の中間ということになる。これはSAPIX偏差値などでも裏付けられる。

 東大文一は上位1600人である。開成と同じくらいのレベルである。両者は同じく400人であり、感覚は近いかもしれない。ネームバリューなども考えると、開成と文一は思いの外、類似した立ち位置の可能性がある。開成で上位20番であれば理三に進学できると思われるが、文一の上位20人も理三に合格できそうだ。やはり両者は近い。

 阪大医学部は上位1600人という計算になる。思いの外、低い。流石に阪大医学部が東大文一と同じレベルということは考えにくいが、一応計算上はそうなる。灘中の難易度は阪医以上・京医未満であり、こちらは妙にしっくり来る。

 東大の難易度は全国上位4000人、桜蔭は全国上位3000人と思われるので、桜蔭の方がやや東大よりも難しい。開成とは結構差があるが、その割に進学実績は追いつかれている。明らかに東大の難易度を上回っている進学校は超進学校四天王(筑駒・開成・桜蔭・灘)だろう。もしかしたら附設や東大寺も上回っている可能性があるが、ここはなんとも言えない。

 東大にいると麻痺してしまうのだが、有名高校の出身者は有名大学の出身者よりも遥かに希少である。早慶旧帝辺りの大学であっても、有名中高一貫校の出身者は少数派だ。超進学校出身者の希少度は東大生をも上回っている可能性が高い。比較対象はどちらかというと旧帝医学部だろう。

 もはや首都圏では中学受験の激しさは大学受験を超えており、日本一ハードな競争となっている。それだけの受験戦争を乗り越えた天才であっても多くは東大に落ちるのだから、恐ろしいものだ。

 

 

 

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