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<空想科学>御坂美琴のレールガンは雑魚すぎる!!!

 筆者が中学生のときにどハマリしていたライトノベルが「とある魔術の禁書目録」である。姉妹版の「とある科学の超電磁砲」もかなり愛好していた。少なくとも、旧バージョンは全巻読んでおり、アニメも全話視聴している。今では昔の作品になってしまったが、当時は間違いなく一番人気のラノベだったし、御坂美琴はラノベ界で一番人気のヒロインだった。もちろん筆者もファンだった。厨二病全盛期の筆者は「強い女」系ヒロインが大好きであり、電磁気使いという魅力的な能力設定もまたツボに入った。

 そんな御坂美琴の必殺技が「超電磁砲」である。ゲーセンのコインを電磁気で高速で発射し、対象を貫くというものだ。発射と同時にコインは摩擦で燃え尽きてしまう。そういう設定だった。しかし、この設定はどうにもおかしいところがある。今回はそういった話である。

 運動する物体のエネルギーは$${\frac{1}{2}mv^2}$$で表される。速度の二乗に比例してエネルギーが大きくなっているので、銃弾のように高速で発射される物体は小さいサイズにも関わらず、人体を破壊するエネルギーを持つのである。

 御坂美琴のレールガンはゲーセンのコインをマッハ3で発射するという。ゲーセンのコインの材質は不明だが、10円玉と同じ4.5グラムとしよう。この場合、エネルギーは2340ジュールという計算になった。

 これはどれくらいの威力になるだろうか。米軍のアサルトライフルであるM16に使われる5.56mmNATO弾の威力は1700ジュールほど、狩猟に一番よく使われる7.62mmNATO弾の威力は2500ジュールである。

 え?レールガン弱くね???

 猟銃よりも弱いじゃん?!?!

 7.62mmNATO弾の重量は10グラム、発射速度は秒速800mほどなので、レールガンよりも遅い代わりに弾頭が重いということになる。御坂美琴のレールガンは普通のライフル弾程度の威力だったのだ!!

 更にいうと利便性は普通のライフル弾以下だ。ゲーセンのコインは空気抵抗を受けやすいため、射程距離はかなり短いだろう。打ってもすぐに軌道を外れてしまうはずだ。レールガンの発射頻度は毎分8発だが、アサルトライフルであれば簡単に連射可能だろう。となると、御坂美琴の必殺技は山上容疑者の手製の銃程度ということになる。

 作中のレールガンの威力を考えると、流石にあり得ない。どうも作者は熱膨張は知っていてもあまり理科を知らなかったのではないかと思われる。御坂美琴のレールガンの威力は自動車を吹き飛ばすくらいであり、どう見ても計算結果の1000倍はあるはずだ。御坂美琴のレールガンは実際はマッハ100程度ではなかろうか。秒速34キロメートルという異次元のスピードである。航空機の「熱の壁」はマッハ3辺りにあるから、余裕で燃え尽きるだろう。

 このレベルの速度で発射された物体として有名なのはこれだ。

 レールガンよりも2倍程度速い。どうにも大気圏で燃え尽きてしまったと言われている。これがもし球形だったとすれば、宇宙空間に到達して彼方へと消えていったかもしれない。マッハ100で発射する能力があれば、十分に科学者が喜ぶような異能の力である。

 ここでレールガンについて新たな説を思いついた。レールガンが通常の物理攻撃であれば、上条当麻は幻想殺しでレールガンを止めることはできないはずである。ということは、御坂美琴のレールガンは単にコインを打ち出しているのではなく、マッハ3で電磁気力の塊のようなものを打ち出しているのかもしれない。コインは塊の芯にしかならないということだ。こうなると、レールガンが60mで突然消えてしまう理由も説明できる。実際のレールガンはこのようなものなのだろう。

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