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<MBTI比較㉑>INTPとINFPの違い

 今回はINTPとINFPの比較である。両者は16タイプに興味を持つことが多く、比較的関心の高い比較だろう。両者はじっくりものごとを考えるのが好きで、マイペースであることが似ている。また、興味の幅も非常に広い。その反面、集団や権威といったものへの従属性に乏しく、スクールカーストのようなものでは不利になりがちだ。

 何かと似た立ち位置の両者だが、やはり少しずつ違いは現れている。

INTPは科学寄り、INFPは文芸寄り

 INTPとINFPの共通点として知的好奇心の深さが挙げられる。しばしば両者は非常に博識で、高度な知見を持っていることが多い。両者にとっては知識を深めたり、それらを応用して新たな考えを生み出すのはライフワークである。

 ただし、両者の関心分野は異なる。INTPは自然科学のような理系分野を好む人が多く、政治経済といった物質的に捉えられるものへの関心も強い。コンピューターに詳しい人や、建築に詳しい人もいる。好む小説のジャンルはミステリーやSFだ。

 これに対してINFPはかなり志向が文芸寄りだ。INFPは純文学や詩といったものへの興味が強い。人文系の学問はINTPとオーバーラップするが、着目点はややズレているかもしれない。INFPはガチ理系の分野に興味を持つことは少なく、そもそも学術的なアプローチが好きでは無かったりする。

INTPは勉強が得意で、INFPは月並み

 人にもよるが、INTPは勉強が得意な人が多い。彼らの知的好奇心は強いし、学術的な見方との相性が良い。また、INTPは競争心がそこそこあるので、成績で張り合うところもあるだろう。

 INFPの勉強面は並みだ。ものすごくできる人もいれば、ものすごくできない人もいる。INFPはそこまで勉強面での強みは発揮できない。国語が得意という人は多いかもしれない。

 結果として、「オタク」と呼ばれる人種の性格タイプは普通はINFPが一番多いのだが、進学校ではINTPの方が圧倒的に多い。

INTPは図太く、INFPは繊細

 両者の大きな違いだろう。INTPは他人に興味がなく、自分が面白いと思ったものにだけエネルギーを投下したがる。他人の気持ちに関しても鈍感で、我を貫くことが多い。INTPも対人関係の悩みを抱える事が多いが、これはINTPの内向性と協調性の無さが原因となっていることがある。

 INFPは遥かに繊細だ。INFPは他人の気持ちにも自分の気持ちにも敏感で、少しのものごとを深く考え過ぎてしまうことが多い。ISFPと比べても敏感のようだ。INFPは自分の心が傷ついていることをメタ認知するし、それを他人に対して発信するのが好きだ。また、INFPは職場のようなところではほとんど自己開示しないので、周囲が気づかぬ内にストレスを抱えることが多い。

 要するに、INTPが人間関係の悩みを抱えている時は見るからに孤立していたり衝突していることが多いのだが、INFPが人間関係の悩みを抱えている時は、周囲はほとんど気づかないのだ。

INTPは大半がオタク、INFPは人による

 INTPはオタクだ。ここに例外は少ない、INTPは見るからに見分けやすいし、ミスタイプすることも殆どない。あったとしてもINTJだ。INTPの気質はテンプレ化しやすく、曖昧なことは殆どない。

 INFPの気質は外観からは見分けにくい。INFPは社会に適応していく内にいくつかの擬態形を作っていることが多く、その内容は千差万別だからだ。「これがINFP」というテンプレを挙げることは難しいし、あってもごく一部だろう。INFPは腹を割って話せば大体INFPだと見分けが付くのだが、会社の日常では難しいかもしれない。

INTPは知識を重視し、INFPは共感を重視する

 これまた大きな違いだろう。INTPは知識を好む。SF小説やサスペンス小説を好むのと同様に、図鑑とか百科事典といった類いも好きだ。論文を読んだり、専門書を読んだりする人もいる。ものごとに突き抜けて詳しかったり、とんでもない特技を持っているケースがある。

 INFPはより共感ベースで物を考える。結局のところ知識自体には本質的な価値がなく、それを手がかりに自分や他人がどういう気持ちになるかを重視している。INTPから見ると、INFPの考えていることは多分にエッセイ調に見えるだろう。

 INTPもINFPも自分のやりたいことが中心で価値観が回っているが、INTPはテーマに焦点が当てられているのに対し、INFPは心理に焦点が当てられている。新しく趣味として陶芸を始めたとして、INTPは壺それ自体に興味があるのに対し、INFPは陶芸を通して人と知り合ったり、自分の心が研ぎ澄まされたりといった面を重視する。

INTPは議論好き、INFPはそこまで

 ENTPほどやたらめったらではないが、INTPも考えていることはにているので、議論は好きだ。INTPが議論をしていないのは単に興味関心を共有する相手がいないからだ。INTPは知識を披露し、それらを組み合わせ、新たなアイデアを作ることを楽しみと感じやすい。

 INFPもある程度は議論が好きだが、それでも共感の方が優先だ。自分や他人の価値観を理解し、相互に尊重することを重視する。ただし、こうした会話もまたINTPと同様に会社のような場所では行いにくく、INFPは居場所を求めて常に葛藤することになる。

 INTPは真偽を重んじ、INFPは善悪を重んじるという。両者の価値観の違いが露骨に出ている。INTPは気分を害した時でも正論であれば我慢して受け入れるべきだと考える。INFPはそもそも価値観に興味があるので、相手の気分を害することは避ける。仮に自分の考えを押し付けたい時は論破よりも感化試みるはずだ。

INTPはモテない、INFPは個人差が大きい

 INTPはモテない。恐らく全タイプで一番だ。INTPが興味を持つ項目はことごとく恋愛との相性が悪い。一般にイメージされる「理系オタク」を考えればわかりやすいだろう。それにENTPのような無謀さも無いので、ますますモテからは遠ざかっていく。

 INFPの場合は異なる。INFPは見るからにオタクというタイプもいるが、別のタイプに擬態している者も多い。また、ややダサいとはいえ、INTPよりはマシである。INFPの趣味は人との交流を重んじているため、そちらの方面でモテい繋がる可能性もある。INFPは人の心理を察するのがうまく、環境を形成する能力も高いため、ニッチではあるが、モテには繋げられる印象である。

まとめ

 今回はINTPとINFPの違いについて論じた。両者の共通点が多いが、決定的な違いは興味の対象がモノかヒトかである。INTPの好きなものは物質的か、人間に関わるものであってもアプローチはあくまで客観的であることが多い。したがってINTPの話は芸術論とか、社会科学といった雰囲気を帯びる。INFPはより共感を求める。自分の気持ちを表現したり、他者の表現を感じ取ったりという姿勢を好む。INFPの話はエッセイや詩といった雰囲気を帯びる。

 両者共に思慮深いことには変わりがないが、INTPは思考それ自体を好むのに対し、INFPは何らかの形で人生と結びついているだろう。ニュートン力学のような人生と結びつけようのない分野はINTPの独壇場だ。INFPは思索を通して人生のあり方や人間関係のあり方を考えていくことが多い。INFPは人の価値観を覗くのが好きだが、INTPは「知らんがな」という感じになる。

 両者の違いは人間関係のあり方にも現れる。INTPは合理性を重んじるが、他人の感情には無頓着で、しばしば反感を買ったり意見が指示されなかったりする。INFPは一見合理性を欠いているように見えるが、自分や他人の気持ちという観点で見るとある意味で最適化されているかもしれない。INFPにとっての問題解決とは、心の問題解決なのだ。

おまけ:新世紀エヴァンゲリオンはINTP的かINFP的か

 ニッチな需要でありながら、平成を代表するアニメ作品となったのが新世紀エヴァンゲリオンだ。この作品は複雑に散りばめられた考察要素やほうぼうに使われた学術用語によって注目を集めた。

 私は以前はINTP的な興味でエヴァを視聴していた。したがって興味の対象は作品の伏線の考察ということになる。サードインパクトの構図とはどうなっているのか、アダムやリリスとは何なのか、綾波レイは使徒なのか、といった具合だ。もちろん「セフィロトの樹」や「ターミナルドグマ」といった用語にも興味津々だった。エヴァQに至っては未解明の謎があまりにも多すぎて、10年に渡って考察サイトにのめり込むことになった。

 しかし、こうした見方は恐らく本質からはズレていた。エヴァはINTPではなく、INFPの物語だったのだ。エヴァや使徒といった謎の考察は単なる舞台装置でしかない。町並みやミサイルといった装飾品だ。エヴァとは主人公や周囲の人が抱える心の問題や人生の苦悩を描いた作品であり、その答えは出そうにない。エヴァQで描かれていたことは空白の14年間の出来事それ自体ではなく、14年間のブランクを経て人間が社会の動きに置いていかれた喪失感だった。シンエヴァにおいても人類補完計画は副次的な役割でしかなく、本当に大切だった内容は主立ち直った主人公たちが未来に向かって歩みだしたことだった。エヴァという作品はINTP目線では難解極まりなく、伏線回収を放棄した作品なのだが、INFP目線だと実に理解しやすい作品なのである。


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