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<MBTI>NT型・NF型・ST型・SF型と議論適性について

 筆者はENTPを自称しているのだが、この性格の例に漏れず議論が大好きである。筆者が仲の良い友人と合う時は会話は全て議論ベースだ。人生の悩まいだろうが、国際情勢だろうが、とにかく議論である。別に相手を論破したいとか、自分の正しさを広めたいということではなく、単純にそういったコミュニケーションというだけだ。別に勝ち負けとか優劣はない。しいて言えば議論の地平線を広げられる人間が話していて心地が良い。

 ところがこうした習性はENTP・INTP以外の性格タイプにとっては自明ではない。NTP型の議論スタイルは場合によっては顰蹙を買うようだ。今回はタイプ別の議論適性を考えてみよう。

NT型

 NT型はとにかく議論が好きだ。物事について色々な可能性を思い浮かべるのが好きだし、共感を相手にそこまで求めない。それよりも素晴らしいアイデアを持っている人間を肯定する傾向がある。それがNTという人種であり、知識人の多くもNT型によって構成されている。

 ところが、議論適性はNTPとNTJで結構違うように思える。NTPは単に目的もなくアイデアをポンポン出すのが好きだ。ENTPは日常そのものがアイデアの宝庫だし、それを人に話したり実証したりするのも好きだ。INTPはここまで外向きではないが、それでも思考回路は似ているので、自分の仲の良い人間と興味のある話をする時は活発に議論をする。両者の違いは「好戦性」くらいだろうか。NTP型にとって議論はコミュニケーションの一つであり、世間話やユーモアと同じ意味合いを持つ。

 ところが、NTJ型はNTP型のように議論をする訳では無い。NTJ型は論理の一貫性を重んじるし、権威主義的な傾向が強い。自分の指針に合っているかどうかを第一に重視する。NTJにとってアイデアとは自分の進むべき方向を決める指針であり、二転三転とコロコロしては困るのだ。NTJにとってはN型特有の抽象的志向はイデオロギーのような響きを持つ。

 したがってNTJ型の議論はNTP型のような単なるコミュニケーション目的とはならない。NTJ型は議論に参加しても、自分のイデオロギーを熱弁しようとする傾向が強い。その態度は強情で押し付けがましいとも言えるし、真摯とも言える。NTJ型が相手の意見に耳を傾ける時は基本的に結論を出す時だ。相手のアイデアが自分の進むべき指針にふさわしくないと考えれば当然却下となる。テレビの討論番組を考えればわかりやすい。NTPがひろゆきをはじめとするコメンテーターに近いのに対し、NTJはゲスト出演する政治家に近い。

 というわけで、同じNT型でもNTPとNTJにはスタイルの違いがある。遊び目的でNTJに議論をふっかけるのはやめたほうが良い。自分の思想と違えば反論されるだろうし、結論を導き出すことを目的としない議論は時間の無駄と考えるからだ。

NF型

 NF型の議論適性は意外に一定程度ある。ただ、NT型と違ってそれは最終的には議論という形にはならない傾向がある。NF型が議論に適性があるのは、一言で言えば他人の考え方に触れることが楽しいからだ。これはNF型の多様性を重んじる考え方に通じるところがある。N型は想像力が豊かだし、想像上の話を面白がる傾向がある。NF型、特にNFPは異なる他者との交流はそれ自体が苦になるわけではない。自分に危害を加えたり、不快感を覚える相手はシャットアウトする一方、そうでない場合は意外に異なる考え方を尊重してくれるものだ。

 NFP型の議論スタイルはNTJ型と真逆となる。NTPの目的の定まらなさに更に拍車がかかるようにNTJからは見えるだろう。NFPの目的は指針を立てることでも真理を発見することでもなく、他人のアイデアを楽しむことにある。NTPと同様に知的好奇心が存在するが、それが物質的な方向ではなく、人間に向かっているのだ。したがってNFP型は人間という要素が一切入らない議論、例えば物理やコンピューターサイエンスに関する議論にはそこまで面白さを感じないと思う。ただ、ここまで物質的な分野が議論になることは稀で、政治や会社経営であっても多かれ少なかれ人間に関わる分野だろうから、やはり議論適性は存在する。NFPはNTPにもまして議論に結論を出すのを嫌がる、というか興味がない。最終的に行き着くのは「君の考えは面白いね。僕の考えはね・・・」である。

 NFJ型となると、そこまで議論に参加している印象はない。確かに自分のビジョンを他者を巻き込んで実行することは好きなのだが、議論という感じではない。言うならば、自己主張しないNTJといった感じだろうか。NFJ型に議論をふっかけると、反論されることはあまりなく、かといって引かれるわけでもなく、独特の神妙な顔をされるイメージだ。NFJ型は多様な考え方に寛容だし、ENTPなどが議論をふっかけても悪気がないことは分かっているはずだ。非道徳なことを主張すれば軽蔑されるし、もっともらしいアイデアを開陳した場合は「まあ、そういう考えもあるよな」という反応になる。

 NF型は物騒な議論は嫌がる傾向がある。議論を通して相手を言い負かしたいとか、自分の賢さを示したいという志向はない。ただ、色々な考え方に触れるのは大好きだ。特にNFP型にその傾向が強い。NFJ型は論戦は嫌いかもしれないが、ある程度アイデアには興味を持ってくれるはずだ。

ST型

 ST型は一見議論が好きそうに見えるが、後述するISTPという例外を除いてあまり耐性がないタイプだ。バトルそのものが期待というわけではない。むしろST型はかなり好戦的な部類だ。ST型が議論を嫌うのは、それが現実離れしたアイデアに見えるからだ。物事の別の可能性を探ったり、遠い未来のことを論じることをあまり楽しいと思えないのである。

 NTJ型でも議論をふっかけてはいけない人間は多いのだが、彼らは議論に対して議論で反論してくる。戦いは同じレベルの人間でしか成立しないという話があるが、その通りである。ST型は違う。議論に反論しているようで、本質的には興味がないのだ。見れば分かることをなにごちゃごちゃと話しているんだと言う話になる。

 STJ型は議論に参加している様子を見たことがない。会社の会議のような場でも、進行役や決定事項を受け入れることが多く、アイデアを出すタイプではないだろう。議論に参加してもそれは具体的な問題解決のためであり、それ以上でもそれ以下でもない。NT型のようにコミュニケーションや自己主張のような要素はない。彼らの主張を聞いていると、当たり前のことを当たり前に主張しているに過ぎない。言っていることが会社の公式見解と全く同じなのだ。極論、ESTJの話は単なる音読だったりする。独創的な意見を主張したり考案したりするのが苦痛に感じるのがSTJなのである。

 一方でSTP型はもう少し議論適性はある。ただし、ESTPは深くハマるようなことはない。単なる世間話の一環という扱いになる。ESTPは言ってしまえば飽きっぽい人種であり、興味のない話をグダグダとされるのは好きではないだろう。ESTPと議論する時は時間的な制約が厳しいことが多い。N型であれば30分1時間と熱中するが、ESTPの持ち時間は5分である。これ以上議論が長引いても飽きてしまうようだ。ISTPはおそらく一番議論適性があるだろう。このタイプはS型の中ではかなりマニアックところがあるからだ。自分の関心分野であればまるでN型のように熱く語ったりする。ISTPは個人差が大きいのだが、少なくとも論戦をふっかけて嫌な顔をされることはないだろう。もちろん興味のある分野に限られるのだが。

SF型

 はっきり言ってしまおう。SF型は議論適性がない。主張したいこともあまりないし、アイデアを次々と思いつくことにも興味がない。更に言うと、SF型は議論というスタイルの会話を物騒だと思っている節がある。しばしばENTPの議論好きな性格が嫌われるという要因はSF型が世間の圧倒的な多数派を占めていることがあるだろう。「常識」とか「世論」というものは基本的にSF型を前提に考えられている。相手に議論をふっかけるというのはSF型の感性では不可解極まりないし、厄介な人間と思われてしまうかもしれない。

 ESFP・ESFJ・ISFP・ISFJ、このいずれにもあまり議論適性は感じない。なんというか、主張すべき持論があまりないのである。議論をふっかけても基本的には常識的な言説で返されることが多い。反論されることは稀だし、反論されたとすればそれは相手がかなり非常識なことを言った時だろう。NT型にとっては相手のアイデアにはアイデアで返すのが礼儀といっても過言ではないのだが、SF型はこのような感性とは縁遠い。

まとめ

 今回は16タイプと議論適性を考えた。ENTPは全タイプ中最も議論を好む。それはENTPが好戦的だからというだけではなく、ENTPのコミュニケーション方法が議論チックになってしまうという事情が絡んでいる。議論の目的は問題解決というよりも、コミュニケーションだ。ここが重要である。SF型は感性が真逆なのでENTPのような物騒なコミュニケーション方法は好まない。むしろ議論が波風を立てるのではないかと思うに違いない。

 最近はひろゆきを知識人として持ち上げる人間がいるらしい。筆者としては不可解極まりないのだが、そういう人がいるようなのだ。筆者はゴリゴリのNTP型なので、ひろゆきの切り返しのうまさには驚嘆するし、エンタメとして面白いと思う。ただ、知識人ではないだろう。ひろゆきの断定的な話しぶりをメタ認知して面白がるのはNT型ではないかと思う。筆者としては、ひろゆきの発言の中身の整合性は突き詰めればどうでもよく、完成度の高い謎掛けや駄洒落を聞いているような気分である。しかし、SF型がひろゆきを信奉するとしたら、それは知識人とか賢人とかアドバイザーという形にしかなり得ないはずだ。

 なお、議論適性と議論をふっかけた時の安全度は全く別である。議論をふっかけた際に最も危険なのはENTJと思われる。彼らは議論に議論で返すし、異論に対してあまり寛容ではない。おかしなことを主張したら激しい怒りと主に反論されることは間違いない。INTJも同様に危険度は高い。逆にINFPやENFPは仲良くなってしまえば結構議論については寛容である。S型の場合は危険というより無反応であることが多い。好きの反対は無関心とは良く言ったものだ。

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