あの夜から変わらない心

「◯◯さんの死は私の心にぽっかり大きな穴を開けました」

こんな言葉を聞いた事は無いだろうか。
とてつもなく大きな喪失感を意味する言葉。

あの夜。
お笑い好き界隈に衝撃を与えた一報。

「ハイツ友の会が解散を発表」

23時過ぎ、ゲームをしていた私に電話が入った。
促されるままTwitterを開く。
恐ろしい数の解散を惜しむ声が目に飛び込んで来た。

悲しい筈なのに。
苦しい筈なのに。
私は全く泣く事が出来ずにいた。
疑問でしかなかった。

どうして?
悲しい筈なのに。
どうして泣けないの?
3年もの月日応援していたんでしょう?
愛していたんでしょう?
これからも愛すると決めたんでしょう?
どうしてなの?
訳がわからない。

電話の向こうの相手に何とか言葉を紡いでいく。
現実味が全くなかった。
信じる事なんて出来る筈もなかった。
二人がいなくなる事が現実に起こるなんて一度も考えた事がなかったからだ。
明日も明後日もその次も、ずっと二人が居続ける事を当然のように考えていたんだ。

だからこそ二人の解散を受け入れる事が出来なかった。
あの長い長い文章を未だに見返している。
文章の至る所に苦しんでいたんだろう、と思わせる雰囲気がひしひしと現れている。
私達はそれが全く分からなかったんだろう。

普段舞台に立ち続ける彼女達からそんな雰囲気を感じた事はなかったんだ。
裏で沢山沢山苦しんだんだろう。
それもずっと前から。

恐らく推測するに、
私が翔に通い始めた頃(2023年)から辞める決心はついていたんだろう。
当時高校生だった私に、芸人を本格的に目指し始めた私にこの事を伝えたら、なんて言うんだろうか。
きっと泡吹いて倒れるんだろうな。

清水さんのアカウントはすっかり消えてしまった。
彼女と少しの間やり取りしていた。
返信が返るのを待ち遠しく感じていた日々。
返信が来ると友達と喜んだ日が懐かしい。
スクショを残せば良かった。
悔やんでももう遅いのに。

西野さんとのやり取りはスクショで残してある。
見返す度に嬉しくなる。

ハイツの二人から貰う返信は何処か特別感のあるものなんだ。
心が沈んだ時、病みそうになった時、いつもいつも見返している。

マンゲキのロビーで何枚も1000円札を崩して手に入れたキーホルダーと缶バッジが筆箱に付いている。
欲を言えばおみくじも当てたかったなあ。
ステッカーも欲しかったなあ。
あの絵柄のハイツが見たかったなあ。

一生叶う事が無くなった欲ばかり出て来る。
なんて私は身勝手な女だよ。

私の机の上には二人からのファンレターのお返しが入っている。
文を書く前に読み返してみた。
高2の頃に書いた物の返事だ。
懐かしいなあ。

確かそれを初めて読んだ日は放課後講習終わりで疲弊していたっけ。
その疲れが一気に吹き飛んだんだ。

この文章の下に私の本音を全て全て書いていこうと思う。
敬語は崩れるかもしれない。
人によってはもしかしたら不快に思うかもしれない。
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ハイツ友の会は私にとって光だったんだ。
太陽みたいな人だった。
高校生になってあらゆる人が嫌いになって、反抗してばかりで死にたがりだった私を救ってくれたんだ。
将来は平凡になるんだろうな、って悲観的だった私に「吉本で仕事する」って目標をくれたんだよ。
最初は社員だった。マネージャーだった。
芸人になりたいって考えたきっかけは沢山あるけど、それを固めてくれたのは間違いなく二人の存在なんだよ。
二人のネタが、存在が、芸人になりたいって
夢を揺るがないものにしてくれたんだよ。
誰に馬鹿にされても決して諦めたくない夢にしてくれたんだよ。

私はWで二人と戦いたかったよ。
戦って、勝ちたかったよ。
大好きだからこそ勝ってみたかったんだ。
大好きだからこそ、追越してみたかった。
ライブだって一緒にやりたかった。
ユニットだってやりたかった。

二人がいなくなった事が信じられないよ。
実感なんて沸く訳ない。
胸にぽっかり穴が空いたみたいだ。
この穴は誰も何も埋めてくれそうにないんだ。


二人が苦しんでいたなんて知らなかった。
苦しんでいた事を知りたかった。
めっちゃくちゃ身勝手で我儘だけど、
二人が苦しむ位なら、私がその分思い切り苦しみたかった。
それで二人が救われるなら良いんだ。
二人がネタを出来るなら、私はその分幾らでも苦しみたかった。

二人を救いたかった。
二人の力になりたかった。
二人の神様になりたかった。

今すぐに二人を抱き締めて何度も何度も
私は味方だ。って叫びたい。
二人の苦しみが少しでも和らぐのなら、何度だって強く抱き締めたい。
そして二人の分まで思いっきり泣きたい。

出来るのならば二人を救いたい。


だってそれだけハイツ友の会を愛してるんだから。

そして今日も私はあの日に送ったメールの返信を待ち続けている。