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家族信託のメリット・デメリット

前回は、「家族信託の活用法」をお伝えいたしました。
https://note.com/lucky_borage26/n/nca3e446279c9
 
『家族信託』は、資産の管理や承継を円滑に行うための仕組みです。
信託契約を通じて、個々の家族のニーズや要望に合わせた資産管理・運用ができ、裁判所の関与も必要ないため、成年後見や任意後見と比べると使い勝手が良いのが特徴です。
 
まずは以下に、メリットをまとめましたので、ご参考ください。
 
《主なメリット》
 
・病気や不測の事態への準備
委託者(親・配偶者など)の体調・判断能力に左右されない財産管理・処分が実現できる
 
・自由度の高さ
裁判所に監督されることがないので、成年後見や任意後見と比べると財産管理や処分、承継などに対する自由度が高い
 
・多様な活用方法
委託者と受託者の当事者間での合意で定めるため、様々な活用方法が実現できる
(認知症対策、遺言機能による相続対策、事業承継対策、障害を持つ子のための親亡き後の対策、犯罪被害の対策、ペットより先に亡くなった場合に備えた対策、他)
 
・受託者選任の自由
自分の信頼する人を、受託者にすることができる
 
・一貫した財産管理の実現
生前から相続発生後までの財産管理を、一貫して一つの契約で実現することが可能
(民法では不可能だった次々以降の財産特定承継ができる)

いかがでしょうか?
このようなメリットがあるなら、活用したいと考えられる方も多いでしょう。
ですが、このように便利な家族信託にも、以下のようなデメリットもあります。
 
《主なデメリット》
 
・組成コストがかかる
専門家への依頼や契約書(公正証書)作成などの初期コストがかかり、不動産を信託財産とする場合には登記費用もかかる。
 
・依頼する専門家により左右される
信託契約の内容は、将来的な家族の状況や生活上の変化などを見据えて、柔軟に対応できるものでなければなりません。
 
例えば、
信託契約書(公正証書)を他で作成されたAさんが、信託財産であるアパートを建て替えるために、銀行に借り入れを申し込んだのですが、信託契約書(公正証書)の内容では、受託者Aさん名義で融資をすることはできないと断られてしまいました。
そのため、信託契約書の内容を修正しようとしたところ、委託者であるお父様はすでに認知症になっていたため、変更ができなかったという例があります。
つまり信託契約書(公正証書)の作成は、今後どう継承していくのかという先々を見据えて作られるべきもので、大変重要なのです。
 
弊社では、あらゆる事態を想定して作成しておりますので、公正証書は、30頁以上になることが殆どです。
「誰に依頼するか」、ここがポイントの一つです。
 
・信頼できる受託者がいない場合
家族信託は、信頼のできる受託者がいて初めて成り立ちます。お互いで取り交わした契約の内容に基づいて、受託者が財産管理等を行っていきますので、受託者を誰にするかは大変重要になります。
 
・受託者にかかる責任と負担が重い
受託者は、委託者の財産を管理・運用するうえで、通帳などを管理するだけでなく、帳簿や計算書類等を作成して、定期的に受益者へ報告する義務があります。その他、信託財産に収益不動産などがあれば、契約・更新、維持管理なども受託者がやらなければなりません。
 
・身上監護まではできない
家族信託では、身上監護に関する事項は対象外です。つまり委託者の身の回りの世話に関する法律行為を、受託者に委託することはできません。財産の管理・運用のみになるため、身上監護は、後見人にお願いするかたちになります。
 
・信託不動産の損失はそれ以外の所得と通算できない
信託財産から生じた損失は、原則、損金になりますが、その損失が不動産所得に関するものである場合、不動産所得の計算上なかったものとされてしまいます。
 

実は、上記のようなデメリットを踏まえても、家族信託の利用数は毎年増加傾向にあります。
おそらく、これからの超高齢化社会に向けて認知症が増えていく中で、裁判所に監督される必要がなく、家族内で決めることができる家族信託が一番利用しやすいことが一つの大きな要因のようです。
 
家族の状況やニーズに応じて適切な方法を選択すること、その上で家族信託を上手に活用することが、今後非常に大切になってきます。
そして、信託契約内容は、専門家によって大きく左右されるため、家族信託を誰に頼むか!この見極めに迷ったら、一度ご相談ください。

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