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家族信託と遺言書は、どちらが先か?

前回は、家族信託と遺言書の併用についてお伝えしました。
https://note.com/lucky_borage26/n/n9ba237709b3f
 
両方を併用することで、大切な財産を承継させたい人に確実に渡すことができるのです。
仮に、家族信託の組成のみだと、信託口口座に入っていない金銭は、委託者自身の預金のままで、相続が発生した際には、通常の相続財産として遺産分割協議の対象となります。
もし、信託されていない財産を特定の人に相続(又は遺贈)させたいとのお考えであれば、別途、遺言書を遺しておく必要があります。
 
では、信託の組成と遺言書作成は、どちらを先にやれば良いのでしょうか。
 
結論的には、どちらが先でも構いません。
 
しかし、併用をお考えであれば、信託組成と遺言書作成は同時に進めていくことをお勧めします。
 
なぜなら、
・それぞれの財産を信託するか、しないか
・どの財産を誰に相続・承継させていくのか
など、初めから総合的に考え、整理できるからです。
 
また、信託契約書も遺言書もいずれも公正証書で作成する場合には、同時に行うこともできるので、手間を減らせることもできます。 

そうは言っても、家族の意見や状況、タイミングもありますので、どちらか一方から手続きをしても、以下の通り、特に問題はありません。
 
①【遺言書作成→信託組成】のパターン
この場合は、以下のような方が活用することが多いようです。
 
・「自分が亡くなった後(相続)のことを優先したい
・短期間で作成可能な遺言書を先に、その後、信託組成を検討したい
 
ちなみに、手続にかかる期間は、内容によって一概には言えませんが、
・家族信託の組成は3ヶ月~6ヶ月
・公正証書遺言は1ヶ月~1ヶ月半程度
かかります。
 
ここでの注意点は、上記の理由などで、遺言書を作成した後に家族信託契約を締結した場合、信託された財産が遺言の内容に抵触した部分については、遺言が撤回されたものと扱われます。
 
例)
「●●の土地建物は、次男に相続させる」という遺言が作成されていても、家族信託契約により●●の土地建物が信託財産として受託者長男に名義変更されたら、その部分について、遺言は撤回されたことになる。
 
②【信託組成→遺言書作成】のパターン
こちらの場合は、以下のような方が活用する例が多いです。
 
・信託財産に組み入れていない財産を遺言で網羅したい
・現在の状況に不安があり(認知症、病気の不安など)、亡くなった後のことより、意思能力が無くなった時に備えて、出来るだけ早く信託を組んでおきたい
 
注意事項としては、家族信託契約を締結した後に遺言書を作成する場合、信託財産の所有権は形式上、受託者に移転され、所有者(委託者)の財産ではなくなっているため(不動産は受託者名義、金銭も受託者名義の信託口口座)、遺言の対象財産からは外れます。
 
例)
●●の土地建物を「委託者:父親」「受託者:長男」という形で信託契約をした後に、遺言で「次男へ相続させる」と残しても、対象の不動産はすでに長男名義となっているため、遺言の対象から外れる
 
従って、どちらを先に行っても同じ財産を対象としている場合には、信託契約の内容が優先されることになるのです。

重要なことは、「どちらを先に行うべきか」ということより、家族信託契約も遺言書作成も、委託者(又は、遺言を遺す人)が意思能力のあるうちに進めなければならないということです。
 
私はこれまで、認知症などで意思能力が衰えてしまったり、不慮の事故に遭ってしまい、対策が出来なかったという例も数多く見てきております。
みなさん、「早く、やらなければ」と思いつつ、タイミングを逸してしまったとおっしゃいます。
何かあってからでは、思うような財産管理をすることが難しくなりますので、必要だと思った時にすぐ行動すべきだと、私は思います。
対策は、早ければ早いほどいいのです。
 
家族信託や遺言に興味のある方、また活用を検討されている方は、お早めにご相談ください。
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