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読書感想文14 宮柊二著「短歌実作入門」

 後ろの略歴を見たら宮柊二は大正元年生まれだった。随分キリが良い年に生まれたのね。なくなったのは昭和六十一年。意外と最近の人なんだな。
 人間って自分を軸に物事を考えるものだから自分が生まれる前から有名だった人を一つの引き出しにいれがち。森鴎外も夏目漱石も宮沢賢治もおなじ引き出しに入れちゃう。実際には宮沢賢治は夏目漱石より後に生まれた人だし、森鴎外は夏目漱石より十歳ぐらい年上だ。十歳違うなら見える世界が違うのにね。
 そういう視点でみると宮柊二は最近の人に見えるんですよ。
 
 この本、「短歌実作入門」と銘打っているが本当の初心者向けではなく短歌について詳しいけど作った事は無い人向けですね。ある程度の知識を持っていることを前提の本だ。 文章が滑らかで読みやすく、するっと読めるし参考になる。がやはり昔の本なので今の短歌の主流からは大きく外れている。
 昔の短歌界は今よりも自分の心情を風景に重ねて描写することに重きをおいていたが今はもう直接的に作者の心情を書くことが主流なっている気がする。

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