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プログレッシブ歩き遍路・2002年 ⑨ 徳島

5月12日

朝起きると家のお爺さんがコーヒーを淹れてくれた。
エコーと共に頂き、目が覚める。

2階にお爺さんの集めたという骨董品があるので見せてもらう。
骨董品の価値も素晴らしさもあまりよくわからなかったが、その隣の部屋にたくさんの古い漫画がある。
その古い漫画が気になったが、あまり長居もできないので出発することにする。

出発前にお爺さんがお祓いをしてくれるという。
何かお経のようなものを唱えた後、すごい声量でヴォーっと吠えた。
きっと悪いものも去っていっただろうと、お礼を言い出発する。

昨日の夜にも来たローソンで朝ごはんのおにぎりを食べる。
そして缶コーヒーとエコーで一服。
お爺さんに美味しいコーヒーを頂いたが、缶コーヒーはまた別物でどうしても飲みたくなる。

歩き始めるがまだまだ足が痛かった。
鶴林寺までゆっくり歩く。
途中休憩しているとおばあさんがみかんをくれた。
みかんとエコーで栄養を補給してさらに歩く。

鶴林寺に着き参拝した後、出発しようとすると3人のおばちゃんに囲まれ質問攻めにあう。
どこから来たのか、何歳なのか、どこで寝ているのかなど、めちゃくちゃテンション高く聞かれる。
500円づつお接待してもらい、ありがたくおばちゃんと握手して別れる。

歩いていると足の痛みを忘れるが、少し休んで歩き出すとまた痛みを思い出すとういうのを繰り返しながら、太龍寺まで歩く。
山の景色がとてもつげ義春っぽくてとても良い。

太龍寺に着いたが、めっちゃ広くて戸惑いまくる。
参拝した後少し山を下り、ロープウェイ乗り場で松茸茶というものを頂いた。
カロリーメイトの自販機があったので昼食にフルーツ味を買い食べながら歩く。

下り坂がめっちゃきつく、足も痛いのでエコー休憩を何度もとりながら歩く。
途中民宿が並ぶところがあり、そこで洗濯をしていたおばちゃんに呼び止められマイクポップコーンをもらう。
マイクポップコーンのきつい塩分がとても良かった。

ひたすら今日の寝床を探しながらゆっくり歩く。
そして山の中の踏切で生まれて初めて金髪のリーゼントにサングラスのヤンキーを見た。
そんな時代じゃないし、まさか、と思ったが氣志團のような本気のリーゼントだった。
友人Sとすげえと感動する。
すごい音のするセルシオに乗って去っていったが、山の中のリーゼントとは、徳島はなんて素晴らしい所なんだと思う。



道の駅を発見し、今日はここで寝ることにする。
うどんとおにぎりを食べた。
道の駅の人がコーヒーをお接待してくれました。

食べた後道の駅の隅の方でエコー休憩していると、お婆さんが来てちらし寿司をくれました。
ありがたく頂きました。

まどろんでいると友人Sが野良の子犬を見つけた。
適当にかまって遊んでいると、友人Sはこの子犬をこれから連れていくという。
これは問題だと俺は思った。
絶対邪魔になる、子犬には自分の人生を歩んでもらおうと俺は言ったが、友人Sはもうガンジーという名前までつけている。

高校の時友人Sは子猫を拾い、その時も飼うと決めたのだが、夜中構ってもらおうとくっついてくる猫に耐えられなくなり一週間ほどで友人Sの母親の友達に引き取ってもらったのを俺は知っている。

しかし今度こそはこの遍路を共にし帰ってからも一緒に暮らし大事な家族になるんかもと、子犬とじゃれつく友人Sを見て思う。
でもまあ99%途中でうんざりしてくるはずやとも思う。



ミルクを買い、子犬にあげて、就寝前のエコーと缶コーヒーを味わう。
そして寝た。

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