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ヤバい病院構造

Voicyの放送で、パーソナリティーの木下斉氏と共同通信編集員の橋本卓典氏との対談で『病院の内情について』について話していました。
この内容は、病院の”悪き慣行”が低生産業界にしてしまっているという話でした。

昨今、病院の医療従事者も”働き方改革”と言われていますが、「誰を見るのか?」トリアージが病院側に整備されていません。
高齢者患者や認知症状で手がかかる高齢者は、今後も増え続ける一方です。
誰は見ない。というトリアージをしなければ、暇な時間は供給されて来ません。
このトリアージが病院では、遅れているという事でした。

ニーズに合わない白い巨塔

病院は、白い巨塔が続いているそうなのです。
橋本氏の話では、大学病院の”外科の医局に居続ける事”が、医療界の頂点だそうです。
その次が、自治体病院の外科医師の権力が強いという構造になっています。
その次が、済世会や日赤病院に医師が集まり、最後に総合病院のような一般的な病院で医師を取るという構図になっています。
自体体病院は、財政補填をしながら良い医師を取りまくっている状況だそうです。
時代の変化と共に世の中のニーズも変わります。
それは、病院も然りです。
世の中のニーズに、勘違いをした供給を続けている事が病院の最大の問題という事だそうなのです。
昨今、医療技術の進展によって執刀、切らずに出来る内視鏡手術が進んできており、すると医療側には回復期のリハビリに精通した医師が求められてきています。
また患者も高齢化が進んできており、執刀、切る手術は患者の負担になってくるという理由で、手術をしないで経過措置という治療も増えて来ています。
そうなるとリハビリや回復期のニーズが益々高くなります。
しかし、医師の間では頂点である”外科”を目指していく構造が続いてしまっているそうなのです。
”切ってなんぼ”という世界観が外科を中心に続いてしまっているのです。

時代は、総合診療を求めている

これからの時代は、オールラウンドに診察できる医師が求められているのですが、外科医師から見ると、「専門領域がない医師はダメだ!」という、総合診療に対するリスペクトが低く、世の中が必要するリスペクトと、業界のヒエラルギーがズレ過ぎてしまっている状況が、大きな問題だと橋本氏は話していました。

生産性の低い医療機器

木下氏が、検査入院した際15時以降のスカスカの検査機器に驚愕を感じたそうです。
病院は、医療機器等の機材の設備投資をしている訳ですが、基本的にはその医療機器が稼働しているのは、朝9時から15時までの6時間しか動いていません。
多額の設備投資をしている割に、稼働率が低い医療機器。
その状況では、病院は儲からないと話していました。

橋本氏は、医療業界は様々な企業の業種と繋がっている側面があると話しています。
診療時間中に”お客さん”を何人捌けるか?これは、飲食店の回転効率と同じ原理になります。
また、地域によっては病院の立地で選ばれない病院もあり、これも飲食店と同じ発想になります。
1時間に30〜40人診察できるか?と言った製造業の生産効率の要素も取り入れて経営効率を上げていく必要があるのです。
それから、医療機器の設備の稼働率や過剰な設備を使っていないかどうか?これによって病院の収益を左右してきます。
属人的な世界観として、「○○病院の○○先生」というように、美容院の担当美容師のような”人”に患者がついてくる。
サービス業や飲食店の回転要素、立地要素を複合的に病院も経営していく必要があるのです。

昭和モデルの弊害


橋本氏の話では、未だに外科医師が業界で最もリスペクトされていたり、稼働率の悪い医療検査機器というのも、昭和の人口が増える時代の名残が続いてしまっているからだと話していました。

医師や看護師は、治療や処置に対しての診療報酬の点数がいくら掛かっているのか把握していないケースが多いそうなのです。
つまりそれは、検査機器や薬、病院の設備、医師看護師の人件費にどの程度費用が掛かっているのか?にも繋がって来る話でもあり、このような全体の原価を把握していないが為に、激務で儲からない。という悪循環が生まれてしまっているのです。
また、診察の点数の計算を医療事務員が二重三重でチェックしているのも大きなコストになっています。
診療報酬のシステムを統一し規格化していく。
【データの標準化と効率化】を進めなければ、医療業界での働き方改革は進む事はないでしょう。

残業減らします。
有給休暇取得日数を増やします。
表面的な話では何の解決策にはなりません。


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