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【アニメレビュー】ブルーアーカイブ The Animation 第二話・第三話感想:歴史書のような淡々とした描写と理解に苦しむ展開の連続。初見勢が滅びるのも無理はない完全ファン向けアニメ!

初めましての方は初めまして。そうでない方はいつもお世話になっております。
朝霧くもりです。

先日投稿した2024年春アニメ「ブルーアーカイブ The Animation」の第一話レビューが思ったより伸びたので、今回は第二話・第三話をレビューしたいと思います。

第一話レビューは以下のリンクからご覧いただけます。まだの方は是非どうぞ。

【アニメレビュー】ブルーアーカイブ 第一話感想 : よくある「可愛いし作画もいいけど面白くないアニメ」


第一話の総評はD(切る)、C(保留)、B(視聴継続)、A(面白い)、S(覇権)のうちCランクでしたが、第二話以降はどうなったでしょうか?

それでは行ってみましょー!


超絶辛口評価するので、好きな作品の批判を受け入れられる方のみお読みください。

また筆者はソシャゲ未プレイの初見勢なので、世界観や設定を共有せずに視聴しています。前提が違う可能性があることをご了承ください。


第二話・第三話のあらすじ

先生が加わったことで、ヘルメット団を次々と掃討していくアドビス高等学校の生徒たち。
しかしながら、セリカだけは先生の事を信用できずにいた。

セリカになんとか歩み寄ろうとする先生だったが、セリカとの距離をなかなか縮められない。

そんな中、セリカがヘルメット団によって攫われてしまう。

セリカを助けるために、先生と女の子たちは救助作戦を実行する。
助けられたセリカは作戦が先生の発案だと知り、先生を初めて信頼するのであった。


先生と生徒たちは、借金返済向けて今後の施策を話し合う。

まともな案が出ず、煮詰まってしまった一行は行きつけのラーメン屋に入る。
同じくラーメンを食べに来た金欠の女子学生4人とひょんなことから仲良くなるものの、その女の子こそが主人公達を狙うアウトロー集団「便利屋68」であった。

その後、学校にて敵を感知した主人公たちは、その敵がつい最近ラーメン屋で会った生徒であると知る。
長時間にわたる戦闘を先生の指令によって乗り切った主人公達を前にして、便利屋68のメンバーは敗走するのであった。


良かった点

「便利屋68」の女の子たちの関係描写が良い

第三話から登場した便利屋68のアル、ムツキ、カヨコ、ハルカですが、4人の性格がしっかり描き分けられていて良かったです。


アルは討伐依頼を受けた生徒の校章を見落とすほどのおっちょこちょいなのに、アウトローに憧れていて何かとカッコつけたがる。
しかしながら、人情に厚い様子が結構な頻度で表の顔を破って現れる位の真っ直ぐな性格の持ち主である。

ムツキやカヨコはそんなアルの下についている優秀なメンバーで、リーダーに足りない洞察力や警戒心を補っている。

ハルカは依頼の為ならなんでもする歪んだ思考の持ち主だが、メンバーの中では弱気な部分を見せる。


キャラ付け自体がしっかりしていましたし、集団としての個性も描かれていました。

そして、抜けた部分もありつつ仲間思いなアルがリーダーだからこそ、優秀なムツキやカヨコ、狂暴なハルカの統率が取れているというのが納得感がありました。

アルの化けの皮が剝がれた瞬間(なお、いつも隠せていない模様)

(引用:© NEXON Games / アドビス商店街


現状では、アルがこのアニメで一番好きなキャラですね。


良くなかった点

相変わらず前提知識を視聴者に共有しない展開

第三話にて、銀行強盗は犯罪行為だが、バスジャックは犯罪じゃないっぽいことが描かれていました。

銃火器を街中でバカスカ打つのは合法のようなので、もはやこの世界に地球の常識は通用しませんが……


そもそも便利屋68は商船を爆破していましたし、銀行強盗にアドビス高等学校の学生たちもノリノリでした。
裁かれる気配も無いし、やらない理由が「違法だから」なのはあまり納得できませんでした。

これがいわゆる「前提知識が全くない状態」です。

この状態でアレコレ言われてもさっぱり理解できないので、せめてどこがアウトなのか、アウトだったどうなるのか位は情報共有してほしかったですね。


そもそも、結局対策会議の方はうやむやになってしまったので、何が良くて何がダメかなんて話し合いに意味なんてありません。

今後も伏線として今後拾われる訳でもなさそうですし、無駄会話を見せられただけでした。ちゃんちゃん。


…………というような展開が、ストーリーの大半を占めるんですよね。せめて日常描写をするんだったら、オチ位は付けて欲しいものです。

ここまで書いていて、このアニメの致命的な点に気づきました。


ずばり、このアニメは起承転結がしっかりしていないということです。

第三話前半パートの対策会議の話では、「起」が議論の始まりで、「承」が議論パート、「転」がアヤネちゃんの激怒になります。そして、「転」で別シーンの描写に移ります。

別シーンに移るならばその前に「結」が欲しいですよね。しかし、「結」であるラーメンを奢る描写は別シーンが挿入された後に現れます(そもそも、「結」としては弱すぎるのもある)。


起承転結なんて、素人レベルの創作でも当たり前のことです。

それがこのアニメは出来ていないのですから、ストーリーの面白さを感じられないのも無理ないでしょう。


最後に、場面転換の下手さも取り上げておきます。

第三話では、先述したアドビス高等学校での議論から便利屋68の船襲撃シーンに移る場面があります。

普通のアニメであれば、まずは議論最後のオチである「アヤネちゃんが怒った……」というシーンで学校の空を描写するでしょう。
次に、テロップを間に挟んで場面が変わることを視聴者に知らせます。
その後、狙いの商船が色々なものを輸送している描写を入れ、船から便利屋68がカゴだけを取って小型船に飛び降りる様子を映します。
最後に、船が爆発する様子を引きで取れば、スムーズに場面転換しつつ次の描写に移れます。

こうすることで、場面が変わったかどうかを視聴者に認識させたうえで、変わった場面の場所、人物、時間、出来事…etc.を情報共有できます。


しかし、このアニメでは「アヤネちゃんが怒った……」というシーンで既に次の場面である船の上の空が映っており、その後下に視点がスクロールして船が爆発します。

場面転換がてら爆破される船。爆破オチってサイテー!

(引用:© NEXON Games / アドビス商店街


…………いや、頭が追いつかないって。

つまりどういうことかというと、視聴者が場面の切り替わりを認識する前に、場面転換後の描写が始まります。

アニメとして大前提のすら出来ていないんですよね。


このように、このアニメは物語の構造と演出自体に欠陥を抱えています。

しかも、後述するように残りの心理描写、戦闘描写も良く無かったです。
結果として、面白いと感じる部分がほとんどありませんでした


キャラクターの心理描写が少ない

ここで取り上げる心理描写というのは、「表面上でどう思っているか」ではありません。

「その考え方や思いがどこから生まれてきたのか」といった過去のエピソードを掘り下げる描写のことです。


直近見たアニメで例えるならば、怪獣8号第一話の幼馴染との回想シーンですね。

過去にした約束を果たせなかったからこそ、幼馴染との関係に後悔しているのが伝わってきます。
つまり、今の考え方は過去の言動に基づいているので、回想でもなんでもいいから過去を掘り下げろってことですね。


しかしながら、本アニメでは心理描写が著しく欠落しています

特に、第二話ではセリカの十分に掘り下げられる余地があったにも関わらず、そのような描写は全く見られませんでした。

心理描写がないので、キャラクターに感情移入できません


それ以上に深刻なのが、そのキャラクターのパーソナリティが分からないと、キャラ自体を好きになれないということです。

例えばシロコがどんな思いを持って行動しているのかが第三話時点でも一切描かれません。
そのキャラクター視点の描写がそもそもないのです。

ということは、アニメからブルーアーカイブのキャラクターを知った人は、シロコというキャラクターのことが一切分からないままということです。

現実世界でも、どう思っているか全くわからない行動原理が不可解な人を見かけても好きにならないですよね。
アニメでは30分がそのキャラの全てなので、余計言動も心情も分かりづらくなります。結果として、そのキャラを好きになれないのです。


キャラが多すぎて深掘りできないのはソシャゲ原作アニメあるあるですが、その悪例を引き継いでしまいました。

このアニメは例えるならば歴史書です。○○年に△△があり、次に××があった……というように、見たままを淡々と描いているだけになっています。

歴史書って別に面白くないですよね。それがこのアニメの評価です。


あまりにも薄っぺらいストーリー

歴史書の中でも、三国志のように面白いものも存在します。

しかし、それは物語の完成度が高いから面白いと思えるのです。


このアニメの物語は、そもそも先も見えない上に、やっていることも行き当たりばったりです。

一応、「借金返済」というゴールはあります。

しかし、借金返済したらどう良くなるのかが分かりません。なので、その目的に視聴者は共感できません。

しかも、第三話の時点でまだ借金返済のへの字にも辿り着いていません。
ゴールに直接関係ないヘルメット団や便利屋68などの敵を追い返しているだけで、全体としての進捗はほぼ0です。

そして、ヘルメット団が学校を襲撃する理由が主人公達にすら分かっていないと来ます。こうなってはもうお手上げです。


一方、比較に出した三国志では、「天下統一」という明確なゴールがあります。
しかも、それを達成すれば世の中が平和になるという情報は誰にでも分かるようになっています。だからこそ、読者は主人公が天下統一を狙っていることに納得できるのです。

そして、三国志では○○を味方につけたから有利になった、戦って負けたから不利になったなど最終目的に対する取り組みに焦点が当たっています。
物語はこの鍔迫り合いの中で、時に大きな事件が起こることで進展します。


……ブルアカと三国志を比較すると、その差は一目瞭然だと思います。

ここまでに触れた「理解できない展開」、「心理描写の少なさ」、「物語の軽薄さ」が面白くないという感想を抱かせる原因でしょう。

しかし、物語が面白くなくても、迫力のある戦闘描写や作画の綺麗さがウリのアニメも存在します。
残念ながら、こちらも良くありませんでした。理由を後述します。


納得感の無い戦闘描写

第一話レビュ―でも取り上げましたが、基本銃弾で死なない体で銃撃戦をやっているので、意味不明な場面が多々訪れます

しかも、被弾覚悟の突撃もあるのでいよいよ意味が分かりません。

そうはならんやろ & 後ろのやつらなにしてるん?

(引用:© NEXON Games / アドビス商店街


そして、先生のお陰で逆転したという描写も納得感がありません。

盾持ちのホシノを突撃させてターゲットを集中させ、その間に回り込むという古典的な戦略なのですが……

そんな戦略を使うまでに、なんと日中から夕方になっています。もっと早くそれ出来なかったのか。

しかも、途中から先生が来たと言う訳でもありません。それまでは先生が全く指示を出さなかったという事なんでしょうか?


そもそも、夕方まで制圧射撃が出来るほどの銃弾が手ぶらで用意できるわけがない、撃ち合いの最中でも敵に背中を見せているなど、ツッコミどころ満載です。

手前の女の子と奥の女の子は別陣営。ガバガバ戦闘過ぎる。

(引用:© NEXON Games / アドビス商店街

そもそも弾丸程度じゃ死なないのでスリルも無いですし、流血も一切しません。

幼稚園児のおままごとレベルの戦闘描写でした。


顔の崩れが目立つ作画

第三話になって、作画も微妙に気になってきました

この画角で、

全体像 (引用:© NEXON Games / アドビス商店街

この描写になるはずないんですよね。

画角的に右の子は後ろ姿か横姿が映るはず

(引用:© NEXON Games / アドビス商店街

そもそも、左の子の顔の縦横比なんかおかしくないですか?
参考程度に、第一話ではこんな感じでした。

πの大きさも違うし顔のラインも違う

(引用:© NEXON Games / アドビス商店街

また、こちらも奥にいる大将に手前の子が話しかけている描写ですが、これでは女の子から大将が見るはずありませんのね。一体どこに視線が行っているのか、見ていて不安になります。

そもそも左右の目の向いてる方向が一緒じゃない気がする……

(引用:© NEXON Games / アドビス商店街

というように、第一話・第二話では気にならなかった絵も違和感が出るようになりました。

私の勘違いでしょうか?絵師さんのご意見お待ちしております。


唐突に主張し始めると思ったらすぐに鳴りやむBGM

ゲームから流用したせいで、BGMメインが絵を妨害する・ぶつ切りになるなど様々な弊害が出ていると感じました。

Unwelcome Schoolは自分も好きな曲の一つですが、第三話の中途半端なシーンから急に挿入されましたからね。
しかも変に自己主張が強いせいで、キャラの会話が入って気づらい

BGMがメインになるのは、キャラが喋らない間を埋める時だけです。
それ以外はアクセント程度に鳴っていて欲しい。


目が追いつかないOP

作画は凄く良いのですが、目まぐるしくシーンが移り替わるせいで動体視力検査みたいになっています。

折角良い構図なんだから、もう1,2秒引っ張って欲しいと思いました。

凄いOPではあるんですが、良いかと言われると頷くのは難しいです。


第二話・第三話総評

キャラデザが良いだけのアニメでしたね。

ストーリーは練り込み不足だし、ゲームの描写をアニメーションに上手く落とし込めていないと感じました。

一話の中でお話が完結せず、ストーリーも薄く、心理描写も少なく、戦闘も意味不明で、さらに演出も作画も微妙。


全く面白くないので、流石に切ります。アルちゃんの性格は良かったです。

総評はD(切る)、C(保留)、B(視聴継続)、A(面白い)、S(覇権)のうちDランクです。

完全にファン向けのアニメですね。あのキャラが動いてる!っていう感動が無いとちょっと見れないと思いました。


〆の挨拶

ここまでお読みいただきありがとうございました!

相当酷評しましたが、アニメが良いか悪いかなんて人それぞれです。

面白いと思って見ていた方は、私の評価を気にせずに楽しんでください
少なくとも、ソシャゲをやり込んでいる人からすれば傑作で間違いないでしょう。


参考になった方はいいね、フォロー頂けると励みになります。

また次回の記事でお会いしましょう!
サラダバー!


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