鴨沢芹

保証はどこにもないです

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机の奥の手紙

この作品は創作です。読んでいる人に幻覚・幻聴や霊障をもたらすことは絶対にありません。 私の話を信じないでください。 子どもの頃のばつの悪い思い出って、誰にでもあると思うんですよ。 私の場合は小学四年生のときでした。 小学生が使う「おどうぐばこ」ってあるじゃないですか。はさみや三角定規を入れておくようなやつ。 当時通っていた小学校では、A4くらいの結構大きなサイズのものを使っていて。 その学校の慣習で、おどうぐばことその蓋を机の中に入れて、簡単な引き出しとして使っていたん

    • 風呂場で吊るしてあるならそれは鳥よけではない話(禍話リライト/忌魅恐NEO)

      僕が学生の頃なんで、二〇〇〇年くらいの話ですよ。 あの頃ってまだ、カメラ付きケータイも出てきたばっかだったじゃないですか。画質も全然で。 どっか行って写真撮るときって、まだまだ普通のカメラが主流でしたよね。 同じサークルにA君って子がいて。ちょっと気が弱いタイプだったんです。 僕ら写真系のサークルで。 写真「部」じゃないってところがミソなんですよ。わかるでしょ。 要するにゆるい、半分飲みサーみたいなところです。 ああいうとこって、絶対チャラい先輩がいるじゃないですか。まぁ

      • キャッチボールのおじさん(禍話リライト)

        これは私が知人のAさんから聞いた話である。 平成も1ケタの時代、当時20代だったAさんは高校教員として働き始めた。 これはその初めての赴任先で起こった出来事だという。 その高校の校舎は、戦後の子供が多い時代に作られたものだったらしい。 昇降口が2か所ある大きな校舎で、Aさんが赴任した頃にはもうほとんど使われなくなった区画があったという。 人が来ない場所といっても、やはり放課後の見回りはしなくてはならない。 若手だったAさんは校舎の見回りも進んで買って出ていた。窓や戸が施錠

        • 雷鳴(禍話リライト)

          話の詳細から察するに、二十年近く前の出来事ではないかと思う。 ある大学の、理系の研究室での話である。 その研究室では機器の番をしなければならない関係で、夜間も学生が残っていた。 ある深夜、学生のAさんが一人で研究室に残っていたときのことだった。 廊下を誰かが歩いてくる音がした。しかし部屋の外は真っ暗だったという。 電気も付けずにどうしたんだろうと思ったが、足音はAさんのいる研究室の前で止まった。 コンコン、とノックをして部屋に入ってきたのは、研究室の先輩のBさんだった。

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        机の奥の手紙

          死んだ記録の落書き(禍話リライト)

          【注意】この記事には動物への暴力を示唆する表現が含まれます。 ある海水浴場での話なんですけど。 友達に誘われて遊びに行って。 泳いだり、写真撮ったり。普通の夏休みですよね。 途中でお腹痛くなっちゃって、トイレに行きたくなったんです。 場所がわからなくて、少し探してようやく見つけて。 奥まった、なんか変なところにあったんですよ。 後から聞いたら、どうやらそこは今は使われてないトイレで。本当はもっと近くに新しいトイレがあったみたいなんですけど。 結構汚くて、臭いもきつ

          死んだ記録の落書き(禍話リライト)

          『N号棟』観た感想

          なかなかにレビューがひどかった『N号棟』を観ました。 個人的にはそんなにひどいと思わなかったです。ただ、材料は揃えたのにレシピが途中でどっか行っちゃったので別のを拾ってきましたみたいな、絶妙に良さが殺されていて惜しいというか、そういう感想は抱きました。 (まぁ、だからレビューがひどいんだと思うんですけど) 以下は、ネタバレを含む個人の感想です。 私はいわゆる考察をするのが苦手なので、映画の結末、真相や裏設定について、何か自分の意見を述べるというものではありません。 それ

          『N号棟』観た感想

          缶蹴りの集合写真(禍話リライト)

          Bさんの話 私が高校のときなので、もう20年以上前ですかね。 うち、進学校ではあったんですけど、たまにタバコ吸ってる奴もいるみたいな学校で。そういう、生徒の素行が両極端な高校ってあるじゃないですか。 それで、うちの学年にも不良っぽいのが何人かいたんですよ。 何年のときか忘れたんですけど、夏休み明けに登校したら、クラスの不良2人が欠席してて。 サボりかなと思ってたら、担任の先生が「あいつら入院することになったんだ」って。 それだけでもびっくりしたんですけど、それが2人だけ

          缶蹴りの集合写真(禍話リライト)

          式場の地下 ほか(禍話リライト)

          式場の地下 視聴者からのおたより 一 以下、「視聴者からのおたより 一」「視聴者からのおたより 二」は、私の元に視聴者から寄せられたメッセージの抜粋です。 2つの投稿はそれぞれ別の視聴者からのものですが、これらは同じ日に届いたものです。 視聴者からのおたより 二 以上の2通のメッセージを受け取った直後、以前にある体験談を送ってくれた視聴者の方からメッセージを受け取りました。 提供した体験談をツイキャスで話さないのか、という内容でした。 該当する建物がまだ残って

          式場の地下 ほか(禍話リライト)

          うしろの███(禍話リライト)

          わりと大きめの公園でトイレに入ったときの話なんですけど。 個室が2つあって、その向かいに小便器が並んでるっていう構造だったんですよ。そのトイレ。 僕は個室に入ってて。 そしたら男の子がトイレに入って来たんですよね。 外に向かって「そこにいてよー?」とか言いながら。 個室に入ったわけではなくて、小便器で用を足しに来たみたいで。 トイレの外から「早くしなさいよ、お母さん入れないからね!」っていう若い女性の声がして、お母さんが外で待ってるんだなって。 そしたらその子、「緊張

          うしろの███(禍話リライト)

          安い部屋とピンポン玉(禍話リライト)

          「そういうの」って、こちらがなかなか相手をしないと、もっと嫌な感じで存在をアピールしてくることがあるんですよね。 私の知り合いの方がね、親戚の家に居候っていうのかな。一部屋借りて住まわせてもらってたことがあるんですって。 親戚の家とは言っても、ちゃんと家賃払ってて。 でもそれがすごく安かったって言うんですよ。 2、3万とかじゃなくて、数千円っていうレベルで。 空き部屋を使わせてもらってて、そこに元から綺麗なベッドが置いてあって。 それ使っていいよって言われてたから、ご厚

          安い部屋とピンポン玉(禍話リライト)

          外から何かを開ける音がする話(禍話リライト/忌魅恐NEO)

          マンションの外廊下って、よく聞いてるといろんな音が聞こえてくるんですよね。 急な休みとかで、普段学校や仕事に行っている時間帯に珍しく家にいると、思わぬ音が聞こえてくることがあります。 まあ、だいたいはガスメーターの確認とか、宅配の人が荷物を置いていく音なんでしょうけど。 自分の知らない間にこういう音がしてたんだなって。自宅のことってよく知っているようで、実は知らないこともたくさんあるんですよね。 最近気付いたんですけど、かくいううちのマンションも、午前3時とか4時になると外

          外から何かを開ける音がする話(禍話リライト/忌魅恐NEO)

          バスの中に座っている夢の話(禍話リライト/忌魅恐NEO)

          夢って、寝てるあいだ実際に起きていることを脳がキャッチしてて、それを夢として認識している、っていうことがあるらしいです。 いつも見ている同じ夢があるなら、それは就寝中によく周りで起きていることの反映なのかもしれないですね。 ある人が「止まったバスの中で目が覚める」という夢を何度も見るという話をしてくれたんです。 一人暮らしの男性の方で。二、三年前から繰り返し見ている夢だそうで。 その夢はいつも決まったパターンをなぞっているそうです。 気付いたらバスの右側の座席に座っていて

          バスの中に座っている夢の話(禍話リライト/忌魅恐NEO)

          いすおとこ(禍話リライト)

          大学に入って一年目。一人暮らしの生活にも慣れてきて、少し余裕が出てきた頃の話です。 大学から家まで同じ道を行き来するのも飽きてきたので、たまには違うルートで帰ってみようと思ったことがありました。 いつもの大通りじゃなくて、細く入り組んだ住宅地を何となくの方向感覚を頼りに歩いていきました。 たしか夜の9時半とか10時頃だったと思います。田舎のほうなんで、その時間でもあまり街灯とかついてなくて。 ふと、私の前方を人が歩いているのが目に入りました。 仕事帰りの会社員かなと思った

          いすおとこ(禍話リライト)

          団地の長なわとび大会の写真の話(禍話リライト/忌魅恐NEO)

          何につけてもタイミングの悪い人っていますよね。 自分が悪いわけじゃないのに、居合わせた場所と時間が良くなかっただけで嫌な思いをする。これはそういう、なぜか嫌なことに巻き込まれがちな人の話なんですけど。 県は言ってもいいかな。佐賀のほうであったことだそうです。 その「タイミングの悪い人」、大学だか専門学校だかに通ってたんですけど、1個上の先輩にお似合いのカップルがいたんですって。 その2人は入学した頃から相性抜群で、すぐに付き合い始めたらしくて、周囲でも評判のカップルで。

          団地の長なわとび大会の写真の話(禍話リライト/忌魅恐NEO)

          駄菓子ツアーの話(禍話リライト/忌魅恐NEO)

          これは私の地元の人から聞いた話で。私自身はそのエリアにはあまり詳しくないんですけど。 この話をしてくれた人を、仮にAさんとしておきましょうか。私と同年代なので、40代くらいだと思います。 テレビだか動画サイトだかで駄菓子をたくさん買うみたいな企画を見かけて、いいなって思って。懐かしいなー、あれまだ売ってたんだー、とかって。 そういえば俺も小学4年生くらいのときに、クラスの友達と3人で「駄菓子ツアー」なんてのをやってたなー、なんて思い出したらしいんですよ、その人。 でも途中

          駄菓子ツアーの話(禍話リライト/忌魅恐NEO)