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「の」はあいまい

日本語の助詞の「の」には色々な用法がありますね。所有,所属,所在,性質,形状,材料,程度,時間,数量,関連,由来,対象,主格など,様々な場面で使える助詞です。たとえば,
「わたしの時計」→ わたしが持っている時計(所有)
「ドジャースの大谷選手」→ ドジャースに属している大谷選手(所属)
「東京のオフィス」→ 東京にあるオフィス(所在)
「悪の集団」→ 悪い性質の集団(性質)
「三角の屋根」→ 三角の形状をした屋根(形状)
「木の椅子」→ 木でできている椅子(材料)
「中等度の痛み」→ 程度が中くらいの痛み(程度)
「20分のフライト」→ 時間が20分間のフライト(時間)
「10リットルのビール」→ 量が10リットルあるビール(数量)
「就職の相談」→ 就職に関する相談(関連)
「ふたりの決断」→ ふたりが相談して出した決断(由来)
「卒業生のパーティー」→ 卒業生が集まるパーティー(対象)
「卒業生のパーティー」→ 卒業生が主催するパーティー(主格)
「子供の成長」→ 子供が成長すること(主格)など。

このように「の」は色々な意味で用いることができるので,とても便利に使えますが,その一方で,あいまいさの原因になります。上に示した例のうち「卒業生のパーティー」は卒業生が対象か主格かによって2つの意味があります。よって,このような類は,読み手が文脈から判断するしかありません。書き手の思いどおりにスムーズに判断してもらえれば良いのですが,それは読み手の感覚次第ということもあります。

また「ネコの缶詰」は「猫の食餌が詰まった缶」と解釈するのが一般的ですが,猫の肉が詰まっていても「猫の缶詰」です。非常識な話しかもしれませんが,常識という範疇は,住んでいる社会での常識を除けば,人それぞれの考え方や感じ方によると思います。相手がどう解釈するか,それはその人次第なのではないでしょうか。

したがって,文章を書いている時に「の」を使ったら,その言葉が相手に誤解を与える原因にならないかどうか,もし正確に通じないかもしれないと感じたら,誤解のない言葉に代えるほうが得策です。

「の」を使うときは気を付けて。

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