影山ナイト

小説が学生時代の頃から好きで、大学時代に病気になったのをきっかけに小説を書き始めました。

影山ナイト

小説が学生時代の頃から好きで、大学時代に病気になったのをきっかけに小説を書き始めました。

マガジン

  • 転生したらVの世界に

    愛する彼女を失い、ゲームと動画視聴だけの日々。彼女の命日に車に轢かれた主人公が目を覚ますとそこはバーチャルの世界だった。

  • 虹の音色

    架空の職業『ボイスカウンセラー』を目指す大学生の成長物語。

  • How much are you?

    株式会社の株のように個人の活動を株式として市場に出品される現代で、それらを管理、推進する業務を行う銀行員、『パーソナルバンカー』の奮闘記。

  • 赤い糸を盗る

    文武両道で周りから好意を寄せられる魚金虎太郎は運命の相手に再会した。そんな中、運命の相手と交換したネックレスが突然、なくなってしまう。周りの人間を疑いはじめ、深淵を覗いてゆく。

  • ろりーたふぁんたじー

    人類と魔族が共存した平和な世界で大魔王の娘、サティが学校に通い、個性的な面々と接し、成長してゆくハートフルコメディ。

最近の記事

「転生したらVの世界に」 第9話:プログラミング世界

 13時過ぎ。スターリースカイの事務所。俺は少し遅れてやってきた。 「遅刻よ」  事務所の手前、扉の前にヒョウカが腕を組み立っていた。 「悪い。というか、なんでお前はここにいるんだよ。中入ってろよ」  俺がそう言うと、ヒョウカはふんと鼻で笑う。 「私にひとりで入る度胸があると思う?」 「そんな誇らしげに自分を卑下するな」  俺は苦笑いを浮かべる。 「それで、何してたのよ」 「プログラミングの勉強してた」 「なにそれ?」  ヒョウカは聞きなれない単語を聞いて首を

    • 「転生したらVの世界に」 第8話:謎の空間

       スタジオ撮影を終え、一旦、休憩することにした。  俺たちは食事を必要とはしないが、疲労は溜まる。  午前中にヒョウカと俺の自己紹介動画を撮影し、今、代表が編集している。  俺は自室に戻り、ウィーハウスの研究をしていた。  パソコンでウィーハウスを開き、シャイニングに所属しているライバーが投稿した動画を観ている。シャイニングのライバーは主に生配信をしているが時々、動画も投稿している。  『ショート』と言って、1分以内に収められるネタ動画も多数ある。  何か参考になら

      • 「転生したらVの世界に」 第7話:才能

         スタジオは広く、教室一つ分の大きさがあった。手前にはドラマで使われているような三脚付きのカメラが置いてあり、部屋の奥には大きなグリーンバックがある。  今から撮影をするのか。緊張する。噛まないか心配だ。何度もカットを繰り返したら全員に迷惑がかかる。上手くやらないと。  それはヒョウカも同じように思っているのか、台本に目を通し、内容を呟いている。  代表がカメラの準備をし終えた後、俺たちに声を掛ける。 「アンタたち。準備はいい?」  俺とヒョウカは頷く。 「まずは

        • 「転生したらVの世界に」 第6話:始動

           翌日。昨日来たビルの13階に位置するスターリースカイの事務所の一室。  そこには代表と俺、ヒョウカともうひとり、茶髪マッシュの青年の4人が集まっていた。 「ミーティングの前に、自己紹介をしましょうか」  代表が口を開く。 「まずはサイトウちゃんから」  茶髪マッシュの青年が立ち上がる。 「スターリースカイ所属、サイトウって言います。配信では主に雑談をしてます。ふたりとも、これからよろしく」  爽やかな笑顔を俺たちに向ける青年は『サイトウ』という先輩らしい。  サ

        「転生したらVの世界に」 第9話:プログラミング世界

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        • 転生したらVの世界に
          10本
        • How much are you?
          28本
        • 虹の音色
          31本
        • 赤い糸を盗る
          24本
        • ろりーたふぁんたじー
          25本
        • 恋するキューピッド
          26本

        記事

          「転生したらVの世界に」 第5話:面接

           10分ほど経過しただろうか。扉がノックされ、室内に面接官が入室してきた。  それぞれの面接官が椅子に座る。中央には、いかにもキャリアウーマンらしい女性が座り、その左隣には眼鏡をかけた男性。そして、右隣にはスキンヘッドのおじさんが座る。  俺が固唾を飲む中、面接が始まる。  中央に座る女性面接官が口を開く。 「それでは早速、面接を始めていきたいと思います。レイアさん、ヒョウカさんでお間違いないですね?」  俺とヒョウカはそれぞれ返事をする。 「では、こちらからいくつ

          「転生したらVの世界に」 第5話:面接

          「転生したらVの世界に」 第4話:出会い

           朝の9時半。  俺はずっとアルトをプレイしていた。  この世界では食事を必要としていないみたいだが、どうやら睡眠は必要らしい。  現にめっちゃ眠い。  てっきり睡眠も必要ないと思っていたが誤算だった。  こんな寝不足のままあと30分でシャイニングの面接が始まる。 「やばいな」  何も準備していない。志望動機とか聞かれたらどうしよう。自己PRはアルトのことを話せばいいが、志望動機はただ、きらりと同じ事務所に入りたいというだけだ。そんなよこしまな志望動機では落とされる

          「転生したらVの世界に」 第4話:出会い

          「転生したらVの世界に」 第3話:視聴者数0人

          「……おかしい」  俺はアルトをプレイしながら呟く。  画面にはバトルロワイアル1位のリザルト画面が映っている。  一方で俺のチャンネルの画面を見つめる。  視聴者数0。 「なんで!?」  俺はうめき声をあげ、何度も画面を見つめるが数字は変わらない。  もう2時間はプレイしている。それにも関わらず視聴者が0ってどういうこと!?  普通の配信者よりも巧みなプレイをしている自覚はある。かれこれ5回は1位を取った。 「ちょっとおい!」  俺は大きな声を上げる。返事

          「転生したらVの世界に」 第3話:視聴者数0人

          「転生したらVの世界に」 第2話:Vライバー

           走馬灯が流れゆく中、俺は意識を取り戻した。  横になっていることは分かる。でも、ここは墓地の前の車道じゃない。  だとしたら病院?  いや、それとも違う気がする。  俺は上半身を起こした。  辺りを見渡すと、そこは俺の自室だった。 「……なんだよ」  さっきまでのは夢だったのか。  嫌な夢を見たもんだ。まさか天の命日に自分が同じように車に轢かれて死ぬ夢なんて。  でも、俺は車に轢かれる瞬間、心の中の闇が晴れた気がした。  やっと地獄から解放されると思った。で

          「転生したらVの世界に」 第2話:Vライバー

          「転生したらVの世界に」 第1話:彼女

           轟霊亜。  一風変わった俺の名前は、ごく普通の親が名付けた。  両親が普通だからこそ、子どもには特別であってほしいと思ったのかもしれない。  そんな親の期待には応えられず、俺はごく普通の平凡な高校生になった。  しかし、今はごく普通の平凡な高校生とはかけ離れていた。  17歳。高校1年生。休学中。去年の夏休みから引きこもり、そのまま夏休みが明けた後も学校に行かなかった。そうして俺は家に引きこもり、ただ時間が過ぎ去ってゆく日々を過ごしていた。  そんな俺の日々はふた

          「転生したらVの世界に」 第1話:彼女

          「転生したらVの世界に」 プロローグ

           俺の彼女は去年、花火のように散っていった。  勇気を出して告白し、付き合った当日のことだった。  夏休み前日。  花火大会に行き、屋台でたこ焼きとかき氷を買って食べた後、神社の階段で花火が打ちあがる直前で俺は彼女に告白し、付き合うことができた。  色とりどりの花火が打ちあがる中、手を繋ぎ、花火を一緒に見上げていた。  この時間が永遠に続けばいいと思っていた。しかし、花火も散り、時間も過ぎ去ってゆく。  幼馴染みの彼女は家が隣で、帰り道も一緒だった。  夏休みが始

          「転生したらVの世界に」 プロローグ

          「How much are you?」 エピローグ

           夕日が照らす教室、桐生仁はひとりノートパソコンに向き合っていた。  相変わらず話しかけづらいと瑠美菜は思うものの、何とか口を開く。 「桐生くん」 「成海か。どうした」 「桐生くんのおかげで、お母さん手術受けられることになったんだ。海外のお医者さんが来てくれるって」 「そうか。それは良かったな」 「なんか、冷たくない?」 「人気アイドル様と話してると目立つんでな」 「もうっ、からかわないでよ!」 「本当に、よかったな」 「うん!」  瑠美菜は満面の笑みを見せる。 「

          「How much are you?」 エピローグ

          「虹の音色」 エピローグ

           あれから一週間後。  神栖さんからの電話はなかった。  それどころか一件もコールフレンドからの連絡はなかった。  そして、僕はあの電話以降、人の声を聴いただけで、心の声も聴こえるように、なんてならなかった。  あの電話でだけだった。やっぱり、僕の思いを繋いでくれる人だけにしかできないことだったのだろう。  僕は大学の講義が終わり、帰宅する。  今日は雨が降っていた。  本館1階を出て、屋根がある場所で鞄から折り畳み傘をさして歩き始めた。  今日はゼミの講義があっ

          「虹の音色」 エピローグ

          「How much are you?」 第27話:花火

           時は遡る。  花火がドーンと大きな音を立てた。ブラインドの隙間から色鮮やかな花火が見える。  ちらと音の鳴る方向へ視線が動いた。いやダメだ。今は仕事に集中しないと。 「おつかれさま、聖城くん」 「……あ、どうも」  桐生部長が僕に缶コーヒーを差し出す。僕は軽く会釈をして缶コーヒーを受け取る。 「まだ仕事終わらないの」 「……申し訳ありません。待たせてしまって。お子さんもいるのに」  丸壱銀行、営業第二部。広い営業室にいるのは僕と、部長のみ。 「いいのよ。ここはよ

          「How much are you?」 第27話:花火

          「虹の音色」 第29話:託され

           深夜1時。  結局僕は昨日から一睡もできなかった。しかし、頭の中は冴えていた。  僕にできることは、僕を信じてくれた人を信じること。僕を信じることだ。  大丈夫。きっと掛かってくる。  そうして、僕ならきっと救うことができる。  僕は携帯電話を持ち、ベランダに出た。  ちょうどそのタイミングで携帯電話が鳴った。  僕は1コール程して電話に出る。 「こちらコールフレンドの桜川です」 『龍神、やっほ』 「神栖さん」  浅い青紫色の声。間違いない。神栖さんの声だ。信じて

          「虹の音色」 第29話:託され

          「How much are you?」 第26話:奇跡

           一週間後。  仁は自宅でパソコンと睨みあっていた。  その後、ふたりの個人株は900万まで上がっていた。  残りのタイムリミットは―――― 1分。 50秒。 40秒。 30秒。   「………………足りなかった。俺には、何もできなかった。救えなかった」  残り100万。あともう少しだったのに。  パソコンの画面を何度見ても900万という数字は変わらない。変わったとしても誤差だ。  変わらない。  結局、俺は人の夢を叶える手伝いができなかった。  あいつの夢は潰えてし

          「How much are you?」 第26話:奇跡

          「虹の音色」 第28話:思いを繋ぐ

           夜が明け、いつの間にか朝9時になっていた。 「……思い、つかない」  ベッドで横になっても頭が働かないため机に向かい、参考書やノートを見返しても答えはない。  カウンセリングに、人を救う方法に答えはないんだ。 「くそ……」  頭が働かなくなってきた。文字を見ても頭に入ってこない。  神栖さんの状況をノートに書きだし、何か解決策がないか考えても、どれも神栖さんを追い詰める方法しかない。ふらふらと立ち上がり、ベッドに倒れる。眠れる気配は一切しない。  いつでも電話

          「虹の音色」 第28話:思いを繋ぐ