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後悔

後悔がないと言えば、嘘でしかないのだ。

どんなに笑って過ごしても
辛くても同じように働いて
休みの日も外に出て

以前と同じように
強く、明るく。

そんなのは、無理だ。

母が亡くなってからずっと年末まで
わたしはそんな風な
特急列車に
気づいたら乗っていたのかもしれない。

演劇をまたはじめて
そうすれば
自分の目を眩ませる
そんな算段もどこかにあったと思う。

そんなことで、何も変わりはしないのに。

それでも、すべてのことを
やってみなくてはならなかった。
特急列車に乗ったから
何とかここまでは来たのだ。

この先は、もう列車を降りよう。
自分の足で歩くのだ。

本当は、後悔していることも
自分を責めていることも
忘れられないことも
まだ壊れそうなことも

そのままで、歩いていく。

わたしが仕事を頑張るのも
大切な人に笑いかけるのも
芝居に挑戦するのも

失ったものを埋め合わせたい
そんな身勝手なエゴかもしれない。

でも、それだけではない。
母を思うことは
母のいなくなった穴を埋めるために
奔走することは
わたしがこの世界に居続けるために
どうしようもなく必要なことだから。

乗り越えられないものを
わたしは、どうしても乗り越えたい。

こんなに弱いのに
何も出来ないのに
野心だけがある。

後悔しかない。
どんなに母に尽くしても
まだしたいことが山のようにあった。
どんなに話しても
話せなかったことが山のようにあった。

間違ったことも足りなかったことも
山のようにあった。

いたらない娘で、いたらない人間だ。
それはこれからも変わらない。

でも、わたしはもう
どんなに悩んでも
前のように参ってしまったりはしない。
休んで、自分でコントロールして
立て直す。

壊れていきそうな自分は
自分自身で立て直す。

もう甘ったれは卒業だ。
わたしよ。
今、頑張って、根を張れ。

どんな理由があっても、今折れなければ
きっと少しは強くなれる。

深呼吸して
一番寒い時期を、土の中で待つ球根みたいに。

自分を信じる。
春を待つ。

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