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慟哭

内側から負けが来る。
負ける時はいつもそうだ。

誰かと何かと一生懸命にやり合っていて
時間すら忘れてずっとそうしていて
体も心も脳みそもとっくに
もうヘロヘロになっていて
それでも組み合っている腕をほどけない。

気づいたら、涙がぽたぽたと床に落ちている。
誰の涙だろうと思う。
気づくと、わたしはひとりになっている。
骨の奥からせり上がって来るような
言葉以前の感情が喉を押す。
うう、と鳴き声をたてて泣く。

辛いのか。わたしは。
辛かったのか。
そうかもしれないし、そうでないかもしれない。
ただ少しの間、泣く必要があるというだけだ。

何もかもが整い始めて
混乱が治まっていく。
日常と日々の労働が戻ってくる。
そんな安定性の何が悲しいのか。
もっと辛い時をくぐり抜けてきた。
やっとたどり着いた今ではないか。

ふと思う。
だからかもしれないと。
そんな時が一番骨がきしむような辛さがある。
そういう生き方の人間もいる。

日常というものはいつだってヘビーだ。
冷静でやるべきことをちゃんとやる。
わたしのような甘い世界観の人間は
ついて行けなくなるときが正直ある。

まだ感傷的なんだよ、こっちは。
そんな風にうそぶいてみたくもなるのだ。

体の中に溜まった水を流してしまったら
きっと少しだけ笑えるだろう。

それでいい。
ゆっくりやろう。

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