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これを書けるのなら僕はロリコンで構わない。

夜の中の少女、浴槽。

「あたし、あなたのこと好きよ」と言ってふざけ半分に笑う少女はもういない、月夜の幻のうちにしまい込まれてしまって、日中に顔をだすことはしなくなった。

冷たい、一人ぼっち。僕はたくさん花を贈ったし、ベッドルームを湿っぽくした。

闇の中で何度も捕まえようとした。いずれもからぶりで、僕の中の思い出だった。灯台に行っても公園を歩いても君はついてまわった。

いっそのこと一人にしてほしいのにいつまでも、いつもとかわらないで、僕だけ変わって、それと、君と一人で海を見ていることが多くなった。

「あっちのほうでおよがない?」
「ほっといてくれ」

僕はいつもの自問自答にそっけなく返す。今海に入ると、そのあたたかさで君の所へ行ってしまいそうな気がする。なんて言ってやろうかといつも思う。でもそんなの自己満足、もうどうにもならない。もうなにも戻らない。

妹、彼女と仲の良かった妹は病的な僕とは対照的に、ケロリとしている。天井を見つめることもしないし、一人海を見つめることもない。

ただ一つ花をたむけるとき一筋寂しそうに、懐かしむような、惜しむ涙を流すだけ。

だけどこれも今だけ、だって妹はまだまだ子ども、僕はもう、忘れたいことのが覚えやすくなった。
20代、ぎりぎり少年と呼べる、いや怪しい。そんなギリ少年だ。

僕はあの子に恋をしていた。年こそ10才は離れていたが本物の性愛だった。少女は風呂場で冷たくなった。2人、おぼれ死んだ胎児を宿して。

肉は触るとやわらかい赤子のままの肌、ハンコ注射のあとなんかまだ新しく見える。
シャワーの音がまだ耳に残っている。学校には私服で通い、毎朝僕が選び、僕も一緒の色を着た。一緒に玄関をでて通学し、一緒に帰った。

風呂場の水は冷たく、そして赤かった。机には花瓶がおかれた。名簿からは名前が消された。下駄箱からは匂いから消えてしまった。運動場の足跡も、みんな知らずに踏み荒らして、彼女のいたことをこれから先、僕以外覚えていない。

そんな気がした。だから僕は彼女によく似た子供をこの変わりゆくクラスの中に求めた。求め続けるつもりだった。何年たっても、今度こそ二人幸せになるために。僕一人が幸せになるために。

はてしない夜の匂いがした。

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