29歳マレーシア、台湾旅行記⑨

四日目、本日から二日間、中学からの幼馴染とその旦那さん、旦那さんの姉、お母さんの4名が台湾に旅行に来るのでそこに合流することになっていた。私、今まで世界20ヵ国以上を旅してきた旅好きではあるが、旅の醍醐味は「どこに行くか」ではなく「誰と出会うか」だと思っている。今までの旅を思い返しても、綺麗な景色や美味しいご飯、様々なトラブルなど心に残る思い出はたくさんあるけど、それ以上に旅先で出会った仲間と遊んだ毎日が掛け替えのない思い出だ。大学の卒業旅行で行ったアルゼンチンでその日泊まるドミトリーが見つからず、深夜に路上で呆然と座ってしていたら、男の人が声をかけてきてくれて「君たち泊まるところがなくて困っているんだろ。今日はこの辺りで祭りがあるからそりゃホテルはないよ。自分の家の部屋が空いているから泊まりな。」と自宅へ招待してくれた。ちょっと怪しんだけど、当てもないの付いていった。結果、その部屋で2泊させてくれた。人との出会いこそが旅行ガイドブックには載っていない唯一無二の旅行を体験をさせてくれる。幼馴染が台湾に行くと聞いて、喜んで便乗させてもらった。私のZINE『人はみな全裸』を読んでいただいた方はご存知かもしれないが、私プロ便乗ヤーを自称するほど、人のプランに乗っかるのが大好きで、普段一人旅をしていて、自分で計画を立てることばかりをしている反動で自分が計画しなくていいときは、とことん乗っかる。もちろんその時の作法として、人のプランに絶対マイナスな小言は言わず、計画者にリスペクトを持って同行し、ポイントではしっかり良いリアクションし、チームの盛り上げに貢献する。全て本音。「天気悪い〜」「入場料高いからやめとこ〜」などマイナス発言は御法度である。お昼から合流して、国立中正紀念堂へ行く予定だったので、その前にひとり腹ごしらえすることにした。金峰魯肉飯という近くにあった評価の高いルーロー飯のお店をチョイス。11時からオープンだったのだが、オープン前には店の前に行列ができていて、少し早めの10:45に開店してくれて中に入ることができた。実はここのお店が自分が台湾で食べたベスト・オブ・ルーロー飯だった。注文すると5分も立たずに運ばれてきて、お肉も量が多く、とろっとろのお肉とその甘辛い汁を吸ったもっちもちのご飯は絶品だった。ルーロー飯は大抵、大か小で選べて、金額も300円ほどなのでファーストフードとしては至高の一品である。中正紀念堂の講堂内で友達家族と合流した。ちょうど兵隊さんが1時間に一回の衛兵交代式をしているところだった。講堂内は窓もなく蒸し風呂状態の激暑で、最初に撮った集合写真の自分はビシャビシャだった。その日は家族で市場などをぶらぶらし、私は二日連続で華山1914文化創意產業園區に行くことになったが、なにせ便乗している身「いやぁ昨日行き忘れた店あったんすよ〜」と言って気を遣われないように尽くした。行き忘れた店があったのは本当であるのでホラ吹き野郎ではない。旦那さんのお姉さんがマッサージを受けたいという話になったので便乗した。”カッサ”というマッサージで、背中を石でゴリゴリと擦られ、圧をかけて血液やリンパの流れをよくするもの。Hawaiiという名前のマッサージ店を選んだ、ハワイアンエロマッサージの店かと思い怪しんだが、店内には日本から訪れた芸能人の写真がたくさん飾ってあり、ベタに安心した。ベッドに案内され上裸になりうつ伏せになると、おじさんが高級マンションのエントランスの床に敷かれてそうな丸みのある石で、私の背中をゴリゴリ擦り始めた。背中の真ん中から外側に向かって肋に沿ってゴリゴリ、首から背骨に沿ってお尻の方へゴリゴリ、それを同じ箇所を何度も繰り返す。「私はお金を払ってこれをやってもらっている。これは気持ちいい施術なんだ。」と自分に言い聞かしても、痛みしか勝たん。起き上がっておじさんにビンタしてやろうかと思ったが、理性に負けた。30分ほどの施術だったと思うが、永遠に感じた。施術して家族とも合流し、感想を言い合ったがなんせ自分は便乗している身「痛いだけで、全然気持ちよくなかったっすわ〜」なんて言うと私をマッサージに連れていってくれたお姉さんが泣き崩れてしまう可能性があるので、ここは私、プロ便乗ヤーとして「痛気持ちよかったっす」とここ一番の便利な日本語を披露して場は和んだ。ちなみに背中は擦られたところが内出血して、赤紫色のアザになっていた。真ん中は背骨のラインにそって点々と赤紫色になっていて「いや山折り線かよ!」とその場でツッコんだらウケていたのだろうけど、このフレーズはその日の夜、シャワーを浴びているときに思いついたので言えなかった。その後家族はホテルの部屋で休むというので、その日はそこで別れ、私はひとり寧夏夜市で夕食を食べた。ウィルスミスが訪れたときの写真が飾られていたごま油スープのお店に行って、山盛りの豚レバースープを堪能した。背中のアザで失われた血液はその日中に取り戻さないと。

つづく

お賽銭箱でございます🙇 毎週、うな重食べたい…