映画「その鼓動に耳をあてよ」

directed by足立拓朗
Documentary film

名古屋掖済会病院の救命救急センターは、救急車の受け入れが年間一万台と愛知県内随一。24時間365日、さまざまな患者が運び込まれてくる。「断らない救急」をモットーに、支払い能力の怪しい生活困窮者まで誰でも受け入れる。
新型コロナウィルスのパンデミックが襲った。救急車は連日過去最多を更新。医師や看護師たちも感染してしまうと隔離され救急の仕事ができなくなる。他の病院が次々と受け入れ不可に陥る中、掖済会病院のベッドもみるみる埋まっていく・・・かつてない窮地に立たされたERのあり方をありのままに映し出す。

気がつくと・・・もしかしてナレーションがなかった??? 
ノーナレとはどこにも、予告にもなかったような気がする。
焦燥感を煽るようなBGMや劇的感を煽るような効果音もショットも排した感じ。
でも、もちろん、監督がいるから、ちゃんと演出や編集はあるわけだけどね。
病院って、周辺の環境が患者層を物語る、そして救命救急の現場では社会の表と裏・・・光と影がはっきり見えてくる・・・・町工場が多いので・・・と医師からの説明があったけど、指を飛ばしてしまったり・・・の事故の患者が多いそうだ。
また、そういった中小企業が多いから、そこで働く人たちも生活困窮者が多い・・・治療費を支払わずとんずらしてしまう人も後を絶たない・・・
ほんと、使命感だけでは保たないんじゃないか・・・大学病院に支えられた医局制度がない救急科を目指す若い医師が減っていると・・・若い研修医さんがいらしたが「最初は、ドラマを見て・・・」がER志望の動機・・・うん、やっぱり今風だよね。でも、どこまでその意気込みが続けられるか・・・精神的に追い込まれやしないだろうか・・・
ただ、この映画では答えを出していくのが目的ではなく、そういった疑問符はそのままにしている。

そして新型コロナ・パンデミックの真っ只中で、追い詰められる救命救急の現場・・・病院の医師や看護師が感染してしまうと、もうその病院では受け入れられなくなり、周辺の中規模病院もどんどん新規患者の受け入れをストップしていくと、もう一極集中的にこの病院に・・・となってしまう・・・

ただ、本当に、あのパンデミック・・・って検証しなくていいんだろうか。
パンデミックではなかったかもしれないのをパンデミック狂騒曲にしてしまってたんじゃないだろうか。いまだに私は「新型コロナをあそこまで酷い状況に陥ってしまったのは、人災だろう」と思ってます。21世紀なのに、もっと賢く立ち向かえなかったのか・・・と。
備えができたんじゃないか・・・と。
だからこそ、今こそ、検証しておかないと・・・「あれは仕方なかった、なんとか必死のパッチで乗り切った」で済ませてはいけないんじゃないか・・・

人が不眠不休の頑張りで乗り切って・・・は、もうこの映画だけで終わりにできたら・・・と願う。

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