映画「市子」

※昨年末に鑑賞した映画のレビューです

directed by 戸田彬弘
starring : 杉咲花、若葉竜也、渡邊大地、中村ゆり、宇野祥平、石田瑠華、大浦千佳、倉悠貴

市子(杉咲花)は恋人の長谷川義則(若葉竜也)からプロポーズを受けた翌日に突然失踪。長谷川が行方を追う中で、彼女の過去、交友関係などに当たり、証言を得ていくと、今まで全く知らなかった彼女の過去、衝撃的な半生が明るみになっていき、その中でさまざまな事実が浮かび上がってくる。市子の人生を狂わせた悲しき宿命、名前を変え、世間を欺き、社会から逃れるように生きてきた「川辺市子」にとって「生きる」とは・・・

とにかく制服を着ていた女子高生? 中学生から大人の女性まで演じ切った杉咲花さんの演技力がまず圧巻でした。
しかも、かなり屈折した、刹那的な生き方をせざるをえなかった市子という女性・・・戸籍がなく、月子として生きてきた時期、そしてまた市子として生きる時期、そのターニングポイントに何があったのか・・・・謎解きというか過去を辿る過程が時間を行きつ戻りつしているけれど、大体の着地点は想像がつく。
そうしなければ彼女は生きてこれなかった・・・その秘密を知った、いわゆる「運命共同体」的な彼、北くん・・・、でも、彼の方は彼女との未来を求めたけど、彼女(市子)の方は、もうそこで未来は終わっていたのかもしれない。忌まわしい過去を知っている男とその後も・・・なんてことはできなかった。
でも、新しい彼(つまり、長谷川)との日々でやっと幸せになれるか・・・というところで、「結婚」となると、市子の背負っている過去はあまりに辛いもので、何も知らない彼と共に背負うなんてことはできない。
そこへ、過去の彼、北くんが再び市子の前に・・・で、ラストは鑑賞者に委ねられているのだけれど、市子がこれだけ壮絶な過去を背負って生きてきた以上、プロポーズを受けて・・・ってのはありえんやろって思った。結局、市子は、長谷川との三年間を胸に抱いて、北くんと永遠の旅に旅立ったのかなぁと・・・

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