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心の穴

若い頃、心にぽっかりと空いた穴を見たくなさ過ぎて、或いは何とかして埋めたくて、いろんなことをした。
誰かと会ってたり、何かに夢中になってる時は、その穴の存在を忘れられたけど、すぐに視界に入ってくる。
それが嫌なのは、すごく虚しい気持ちになることだった。
自分が惨めであることを、少しでも忘れていたかった。

20代後半、私はずーっとこんな風に心の穴に怯えて、逃げるように、その場しのぎで生きていかなければならないのかな。
だとしたら、すごく疲れるし、堪らないと思った。
その頃、キリスト教の神様と出会った。
牧師先生に「人は、みんな心に穴が空いてるんですよ。自分の力でそれを埋めようとするけど、自分の力では埋められないんです。本当に埋めてくれるのは、神様だけです」と言われた。
私は切実に、神様に埋めていただきたい、と思った。

20年が経った。
もう、自分の力で穴を埋めようとは思わない。
穴から目を逸らすこともしない。

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