私は社会の先生を目指している。高校か中学か迷っていたのだが、最近は中学校の先生になりたいと思っている。

 そんな私が教師を目指すきっかけになった先生は、中学の担任であり、社会の先生だったY先生だった。

 Y先生は1年の時の担任だった。先生は女性で、明るく面白い人だった。

 このように好印象に思ってる生徒はかなり少なかったと思う。

 先生は書くことが覚えることに繋がると言い、教科書の重要語句をノートに何度も書かせる課題を出した。

 また、毎回の授業の最初には、前回の授業内容の復習テストをする。授業前の予習プリントもあり、それは授業内でやってきたか確認される。

 どれもそこまで大変ではない。問題数も数問だし、教科書に書いてあるし、ノートをとっていれば復習テストも簡単だ。

 しかしそれをクラスメイトたちは不満に思っていた。

 予習プリントをやってきた友達のを写して、授業に臨むずるい子もいた。

 先生は授業内で、なぜ何回も重要語句を書かせるのかという話をした。

 先生は元々あまり頭がいい方ではなかったそうだ。しかし、そんな自分を変えようと、県内でも5番以内に入るとある高校を受験しようと思い、凄く勉強を頑張ったと話していた。

 その時にこの、何度も同じ言葉を書いて覚えるという方法をみにつけ、それが功を奏したそうだ。

 私はその話を聞いて、先生すごい！と思った。見習いたいと思った。

 しかしその話も周りには響かなかったらしく、授業システムに文句を言う人は変わらずいた。

 先生は当時20代後半で、髪色も他の女性の先生とは違って明るい赤茶色だった。

 私は他の先生と毛色が違くて好きだった。

 私たちは校則で髪色や髪型についてルールがある。だからって先生たちまで、校則を考えて地味にしなくていいと思う。

 女性は特に社会に出たら、なぜかメイクをすることが当たり前になるし(高校で禁止されてても)、私は先生がメイクをしてようと気にならない。

 私たちができないのは仕方がないことだ。おしゃれに夢中になって勉強に支障が出ると言うなら仕方がない。

 しかし先生たちはもうそんな時期を過ごし終わったわけだから、私は文句を言うのはどうかと思う。

 先生の髪色は確かに明るい。でも金髪とか派手な色とは言えないしいいと思う。いつも可愛らしい服を着て、私も参考にしたことがある。

 しかし、そんな先生をよく思わないのは多分、他の先生たちもそうだった。

 確か2年のある集会でのこと。先生たちが順番に話をする。

 私の通う中学は2クラスしかなかったので、担任2人と主任となんの仕事をしてるかいまいちわからない先生が話をする。

 大抵、こういう話って、聞いてるのは生徒だけじゃない。先生たちも聞いていて、その後話す先生が「さっき○○先生もこう言っていたけど…」と話すことも多い。

 だから、先生も先生の話を聞いていると思っていたのだが、Y先生の時だけ、先生たちが少人数で打ち合わせらしきものをしたりするのだ。

 また、Y先生の話を引用する先生もいなかった。

 Y先生以外の先生はみんな50代を超えている。先生だけ若いから浮いている気もした。

 だからといって、扱いが違うので酷い。

 1年の時、先生が渡すはずのプリントを渡すのを忘れたときがあった。もう忘れたが、先生が出張かなんかで帰りの会に出られなくて、代わりに教頭が来た時。

 プリントを渡された？と聞かれ、渡されてないと言うと「はぁ、Y先生は…」と怒ったような口調で言ったのだ。

 人間忘れることくらい当たり前にあるのに。それを生徒の前で言うなよと思う。

 先生とは1年も2年も担当だったから、3年も担当してくれて卒業を側で見てくれるだろうと思っていた。

 しかし先生は私が3年の時に、1年の担任にされてしまった。

Y先生以外の先生たちは変わらずだった。代わりに担任になった先生はY先生より少し年上の30代前半くらいの男のA先生だった。

 その先生は自分で「なかなか教員になれなくて。やっと今年担任を持てたんだ」と言っていた。となると、Y先生の方が、若く早く担任になったのだ。

 Y先生は私の学校の前にも担任をした学校があったし。

 とある授業で、隣のクラスの担任やなんの仕事をしてるかわからない先生が仕切りにA先生を褒めるときがあった。

 「若くして担任になったのよぉ、凄いわねぇ」とか、「A先生は明るくて良いなぁ」とか。

 正直、A先生より若くて担任を既に前任校で持ってるY先生だって凄いだろ、と思った。明るいのはY先生も同じだ。

 なぜY先生だけと思った。嫌われるような部分があるのかと思った。

 私は1年の時からY先生が好きで、憧れで、こういう教員になりたいと思っているので不思議だった。

 先生は同級生たちからも好かれていなかった。先生の顔がとあるポケモンに似ているのであだ名はそのポケモンの名前だった。

 そのポケモンは有名なピカチュウとかリザードンみたいなかっこいいやつではない。

 顔がポケモンと似ていてバカにしているようだが、そのポケモンは確かに進化前は弱いかもしれない。

 しかし進化先は強くてかっこいいポケモンなのだ。一周まわって褒めていたのかなと思う。進化先が凄いポケモンを出すのは違うよ。

 もし教育実習先が先生のいる学校だったら嬉しいと思う。

 この間、とある授業で、講師と話していたら、その先生が受け持ったことがある学生がY先生だと言うことが分かった。

 なら先生の話を聞けるかもとワクワクしたら第一声が「地味だったでしょ？笑」と言うので腹が立って、そこだけ私に似合わない大声で「明るい先生でした！」と言ってしまった。

 先生は見た目も態度も全然地味じゃない。

 学生時代のまま先生やってるわけないだろと思う。

 というか、先生はそういう風に学生を見るのねと思ってガッカリした。

 確かにその先生は、授業内でも、見た目が可愛らしい同級生にばかり質問をしていた。

 私やその他の学生には質問して答えたら終わり。しかしお気に入りなのか分からないがとある同級生には質問攻めをした。

 この子がお気に入りなのだと思った。結局そうやって何年も大学教員をやってきたんだろう。

 自分の好みの子をあからさまに興味があるような話し方や態度をして、興味のない子は眼中にない。

 地味な子？そういう見た目や性格で判断するんだ。中身や大学時代の頑張りなどは無視ですか。

 私はその先生に半年受け持ってもらうのが少し不安になった。

 今どきそうやって人の見た目とかで判断するのはだめ。教えたことがある子だよでいいのに。なぜそこまで踏み込んでしまったの。

 先生が可哀想。私はとても好きなんだけど。

 どうして先生の良さを分からないかなぁと思う。この先生も、気づけなかったのだなと可哀想に思う。