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「眠れる森の美女」星占考察 〜ルッキズムの物語なのか〜

「眠れる森の美女」の物語は絵本やDisneyの映画で、よく知られている作品ではないかと思います。「魔法で眠らされていた美しい姫が、王子のキスで目を覚まし、結婚し幸せになった。」と。

このロマンティックな童話が、ロマンティックな存在であり続けるのは、わたしたちが幼少の頃までだろう。

大人になっていく中で時代の価値観も変わり疑問が生まれる。「姫が美しくなければ物語はどうなっていた?」「女性の幸せは、男性に見初められることだけ?」と。

「ルッキズム」という言葉がある。容貌差別。身体的に魅力があるかどうかで人を差別すること。わたしはここ数年ほどで知った言葉だが、1970年代に作られた言葉だそう。今では「眠れる森の美女」にはルッキズムとジェンダー問題が含まれる物語と捉える人も少なくないはずだ。

この童話をもとにつくられたクラシックバレエ「眠れる森の美女」がある。
チャイコフスキーが作曲し、1890年に初演を迎えた全三幕の作品だ。

クラシックバレエ版「眠れる森の美女」第一幕のあらすじ
生まれたばかりのオーロラ姫に6人の妖精がそれぞれ「やさしさ」「元気」「鷹揚」「呑気(歌声)」「勇気」を授ける。
そして最後に妖精の中で一番高貴な「リラの精」が優雅に舞い、祝福する。
しかし姫の披露の席に招かれなかった「悪の精・カラボス」が城に現れ激怒し、「この子が16歳になったら、針に刺されて命を落とす」と呪いをかけてしまう。
リラの精が「いいえ、命お落とすのではなく深い眠りにつくのです。」と呪いを和らげカラボスを追い返し、第一幕は幕を閉じる。

わたしはこの「リラの精」の音楽がとても好きです。
1800年代に作られたものとは思えぬ現代的な斬新なメロディで、妖精の踊り以上にすべてを超越したような…広大さを感じさせます。聴くたびにわたしはなんとなく「ユニバース」という言葉が思い浮かぶのです。

「どうしてリラの精の踊りの音楽は、こんなに“ユニバース”なんだろ?」
その時にふとひらめいたのが、妖精の数が「6人」ということです。

少し前、映画「TENET」公開に合わせて行われていた監督の過去作品の上映で「インターステラー」をIMAXで見直しました。キリスト教的表現が随所に見られ「12人の宇宙飛行士」が「12人の使徒」をモチーフにしていることなどから「6人の妖精」という数字の意味を考えたのでした。
そして星占い師はひらめいたのです。

この6人の妖精は、「惑星(天体)」なのでは、と。

そして悪の妖精を加えると、妖精は7人です。

星占い=西洋占星術はメソポタミアの時代に起源があるとされる古い占いです。その頃はまだ望遠鏡が今ほど高性能ではなく肉眼で確認できる天体と星座をつかって占っていました。その肉眼で見つけられる天体というのが「月・水星・金星・太陽・火星・木星・土星」でした。

星占いでは、それぞれの天体に意味を与えて占います。
これが先の6人の妖精がオーロラ姫に授けたものに似ているのです。

月…包容力、安心感=やさしさ
水星…コミュニケーション・要領の良さ=呑気(歌声)
金星…喜びと美=鷹揚
太陽…主体性=元気
火星…積極性=勇気
木星…拡大・発展・探究の吉星=リラの精

と、割り振ることができます。

…土星が余りましたね?
これを悪の精カラボスに割り振ることができます。
(土星はもともと凶星のひとつとされていました。また、木星に上回る力があると位置付けられます。)

〜〜〜〜〜

ということは。
オーロラ姫は、誕生日の席で悪の精カラボスも含めた7人の妖精から、7つの惑星のエネルギーを授けられた…つまり彼女は「宇宙のエネルギーを内包している」と言えるのではないでしょうか。そう考えると、その名前の「オーロラ」にも宇宙の力を感じさせられます。

彼女はただその容貌が美しかったから、王子様に見初められたのでしょうか。

もしかすると、その美しさは「宇宙の神秘」の比喩だったのかもしれません。王子が木星(リラの精)の導きにより、土星(困難・カラボス)に打ち勝ち、宇宙(オーロラ姫)へ近づき結ばれる。眠れる森の美女とは、いばら(困難)の向こうにある宇宙への希求の物語なのではないか…

そして、姫はなぜ100年もの眠りについたのか。
これは、土星の性質から理解できるかもしれません。星占いで土星は「厳しい教師」と言われます。能力を安定して使えるよう、時間をかけて鍛錬させる星、とされています。
姫の100年の眠りは、城ごといばらに包まれ人目に付かなくなりますが、これを「鍛錬の時間」と考えるのはどうでしょう。悪の精カラボス(土星)によってかけられた呪いを解くために長い時間の辛抱が必要だった。そして修行の時間が明け彼女は自身の美しさに甘えるでなく、自分のものとして内包できるようになった。人からは「眠り」に見えるような時間、彼女は彼女なりの成長を遂げていたのでは…

〜〜〜

7つの天体は、いつも地球の周りをめぐっています。
(昔の人は、天動説を採用していました。)
あなたが生まれた時も7つの天体は地球を取り巻いていて、あなたの中にも7つの天体があると星占いでは考えます。すなわち…すべての人が眠れる森の美女と言えるのです。

オーロラ姫が針の毒で眠りにつく16歳の誕生日の席は、王宮の庭園で行われますが、そこにはバラの花が姫の美しさに寄り添うように咲き乱れています。バラが咲くのは主に5月と10月。オーロラ姫はおうし座かてんびん座の可能性が高い。(ディズニー版では、映画の公開日の1/29とされているようです。)

おうし座とてんびん座は金星の加護を受ける星座とされています。
ピンクの香り高いバラも金星のアイテムで、愛と美の女神ヴィーナスがモチーフとなっています。眠れる森の美女は、宇宙、とりわけ金星の物語だと思います。なにを持って「美」とするのか。それは観る人に委ねられているのかもしれません。

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