ねだるな、勝ち取れ、さすれば与えられん。2019 J1リーグ第30節マリノスVSサガン鳥栖 プレビュー

ついにリーグ戦も第30節。ラスト5の戦いです。アウェイで戦う今節の相手は、サガン鳥栖。私は久しぶりに参戦出来ない試合になりますが、たくさんのサポーターが後押しをしてくれるでしょう。

サガン鳥栖は、ミョンヒさんが監督として再登板されて20試合を経過し、積んだ勝ち点は28。降格するようなチームの勝ち点の積み方ではないですが、決して、多くはないのです!年間勝ち点50いかないペース。

つまり、今節も今節とて、普通に勝たなければなりません。湘南戦に続き、『俺達は強い』と信じぬく気持ちが大事。圧倒的精神論!

確かに去年の苦い思い出はありますが、マリノスは、去年と今は全く別物ですし、シーズン序盤の前回対戦時とも別物です。それは鳥栖もまた然り。ミョンヒ監督はやり方をアップデートして来ています。マッシモさんや、カレーラスさんの要素も吸収しつつ、独自に進化もしている印象を強く持ちます。それでもマリノスの方が、進化のスピードは速いと断言できます。意図を持ったチーム構築がいかに重要か。もう一度いいます。『俺達は強い』。

フットボールラボのマリノスのチームスタイルのデータとか見てくださいよ。こんなにポジティブに変色しているチームは無いのです。そりゃ、ビジャも褒めてくれるさ。

では早速、前回対戦の振り返りから、いつもの様に進めていきましょう。

1,【5節ホームサガン鳥栖戦の振り返り】

サガン鳥栖との前回対戦は、ホームで0-0のドロー。ゴールシーンが無いので、何をする相手に、何をしようとして、何が足らなかったかを簡易的に記載出来ればと思います。これは、今回対戦にも役立つかな?たぶん。

まず、内容の薄い前回対戦のプレビューはこちら。

この試合、マリノスはパギが初先発。ブンちゃんが代表帰り&まだ戦術に慣れていない事もあり、軽く実験的に左SBに広瀬を持ってきて、右SBに復帰した松ケンを配置。

鳥栖の守備は、442ブロックで、人を監視して食いつくスライド守備がベース。2CFがストーンになり、アンカー喜田へのパスコースを消し、喜田に無理やりパスが入れば、鳥栖CHが食いつく。

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そもそもは、トーレスを最大限活用したい意図もあり、CFにはストーンの役割を与えていたと思います。この試合ではいなかったけどね。

そして、マリノスWGには鳥栖SBがつきますが、マリノスのIHがボールに関与しようと動けば、ライン間への意識は薄くなり、そこを攻略出来る事が多かった試合でした。

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プレビューにも書きましたが、鳥栖の44のラインが綺麗でないのも特徴でした。
これに対してマリノスは、まず、鳥栖の守備のやり方をよく観察しました。

鳥栖のストーンである2CFの動きの確認をし、喜田が最終ラインに落ちてビルドアップするとどうなるか、松原を最終ラインに残すとどうなるかを実験。

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結果、喜田を残して鳥栖の2CFと2CHをピン留めしたまま、鳥栖2CFの脇のハーフレーンから、松ケンのビルドアップ能力を使った方が、攻略出来ると判断しビルドアップの形を確定。

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松ケンという、ビルドアップの入り口を定めたマリノスは、簡単にWGのテルを使ったり、IHの三好が一度降りて来て、空けたスペースを自ら使ったりしていました。

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こんなのとかもあった。

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ここまでは、本当に素晴らしかったのですよ。ただし、ハーフスペースではなく、ライン間のハーフレーンの攻略になってしまい、かつ三好がスルっとそのまま行けてしまうものだから、中央からの崩しが増えてしまいました。

もちろん試合の中で、サイドを上手く使って、ハーフスペースの攻略をしているシーンもありましたが、うーん、少なかったよね。

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ライン間を攻略するのも大事ではあるのですが、最終ラインを食いつかせて、その裏をもっと狙いたかった試合でした。とはいえ、これは5節の話です。今でこそハーフスペースないしは、チャンネルの攻略が有効というのは、選手もサポーターも分かっていますので、この様な展開にはならないでしょう。『俺達は強い』。

という事で、前回対戦で見えたサガン鳥栖の特徴の一部は、現在のサガン鳥栖でも見られますので、こんなだったねと思い出したら、現在に進みましょう

2,【サガン鳥栖の守備】

まずは、サガン鳥栖の守備です。基本的には442ブロックで人につく守備。
スライド守備ですが、コンパクトさに欠けます。これは中央を圧縮する事が第一だからで、サイドにボールが出れば全体がスライドするのではなく、SBが1人で出ていくというイメージ。

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要は、真ん中を攻略されなければ良いだろうというディフェンスをしてきます。そのため、サイドは空くし、ボールを出せば、必然チャンネルが空きます。

チャンネルが閉まりやすいのは、押し込んだ時です。押し込むとSHやCHが下がって6バックになりやすいです。

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ミョンヒ監督としては、攻撃の余力を残したいので、クエンカとかCHは出来るだけ最終ラインに落としたくなさそうではあります。特にCHが落ちるとバイタルは空き、セカンドボール取れないし、ミドル打たれるしで良いところなし。

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さて、もう少し深く。鳥栖は、ミドルゾーンでのブロックも前プレも行ってきます。前プレはブロックの守り方の延長線上にあるため、まずはブロックから。

最初に、鳥栖の2CFがこちらのCBにアプローチをかけてきます。次に、3枚ビルドアップをこちらが選べば、2列目の4の内1枚が出てきます。要は、433の様な形になります。

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こちらのビルドアップ隊にしっかり噛み合わせてくるでしょう。
しかも2列目の守備ラインは、最初はこちらのCHやSBを泳がせてきます。泳がせて展開を予測し、網を張り引き付け、ボールが出たら強襲という守備の仕方をしてきます。

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ここら辺は去年と同じですね。特に鳥栖のCH(特にジョンス)は、離れすぎ、食い付きすぎの極端な傾向がありますので、そこらへんも突きたいところです。
この1次防衛ラインを突破出来れば、最終ラインはそこまで食いついてこないので、マルコス(またはマルコスが降りた場合は、そのスペースを使う別の誰か)と3トップ対鳥栖の最終ラインという構図までは持ち込めます。

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では、どう鳥栖の防衛線を突破するか。簡単に言えば、相手の予測を超えたボールと人の動きが出来れば良いのです。トラップでも、ポジショニングでも、球離れを速くするでも構いません。
仮にここで詰まるなら、今度は相手の前プレにくる習性を上手く利用して、ビルドアップで数的優位を作るために、パギがビルドアップに参加できるくらい、低い位置に相手を誘い込めば良いです。

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さらに、鳥栖の前プレは、ハイラインの突貫型。ブロック時には食いついてこなかった最終ラインのSBが食いつくようになります。これは鳥栖のネガトラ時も同じです。これにより、鳥栖は前プレとネガトラ時は、最終ラインはCBだけで守る事になります。

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こうなれば、パギから直接か、一人経由して、SB裏をマルコスやエリキが狙えるようになります。
パギから前方にフィード出来るならば、CBを釣り出す事が出来るし、そもそもCB含めた最終ラインにスピードはないので、カウンターを決める事が出来ます。

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まぁ、何度もカウンター決めると、前プレしてこなくなるかもしれないですが・・・。そうなったら、ブロックを崩すしかなくなりますね。

なので、端折った『マリノスなら鳥栖ブロックはこう崩す』というのを少し記載します。
イメージしやすいので言えば、最近マリノスではよく見る方法。鳥栖CHをピン留めするポジションをこちらが取り、ハーフレーンにSBを動かして、ポジションニングで崩す方法をとるでしょう。

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大事なのは、CHを食いつかせること。これで、狙っている3トップ+マルコス対鳥栖最終ラインの形にすぐに移行できます。

鳥栖の44ラインはバラバラですので、2ラインともにギャップは作りやすく、マルコスに入った際に、CBが食いつけば、その裏が空きます。前述したように、チャンネルも空きますが、CB間も広めなので、スルーパスは出しやすいでしょう。

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また、前回対戦でもあったように、鳥栖は中央を閉めたがるので、出来るだけサイドを利用して、攻略したいです。今回は、最初から前回対戦の反省を生かしたい。

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最終ラインを広げたら、

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この時、ゆっくり攻めると押し込み過ぎて、鳥栖は前述したように6バック気味になるので、そうなれば、後ろに戻してリセットする事も大事になってきます。

3,【サガン鳥栖の攻撃】

続いて、鳥栖の攻撃です。基本はオーソドックスな442スタイルに見えますが、左SBがよく上がり、攻撃時はすごいアシンメトリーになります。こんな形の攻撃になりやすいです。

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極端に図解しすぎましたが、イメージです。では、鳥栖の理解をするためには、まずは442の攻撃手法のおさらいをしましょう。基本はSHが絞って、SBの上がれるスペースを作ります。

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鳥栖はここに、SB裏の空いているサイドのスペースをCFやSHが利用します。金崎の十八番。今節いないけど。

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正直、これに関しては、使いたいならSBの裏をどうぞ使ってと思います。そこの攻略に無理をしてくれた方が鳥栖の守備は弱くなるので、簡単にクロスを上げさせなければクロスはズレるし、セカンド回収したら鬼攻めするけど?という気概で最後をやらせなければ、綺麗にカウンターは決まると思います。

走るハードワークでは負けない自信もあるし、選手の献身性はかなり高いチームになっているマリノス。おっと、鳥栖の攻撃の話でしたね。私的には、ファーサイド豊田にシンプルにクロスとかの方が怖いので、サイドで崩そうとしてくるのは、どうぞどうぞです。殴り合い上等!

ここまでが前線+SBの選手の考え方です。ではビルドアップはというと、CB2人が守備型であまりビルドアップが上手ではないので、CHには原川やジョンス、GKに高丘が使われる傾向があります。

GKの高丘は足元が上手く、パギほどではありませんが、CBとパス交換も出来ますし、フィードも上手です。低い位置でのビルドアップは高丘を使いますが、最終ラインのポジションを上げなければならなくなると、CHが1名降りて、SBを1枚あげ3枚ビルドの形を作って、CHを前線へのボールの供給源にします。

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はい、最初の図にもどりましたね。
供給源から、クエンカや上がったSBにパスを入れて、シンプルにサイドを攻略してきます。つまり、サイドからクロスが基本の攻め方になります。あとは、サイドからハーフスペースを狙ってくる事もあり、クロス(空中戦)+ハーフスペース(地上戦)の両方の攻め方をやりたそうな雰囲気です。この地上戦はマリノスの型に近く、5レーンの意識があります。
この考え方は、カレーラスの残滓か、それともミョンヒ監督のアップデートなのか。カレーラスに比べて、しっかり繋ぐ意識がある監督だと感じますが、主体の攻めはまだクロスです。でも、色々ミックスされているサッカーをしてくる印象です。故に、鋭利ではありません。

また、CHは降りきらずに、235的ビルドになる場合もあります。

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これに加えて押し込めれば、アイソレーションして、226気味にもなるし、CHが1枚降りて316気味にもなります。

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また、最終的には困ったら豊田に蹴ろうというのも、まだ残っています。これは鳥栖にとっての、あんしん毛布で、相手にとっては、ケア材料になっています。クロスターゲット含めて、豊田のところは潰したいですね。後はセットプレー。一番怖い。
そして、重要な事をもう一つ。パワープレーもしてくるので、点差をつけて試合終盤を迎えるのはとても大事です。

4,【最後に】

さて、スタメン。

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マリノスは、テルに無理はさせないと思われるので、ケイタが右WGでしょう。後は変更なし!
サガン鳥栖は、変わるのは出場停止の金崎→金森、右もドリブラーにして、左右で同じように攻めるために福田→安だと思われますが、サカダイ予想はジョンスを一列下げるとのこと。うーん、なきにしもあらず。

という事で、今回は長いのを読んでいただきましたが、まとめません。まとめられません。これでも、だいぶ削った。言える事はひとつ、みんな勝って帰って来い横浜に!

参戦される皆さん、本当によろしくお願いします。

ここまで読んでいただいた方、読後に何かのアクションを行っていただいた方に感謝いたします。

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