「マルコスさん、目を閉じてイメージして、それから思うままにやってみなさい」2019 J1リーグ第21節マリノスVS清水エスパルス プレビュー


はい、図解しくじりました。ホームアウェイのユニフォームの色を変えずに作りました。オレンジ清水。白マリノスで統一されてます。

0,【シティ戦に関して】

今日は、本題に入る前に、少しシティ戦に関して。

先週行われたシティ戦は、マリノスの選手達にとって良い経験になりました。特に、判断の質が今までよりも飛躍的に向上しました。これは、シティが中間ポジションを取るディフェンスで、ある程度の強度で来てくれた事が一因です。マリノスの選手達は、いつボールを取られてもおかしく無い状況に放り出されたことで、パススピードを上げ、取られてもすぐに取り返すんだというスイッチを入れました。そのため、ネガティブトランジション時に、リーグ戦の様に、ボールを奪われてうなだれる選手の姿はありませんでした。
あれ、自動車教習所に通い始めた?と思うくらいの、『かもしれない』スタンス。

パスを奪われるかもしれない。後ろにDFがいるかもしれない。自分より前の選手が抜かれるかもしれない。
必然、敵味方の位置情報取得の頻度は高まり、プレー選択の判断は速くなります。準備をするというのが如何に大切か。トランジションを大事にするマリノスでは、この部分の向上が勝敗に直結します。この強度に相手を引きずり込めれば、今後のリーグ戦はとても期待出来るでしょう。

0.1,【いつもの前段】

では本題。タイトルの元ネタを分かる方はいらっしゃるだろうか?いや、違う。そうじゃない。
マリノスはこの水曜日に行われたACL組の試合によって、暫定ではなく、正式に2位となりました。パチパチ。でも満足はせんよ。
8月は清水・鹿島・C大阪・名古屋・G大阪と嫌な並び。これらのチームとの前半戦の対戦成績は2勝1分2敗。後半戦は全部白星にしたいです。

さて、前節から2週間空いての今節は、アウェイで悔しい思いをさせられた清水エスパルスをホームで迎える一戦。
清水は2週間の準備期間があった事と北川が移籍したため、15節のアウェイ戦同様、どんな事をしてくるかが全く読めません。
浦和戦、神戸戦に続き、盛大に外す予感。どうせ外すなら、楽しもうぜ!
今節は読み物としてお楽しみください。

とはいえ、直近3試合を見る限り、前回対戦時から大きな変化は見られない清水ですが、いくつか進捗している印象です。この進捗の部分の解説と想定される相手の出方に対しての対策を本プレビューは主にします。

では早速、前回対戦の振り返りをし、相手のベースを確認しましょう。

1,【15節アウェイ清水戦の振り返り】

アウェイ15節の前回対戦は、3-2でマリノスは逆転負け。残り10分に2-1とリードしたところで、マルコスが興奮し、ゴール後のキックオフ前のボールを蹴ってしまい、この日2枚目のイエローで退場。そこからは数的不利にも関わらず、みんな前へ行ってしまい、清水のスピードある攻撃陣に対して、簡単に決壊をして2失点という内容でした。

前半の清水は予想通りの4231(442)の布陣で、ゾーンディフェンスであるものの、人につく守備のためマリノスとしてはやりやすく、ビルドアップの部分は良い様にやれていた前半でした。そして、32分に先制。

先制シーン。

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エジガルが落ちて、AJのパスを受け、清水CHを引き付けて喜田へ落とす。フリーの喜田がIHのポジションを取った和田へスルーパス。和田の切り返しがちょっと長くなりましたが、エジガルが走りこんできておりゴールゲット。

前半のスコアはこれだけ。マリノスは崩せるシチュエーションは作るも、決定機は少なく、もっとゴールを奪うための動きが欲しかった。もう1点欲しかった展開でした。

後半、マリノスは脳震盪のチアゴを広瀬に代え、右SBの和田を急造CBへ。最小失点差の清水は守備の形を、マリノスの布陣にかみ合う様に、4141に変更してきます。

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よりマンツーマンっぽくプレスを掛けてきますが、マリノスはGKのパギを上手く使うことで、相手DFのギャップを作ります。

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しかし、特攻守備の清水の圧力にだいぶ押される時間も増え、CKから同点に追いつかれてしまいます。ファーサイドでの折り返しをボールウォッチしてしまい、フリーでヘディングされての失点でした。おそらく、デザインされたセットプレー。

それでも、上手くやっていたんです。マリノスは。しっかり追加点を奪います。エジガルのCB引き連れに反応し裏に抜けるテルに、落ちたマルコスがフライングスルーパス。そのままゴール。3人の動きだけで、見事に崩しました。

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しかし、ここからは前述した悪夢でした。
数的不利にも関わらず、ハイラインで勝負し、ボールを奪われ陥ったピンチで連続失点。そして、タイムアップ。

正直、勝利をプレゼントしてしまった試合でした。
だから、今節ではきっちり返してもらわなきゃ。俺達の3ポイント。

そしてここからは、いつも通り清水の守備と攻撃の解説を行うのですが、清水の基本構造は変わっておらず、その理解には15節のプレビューを読んでいただけると良いかと思いますので、お時間ある方はこちらも読んでみてください。

2,【清水エスパルスの守備】

では、清水エスパルスの守備です。基本は変わらず、4231(442)の布陣です。
人に付いてくるのも変わりません。強度は高くなったかなと思いますが、やっぱり食いつきます。皆で食いついてきます。ヘナトなんて相当釣れます。

そして、プレスしてくるかどうかですが、対戦相手や試合展開によってスタンスが違います。ビルドアップに難点があるチームやビハインド時には、プレスをしてきます。ただし、前後分断です。

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また、プレスからブロックに移行した時にも、色が出始めており、ブロックの横幅は狭くする傾向にあります。そして、そのブロックごとボールサイドに寄ってきます。中央だと、

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サイドにボールがあると、

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どこにボールがあろうと、どちらかのサイドは空けて来るので、中央経由で外側に運ぶか、サイドチェンジパスをバンバンいれたいです。

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ここまでくれば、清水の弱点は変わりません。
ボールウォッチャーなので、相変わらずクロスに弱いです。さらに、チャンネルが空きます。こちらがチャンネルに行こうとするとCBがスライドしてくるので、今度はCB間が空きます。これらの事から、やはりチャンネルとなるHSを突きたいですね。

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そして前回対戦同様、試合途中に4141に布陣を変更してきます。つまりこれは、マリノスに対してのアプローチではなく、自分たちが攻撃的に守備をしたいから取っている手段で、意図的に4141を組んで来た神戸に比べれば、躱せるプレスだと思います。焦らずにパギを使ってビルドアップしたいところです。
清水のSHがこちらのSBを見そうなので、CBで相手のIHを誘って、喜田、タカ、三好で攻略したいです。

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清水は、この4141の後に343の形をとって来る試合もありました。正直、意図が見えないので、単純に配置を変えて相手DFを混乱させたいのでしょうが、効果はどうだろうかという感じです。

後は、やっぱり清水がどんな布陣でくるかです。
北川もいないし、前回対戦では4231ブロックよりも4141の方が嵌まってたし、神戸も上手くやっていたから、よし4141で前から行っちゃおう!
って篠田さんは考えないだろうか、いや考えるでしょう。という事で、4141布陣で前プレスタイルで来ると予想します。

こうなればマリノスは、何度も言っているように、パギを使ってのビルドアップです。
ルール変更により、ペナルティBOX内でゴールキックを受けられる様になりましたが、これが確実に良い方に行くのではと見ています。

3,【清水エスパルスの攻撃】

続いて、清水エスパルスの攻撃です。前回対戦のプレビューに記載のとおり、442を始まりとして、424から244と変化するのが主体です。やはりクロス攻撃が中心。中心ですが、前線の連携が良くなったことで、ある程度424の段階で中央の崩しも出来る様になっています。ここは前回からの進捗。つまり第2段階もそこそこ怖いよと。特に数的同数で攻め込まれる局面が出来ると、崩される危険性はあります。

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これを耐えたとして、次のフェイズである244の段階まで来られると、CKを取られる危険もありますので、セットプレーで高さという武器を持つ清水相手には得策ではありません。

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こうなれば、マリノスは清水ファーストフェイズの442のうちに、ガンガンプレスを行いたいところ。奪いきってショートカウンターか、ドウグラスの方を切りながら、無理なロングボールを蹴らせて、セカンドを回収することが大事です。

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続いて進捗したなぁと感じる代表的な部分は、2CHの動きです。ここはひょっとすると、前回対戦時に私が見落としているのかも。ヘナトの能力の高さ故だと思いますが、中央をヘナトに任せて、竹内が左SBへ移動。左SBの松原を押し上げてきます。松原にクロスの精度を求めているわけでは無いと思うので、西澤を中央に絞らせて、WGの様に使いたいという意図でしょう。

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ただ、ずっと左SBになるわけではなく、中央が薄いなと感じた場合にはちゃんと戻ってきますし、4141化する時には、前線に絡む動きをするので、頭の良い選手だなという印象です。

ただ、左SB化している状態でボールを奪えれば、素早いポジティブトランジションによって、竹内のいたところを狙って使えます。

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一方のヘナトは、中央を担当させたい様で、竹内の様な横の動きはあまり無いです。基本的には中央の上下動で奥行を作るのが攻撃時の役割です。これによって、エウソンが松原の様に押し出される設計にはなっていません。エウソンの登場は押し込んでから244の形に移行する時になります。

こうなると、ヘナトはCB間に落ちて3枚ビルドアップを形成するか、前線へのパス出し、アンカーの位置でサイドの数的優位形成に参加するのがパターンです。

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攻守ともにヘナトの役割が重要なので、ここを封鎖出来るとマリノスとしては楽になります。

この様な関係性がある中、竹内がCB間に落ちるケースもあります。これは前節の神戸と同じやり方になります。

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この場合、マリノスとしては清水のビルドアップ3枚にプレスをするにあたって、

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これだと厳しいので、3枚ビルドを2枚で見る形をつくり、WGで清水SBを見たいところ。

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ここまでが、前回対戦のプレビューに加わった基本構造と対策です。でも、守備の項目でも述べた通り、4141で来るのではと予想しています。

そもそも、4141は守備時には前線の枚数が増え、攻撃時には前線の41がマルチロールになり、攻撃的にやれますが、やはりアンカーの脇が怖いので、篠田さんはリスキーだと感じているはずです。だから、序盤からは使わずに、攻撃的に行きたいときに使ってきました。しかし、前回対戦の情報と、前節のマリノスと神戸の試合を見ていれば、4141で来るんじゃないかなと。この場合も、WGが清水のSBを見る事が大事です。

最後に、守備の項目でも記載しましたが、4141の後には343が控えています。ヘナトがリベロになるのですが、攻撃的側面で見ても、やはり謎です。

4,【最後に】

ではスタメン。

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マリノスはエジガルが怪我のため、マルコスをトップに上げて、三好をトップ下へ、チアゴが出場停止なので代わりにドゥレ。CBはチアゴと同タイプの伊藤が入っても面白いのですが、何かあった時を考えると伊藤は手駒で持っておきたいです。
清水は何度も言ってますが、北川の移籍に伴い始めから4141で来ると大胆予想します。

まとめます。マリノスボール保持時は、前プレを躱す事、押し込んだらサイドチェンジを使ってHSを素早く攻め切る事。マリノスボール非保持時は、上手く前から嵌める事。ここら辺がポイントになります。

基本は前回プレビューに追加しているだけですが、そこそこの文量になってしまいました。15節のプレビュー含めて、改めて全部読んでいただいた方は、相当な文字数を読んでいただいたかと思います。ありがとうございます。

こんだけ書いておいて何ですが、この試合は、正直理屈ではないと思っています。あの日の借りを返す。選手もサポーターも相当な思いがあります。特にマルコス。さぁ、8月を勝利で始めよう。

ここまで読んでいただいた方、読後に何かのアクションを行っていただいた方に感謝いたします。

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