ハイネ「ばらや 百合や 鳩や 太陽が…」(ドイツ詩を訳してみる 35)

Heinrich Heine (1797-1856), Die Rose, die Lilie, die Taube, die Sonne (1827)

ばらや 百合や 鳩や 太陽が
みんな 好きで 好きで しあわせだった。
でもそんなものもう好きじゃない、好きなのはただひとり
小さくて 繊細で 清らかで かけがえのないひと、
そのひとそのものが すべての愛のみなもとで
ばらであり 百合であり 鳩であり 太陽なのだ。
Die Rose, die Lilie, die Taube, die Sonne,
Die liebt’ ich einst alle in Liebeswonne.
Ich lieb’ sie nicht mehr, ich liebe alleine
Die Kleine, die Feine, die Reine, die Eine;
Sie selber, aller Liebe Bronne,
Ist Rose und Lilie und Taube und Sonne.

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シューマンの歌曲集『詩人の恋』(1840年)[楽譜]の第3曲で有名です。シューマンは5行目の Bronne(みなもと)を Wonne(喜び)に変更しています。

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ロベルト・フランツによる歌曲(1861年)[楽譜]もあります。

またジャコモ・マイアベーアによる歌曲(1838年)[楽譜]の前半もこの詩によります。


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