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パンプキン・パイとシナモン・ティー

「パンプキン・パイとシナモン・ティー」


…不思議な歌です。
いきなり喫茶店の場所の説明から始まるこの曲。
作者のさださんが、果たして実在したモデルを使ったのかどうかは分かりませんが、ここまで詳しく書かれていると「どんな場所だろう?」と検証したくなります。

二丁目の交差点から17軒目であること。
平均112~3歩で、時々走りつつ2分15秒かかる。
一歩は成人男性で約76センチ。
112×76センチで約81メートル強。
するとほぼ時速2.15km。
少し遅いかな?。

遅い理由…それは想像するに「上り坂に存在すること」で説明がつく。
登りゆえに、時々走りたくなるのだ。
学生あるあると言えなくもない。

コーヒーベーカリであって、実は純喫茶ではない。
パンも売ってるし、パンプキンパイも売っている。
店内で食べることも可能らしい。

ここ「安眠(あみん)」は、名前通りに、休息場所としても快適な、小腹も満たせる場所らしい。
…理解できないが娘らは、とあるので、どうもこの「安眠」の下には共学の高校、もしくは男女別のそれぞれの高校があるようだ。
野郎共はここでコッペパンなどにかじりつき、女子はオシャレにパイなどをシナモンティーと一緒に頬張るのである。

そしてまた思うに、この店は路線バスのバス停の前に建っているのではないか?。
バスが走る大通りから、高校の方へと下り坂が降りている。
学校の最寄りのバス停というわけだ。
学生たちはそこからバスに乗り込むが、本数が少ないので時間潰し兼小腹を満たす為に店に寄るのだろう。
山間の片田舎の郊外なら、ありそうな感じだ。

漫画「すくらっぷ・ブック」(著:小山田いく)の中に出てくる喫茶店がある。
店名は「妖精館(アルフヘイム)」。
長野県小諸市の何処かにある喫茶店という設定になっているが、作者の小山田いく氏によると、長野市に以前存在し、実在した喫茶店がモデルらしい。
この喫茶店の前にもバス停があり、小山田氏が冬の寒風の中でのバス待ちで入店を逡巡するという場面も描かれている。
(「どっく・いやあ」より)

小諸市は、鉄道駅を扇の要の様にして市街地が浅間山に向かうように延びている、特徴的な場所だ。
小諸駅の後ろには道を挟んで小諸城があり、その後ろは千曲川の断崖絶壁となっている。

ゆえに市街地は傾斜の強い土地が続いていて、独特の風貌を醸し出している。
「すくらっぷ」の舞台たる「芦ノ原中学校」
(芦原中学校)も千曲川に近い場所に建っており、両者には不思議な相似点がある。

作者の小山田いく氏は、小諸生まれであり、人生の大半を小諸で過ごされた。
59才という若さで惜しくも鬼籍に入られたが、幼い頃より漫画家を目指し、その夢を叶え、作品中には故郷であり、尚且つ製作の礎となった小諸の風景が多く見られる。

「妖精館」は実在しない架空の喫茶店ではあるが、彼が長野市で見た喫茶店の憧憬と、さだまさしが歌った「パンプキン…」の風景とが混在して、妖精館が出来たような気がしてならない。

小諸の街を歩くとき、もしかしたらこの辺りなのかも?とつい探してしまうのは、すくらっぷ・ブックのファンの一人としては自然な振る舞いであろう。
…学生たちが屯して、恋バナを咲かせる喫茶店(コーヒーベーカリー)が、この街の何処かにきっとある。
…そう思いながら、何度も急な坂道が続く街中を歩いてきた。

これからもそう居られたらなら良い。







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