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熟女の功名。

歳をとって私は名実ともにオバチャンになった。抗うヒマも悲観する時間もなくすっかり熟女生活をする日々。オバチャンになってよかったなと思う事の方が多い。つい最近もあったのだけどとにかく他者を知らない誰かを心底褒めて口に出せるようになったのは熟女の功名だ。私のバイト先ではささやかながら店頭販売もしているのでお客様と対面で話をする事がある。と言っても接客時間はお会計とお渡しなので1分にも満たない。必ずと言っていいほど定刻に来てくれる人やいわゆる常連さんもいるんでこちらとしてもうれしい時間なのである。今のところ幸せな事に嫌な思いをした事はない。先日も店頭販売で接客をした時になんとも素敵な女性に出会った。きっと近所でお勤めなのだろうけど年齢にあった上品さときちんとしたTPOと彼女によく似合うメイクと装い。そして何よりも感心だったのはワンカラーのベビーピンクのネイルだった。濃すぎず主張しすぎずそして彼女の肌の色にとっても馴染んでて素敵な指先だった。かつて私もごりごりにネイルをしていたので思わず、、、

とっても良い色ですね。絶妙なピンクでとってもお似合いだし素敵です♡私もネイルするので(今はフットだけ)すごく良いなって思いました。

と作業の片手間に伝えるととても嬉しそうに笑ってくれて

でもちょっと伸びちゃってて恥ずかしいんですけどwありがとうございます♪私も気に入ってます!

と答えてくれた。

ネイルは自分で見える唯一のメイクなのだ。
自分がアガるため。自分のためのネイル。
指先は一日中なにかと目に映る。だからこそネイルが自分の好みだと気持ちがいいの。お顔のメイクもお洋服も自分から見える時間より外部からみられる時間の方が圧倒的に長い。そしてどこかで身支度としての意味合いも大きくどんなに自分の好みであっても職場では似つかわしくないとか年齢的にとかで消去方になってしまう部分がある。あまりメイクを自分でしない私も加齢とともに最低限の身だしなみと健康的に見えるようにとメイクをするしメイクだけが20代の頃で止まってるちぐはぐオバチャンになってないかと気になる。周りに不快感を与えないようにする大人の嗜みなのだ。
さて話は戻って、、、きっと20代の頃の私なら接客中にこんな風に誰かを褒めたり出来なかったと思う。褒めてもそれが地雷になりかねないというか逆効果だったかも知れない。今はそこそこ歳を重ねたオバチャンなのだから図々しくかわいい子達を思う存分に褒めれる。というか褒めずにいられないのだ。巷には自分の娘でもおかしくない子達が社会に出ているし私もすっかりオバチャンなのだから。

私がネイルを褒めたのに、誰かにネイルを褒められた時よりも嬉しい時間になった。

あぁ、歳を重ねてよかったな。
これが熟女の功名か。

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