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同調率99%の少女1~13

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那珂が主人公のオリジナル小説。 鎮守府Aの物語 1~13巻分まで
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2016年11月の記事一覧

同調率99%の少女(11) :着任式直前

--- 4 着任式直前  鎮守府Aの本館に着いた那美恵たちはひとまず暑さを逃れるため早々にロビーに入った。那美恵は提督を呼ぶために執務室へと向かった。この日の主役である流留と幸はどうすればいいのか手持ち無沙汰でボーっとするか、友人たちと雑談するしかなかった。  那美恵が行こうとすると、阿賀奈が呼び止めた。 「ちょっと待って光主さん。挨拶しなくちゃいけないから先生も一緒に行くわぁ。」 「はい、お願いします先生。」  5人を待たせて那美恵は阿賀奈を連れて執務室へと向かっ

同調率99%の少女(11) :着任式当日

--- 3 着任式当日  着任式当日になった。その日は土曜日だ。土曜が休みの学校もあるのだが、那美恵たちの高校は土曜日も授業はあり半日で終わる。授業が終わると同時に同じクラスにいた那美恵と三千花は帰り支度を素早く済ませて生徒会室へと向かう。  前日までに阿賀奈や1年生組全員に連絡を済ませていたので、生徒会室でしばらく待つことにした。 「いよいよだね、川内と神通の着任式。先輩としてはいかがですか?」  三千花が珍しく茶化すようにマイク代わりのげんこつを那美恵の口元に持っ

同調率99%の少女(11) :川内型揃い踏み

--- 2 川内型揃い踏み  鎮守府に到着した那美恵たち3人はすぐさま本館の執務室へと向かった。那美恵はノックをして中から聞こえてくるはずの声を待ってからドアを開ける。聞こえたのは女の子の声。執務室にいる女の子なぞ、那美恵は一人しか知らない。つまりは五月雨だ。 「あ、那珂さんこんにちは。」 「五月雨ちゃんこんにちは~。あれ、提督は?」 「今日はもう会社に戻られましたよ。」 「え~!?川内と神通の制服届いたっていうから来たのにさぁ~。もう帰っちゃうなんてそっけないなぁ

同調率99%の少女(11) :艦娘部と生徒会

--- 1 艦娘部と生徒会  川内と神通の着任式は、次の週の土曜日に行うことになった。幸が同調の試験に合格した日からだいぶ空くが、提督の都合、五月雨たちの都合、そして那美恵たちや顧問の阿賀奈の都合上仕方なくの日取りとなった。  それまでの間に流留と幸には川内と神通の制服が届く手はずになっているため、それを試着するために鎮守府に寄る必要がある。  前の週が開けて2日ほど経った日、那美恵たち3人は阿賀奈から呼び出された。艦娘部としての部室は彼女らの高校には存在しないため3人