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干物を作ろう。

干物ってトキメキますか?
私はトキメキませんでした。ついこないだまでは。

だってなんか硬いし、しょっぱいし、骨も多いし。
そもそも私は焼いたお魚全般があまり好きではないし、自分から食べることはない、夜ごはんが干物だと間違いなくテンション下がるタイプでした。
ついこないだまでは。

そもそも焼いたお魚も美味しい、ということに気がついたのは今となっては私の生活に必要不可欠なインフラになりつつあるポケットマルシェのおかげ。

最初はたまにお野菜を買うくらいだったのに、気がつけばお肉もお魚も、なんなら牛乳と納豆とヨーグルト以外の食糧は全部ポケマルで買うくらいに、なんでもポケマル頼り。

ポケマルでお魚を買う時は、獲れたてのサーモンやらニシンやら丸ごと買っては自分で捌いて「やっぱりお魚は生が一番!」と信じていました。

そんな私が、焼魚の魅力に気がついたのは2022年の11月。秋田県山県郡の漁師の方が出品していたハタハタを見かけたのがきっかけ。

ハタハタとは秋田県の県魚だそうで、沿岸に寄ってくるハタハタとは違い、沖合で荒波に耐えながら釣ってくる沖のハタハタは脂もノリノリで全くの別物なんだとか。

そもそものハタハタをよく知らなかったものの、年に2週間くらいしか獲れないということも後押しして、気づけばポチッとしていました。

「うまくお刺身に下ろせるかな〜」と考えていたら、漁師の方が「悪いことは言わないから塩を振って焼いただけの状態で食べてみて下さい。めちゃくちゃ美味しいので」とメッセージが。

お魚は生食至上主義な私も、漁師の方にここまで言われてしまうと焼かないわけにもいかず、届いたハタハタは塩を振ってしぶしぶPanasonicのビストロちゃんへ…

秋田県から届いたばかりの
脂ノリノリのハタハタさんたち

写真は撮り忘れてしまったけれども、焼き上がった姿はどこからどうみてもただの焼魚。

うーん、やっぱりもったいなかったのでは…と早くも後悔しつつ、騙されたと思いながら食べてびっくり!めちゃくちゃに美味しい。間違いなく30年以上の人生で食べた焼魚の中で、いや、あらゆる調理方法をした魚類全般の中で、最も美味しい!

すっかりハタハタの虜になった私は、短すぎるシーズンが終わる前にすかさず再注文。かなしいことに本当に一瞬でハタハタのシーズンは終わってしまったものの、このハタハタの奇跡的な美味しさを知って以来、私は加熱した魚に絶大なポテンシャルを感じるようになりました。

そこからと言うもの、ポケマルで気になるお魚を見つけると、必ず一部は塩焼きで食べてみることに。これが美味しいのなんの。もちろんお刺身も美味しいけれども、焼くことにのって身がふわっとなることによって生まれる美味しさは格別。

そんなある日、フライにすると絶品というアブラツノザメが届きました。すると、オマケと称して大量のノドグロが…

ノドグロ8匹とオニカサゴとスズキが入っていて、どちらがオマケか分からないレベル。

大人2人でこんなにいっぺんに食べられないし、お裾分けできるような隣人さんもいないので、とりあえず煮付けよう、焼こう、と思うものの、この量。

冷凍するにも丸のままでは…と頭を悩ませているうちに「はて、昔の人はたくさん釣れた魚をどうしていたのだろう…」と思いを巡らせてみるとBINGO!干してみればいいのでは?という結論に。(ロシアの方ではいまだに夏の間に獲れた魚を塩漬けにするようですが、つけた後の魚をどう食べるかを考えると干物に軍配が上がりました)

幸い、ここ最近全然雨も降らず、毎日晴天。家選びの最優先条件を「南向き」にしていたことも功を奏して、我が家のベランダにはサンサンと日が入ります。

港町に行くとよく開いた魚を干している光景を目にするので、イメージは完璧。あとはネットで色々と調べて、案外適当にやっても大丈夫&意外と24時間もかからず完成することが判明。一応明日の天気をチェックして、雨が降らないと分かったので、とりあえず開いてみることに。

ノドグロって言うからには本当に喉が黒いんでしょうね、と覗き込んだら、何かが詰まっている…。おそるおそる引っ張り出してみると、あらかわいらしい、グソクムシの赤ちゃんらしきものがこんにちは。

手のひらサイズのグソクムシの赤ちゃん

喉がちゃんと黒いことを確認して、あとは適当に頭やヒレを落として、慣れない手つきで開いてみました。干す前に塩水に漬ける必要がある(水分を抜くため&保存を効かせるため)のですが、目安さん5〜15%とこれまた適当で大丈夫だったので、パッドに魚がヒタヒタになるくらいの水を入れて、塩を小さじ1ちょっと加えて混ぜ混ぜ。

ノドグロの時の写真がなかったので、メヒカリの丸干しをパッドの塩水につけている写真

干物が好きじゃない最たる理由が、身が硬い&しょっぱいなので、塩分量は控えめに(適当だけど、多分少なめ)。

30分ほど漬けたら、キッチンペーパーで水分を拭き取って、網に載せます。

よく見ると捌き方が雑だけれども、それっぽいでしょう?

こんな適当にやってもそれっぽくなったので既に感動を覚えつつ、ベランダに吊るしました。夕方17時くらいに干し始めて、翌日15時頃に取り込んでみたら、もう完全に干物。

嬉しくって2枚はその日に焼いて、残りはラップして冷凍庫へ。以前友人から誕生日に送ってもらった山口県のノドグロの干物と遜色ないくらい美味しくできて、大満足!

自分で作れば塩加減も硬さも調整自在&急にたくさんお魚をもらった時の最高の保存の仕方であるということを学んだ干物作りでした。

干す用の網さえあればいつでも簡単にできるので(日当たりが悪い場合は冷蔵庫の中でも干せるようです)、ぜひチャレンジしてみてくださいな。

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