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まだ軸なんてない

モノトーンな就活に違和感があった。

同じスーツ、同じ髪型、同じ笑顔、同じ受け答え。

これで人生の何が決まるのか、さっぱりわからなかった。

就活はしたけれど、結局私はフリーターの道を選んだ。時間の自由が利く生活の中で、自分探しの旅を始めたのだ。

演劇集団の中で役者として舞台に立ち、ヨガ修行の旅に出て、大学院の授業を聴講した。

途中で貯金が尽きたため、正社員として就職したけれど、やはり向かなかった。毎日電車に乗り、同じ時間に同じ業務を黙々とこなす。残業やパワハラは当たり前。

たまたま就職した会社が悪かったのかもしれない。だがどんなに理不尽な命令にも忠実に従い、心身を壊す人生は、もう二度とごめんだと思った。

今は自分探しの旅を経て、ひとまずフリーライターとして活動している。とはいえ、自分の軸は、まだ持てていない。

ガラッと価値観が変わって、「やっぱり就職したい」と思うときが来るかもしれない。でも今のところは、壁にぶち当たったとき、すぐ自分探しの旅に出られるノマドワーカーこそ理想的な働き方だ。

まだ収入は安定しないものの、クラウドソーシングやSNSを利用しながら、少しずつクライアントの信頼を勝ち取り始めている。

ゆったりペースではあるが、いつか自分の軸を立てて、折れない心を持てるようになりたい。

折れない心があれば、フリーランス、フリーター、正社員を問わず、壁にぶち当たったときに生き残れるだろう。

正社員生活に挫折したことも含め、人生のすべてが自分探しだった。

「まだ軸なんてない」

今はこれをわかっているだけでも、「一種の自己分析に成功している」と、都合よく解釈するしかなさそうだ。

運転手の見つめる先へ、車は進む。道に迷ったときやガス欠のとき、正しい対処ができるよう、ゆっくり自分の軸を立てていこう。

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