宇多田ヒカル「One Last Kiss」の何もかもが好きなので全力で良さを語る
まえがき
2022年も最終日になりました。
思い付きでこのブログを今年始めて、予想外に多くの反応を頂き楽しく執筆することができました。
改めて、読者の皆様に感謝申し上げます。
来年もマイペースに怪文書垂れ流してまいりますので、気長にお付き合い頂ければ幸いです。
さて、年末ということで各種音楽系サブスクでは「あなたが今年1年聴いた音楽を振り返る」的なハイライトが提供され始めました。
筆者が使っているApple MusicでもApple Music Replayという形で今年の振り返りが見れます。結果はこんな感じ。
総再生時間だとブッチギリ1位でClariS、アルバムだと藤井風さんの「HELP EVER HURT NEVER」を沢山聴いた1年だったようです。
そしてClariSだらけの各曲再生回数ランキングで堂々の1位となったのは、宇多田ヒカルさんの「One Last Kiss」でした。
自分でも自覚あります。
今年この曲を本当に聴きまくりました。
この曲が入ったアルバム「BADモード」も「HELP EVER HURT NEVER」に回数は負けたけれども沢山聴きました。
「今年の曲ベスト10を挙げろ」って聞かれたらBADモードの1~10曲目を挙げても後悔しないくらいこのアルバムが好きです。
まさに2022年の筆者のテーマソングでした。
あと、筆者は今年ようやくシン・エヴァンゲリオン(One Last Kissが主題歌)を観ました。
意味不明なことを言うのですが、エヴァンゲリオンは大好きなんですが好きすぎて観るのが怖くて、破まで見た後にQ(2012年公開)を10年間放置し続けてきました。
Qを観てないので当然シンエヴァ(2021年公開)も映画館に観に行きませんでした。そうこうしている内に劇場公開は終わり2022年になりました。
だったのに、2〜3ヶ月前になぜか急に観る気になってAmazon Prime VideoでQを観ました。
観た後はもう止まらなくて、煙草を吸って1回落ち着いてからそのままシンエヴァを観ました。
自分でも引くほど号泣しました。
シンエヴァのラスト1時間とか悶絶と号泣の繰り返しでした。
高校生の時に初めてエヴァを観てから15年。
ここまで観続けてきて良かった。
こんな素晴らしい終わり方を用意してくれて本当に良かった。
そんな気持ちで一杯で、エンドロールでOne Last Kissのイントロが流れ始めた時は人生最大級の大号泣でした。
元々大好きだったこの曲が、人生最高の曲になるくらい深く心に刻み込まれました。
2022年はこの曲と出会うためにあったんじゃないかなって本気で思うくらい、この曲に出会えて良かったです。
というわけで。
今回は宇多田ヒカルさんの「One Last Kiss」の良さを早口で語って、2022年を締めくくりたいと思います。
(11記事目にしてようやくClariSと全く関係無いアーティストの曲だよ!)
※曲解説の中でシン・エヴァンゲリオンのネタバレに一部触れる部分があります。予めご了承ください。
曲紹介
作詞・作曲: 宇多田ヒカル 編曲:宇多田ヒカル、A.G. Cook
2021年3月8日公開の映画「シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇」の主題歌。
筆者が今年ヘビロテしまくったアルバム「BADモード」(2022年1月19日発売)の3曲目でもあります。
筆者は宇多田さんの曲は基本アルバムでまとめて聴いてるので、この曲も今年BADモードが発売されてから初めて聴きました。
なんとエヴァンゲリオンの庵野秀明監督がMVの監督も務められたらしく、このMVの映像も本当に大好きです。
好きな所をひたすら羅列する
解説とかそんな大層なものではなくただただ好きな所を羅列していきます。
※歌詞は歌ネット(https://www.uta-net.com/song/298948/) をベースにしつつ、コーラス部分はApple Musicの公式歌詞も使ってます
1番Aメロ・Bメロ
初めて聴いた時、この冒頭の歌詞にビックリしました。
「初めてのルーブルは なんてことはなかったわ」
え?あのパリのルーブル美術館?モナリザとかがある?
そこが意外と大した事が無かった?なんで?
「私だけのモナリザ もうとっくに出会ってたから」
・・・は、はぁ・・・なるほど??
いや、意味は分かるんですよ。
モナリザに恋に落ちるって人もいるくらい美しい絵画だけど、私にはもうかけがえのない大切な人がいるからそこまで響かなかった。
言葉の意味はその通りなんですけど、まずこの歌詞どこから出てきたの?
なぜルーブル美術館?なぜモナリザ?
あまりにも唐突で頭に?が沢山浮かんでくるのに、なぜか耳にスッと入ってきて、でも物凄く引っ掛かりがある。
もうこの歌い出しで既にやられてます。
静かな音の入りからの何気無い2行なのに完全に歌の世界に引きずり込まれてる。
しかも何も特別な事はやってなく、意味も分かる歌詞なのに。
もう圧倒的な才能にひれ伏すしかないです。
この人は歌声もメロディーも歌詞も、何もかもが桁違いに凄すぎる。
この人と同じ時代に生きてリアルタイムで曲を聴けていることにただただ感謝です。
シンエヴァを観てから分かったんですが、映画の序盤でパリの市街地での戦闘シーンがあるんですね。
もしかしたら、そのシーンを観てパリでの想い出を連想した宇多田さんの素朴な実体験だったのかもしれません。
※脱線しますが、その戦闘シーンでマリが「Excusez-moi, Eiffel!!」(ごめんね、エッフェル塔!)と言いながらエッフェル塔を引っこ抜いて敵に突き刺すシーンは「ゴメンで済むわけねーだろwww」と大爆笑しました。
いや、だとしてもこの歌い出しは凄いですよ。
「モナリザ見たけど思ったより大したこと無かったわwww」とか斜に構えて言う人は沢山居ると思いますが、「私だけのモナリザにもうとっくに出会ってたから」なんて感想出てきます?
もうその感想が既に詩的ですよ。
凡人には逆立ちしても思い付かない。
ただ生きてるだけで詩が量産されているのでは?と思うくらいその感性が素敵過ぎます・・・。
ようやく3行目に進みますがこれがまた凄い。
「初めてあなたを見た あの日動き出した歯車 止められない喪失の予感」
その人が代わりのいない大切な人であることを表現する方法が「止められない喪失の予感」なんですよ。
もうここがまた天才の発想ですよね。
「大切」とか「愛してる」とか「ずっと一緒にいよう」とかじゃないんですよ。
「あなたを失った後に一生喪失感を抱えながら生きていくのは多分避けられない運命なんだ」っていう静かな悲しみの実感で愛の深さを自然に表現するんですよ。
凄くないですか???
今どんなに愛し合っていても、いつか別れてしまう瞬間はやって来るかもしれない。
仮にずっと愛し合えたとしても、いつか自分もその人も死んでしまう。
心中や一緒に事故死でもしない限り、死のタイミングは自分とその人でズレてしまう。
自分だけがこの世に取り残されたとしたら、一生埋まらない喪失感を覚えることになる。
深く愛せば愛すほど、失った時の喪失感も深くなって自分を苦しめるだろう。
でも、あなたを愛さないなんて出来ない。
初めてあなたを見たあの日から、もう運命の歯車は動き始めてしまって、自分ではそれを止めることは出来ない。
だから、いつか別れが来てどうしようもなく傷付くことは分かっていたとしても、止められない喪失の予感を感じながらあなたを愛する。
もうなんなんですか?
なんでたった2行にこんな情報量を詰められるんですか?
しかも、この2行が続くから歌い出しのルーブルとモナリザのくだりがただの引っ掛かりじゃなくて物凄く意味を持つじゃないですか。
「ああ、あの人に出逢う前ならもうちょっとこの絵に感動出来たのかな・・・?」みたいな、静かだけど凄く強い想いから自然に湧き出た言葉みたいな重みをヒシヒシと感じますよ。
しかも、シンエヴァを観た後だと余計心に沁みますよ。
ずっと人付き合いを避けてきたゲンドウが、ユイさんと出逢って初めて人を好きになってしまった。
人を愛すること、人から愛されることの喜びを知ってしまって、初めて「この人とずっと一緒に居たい」と思ってしまった。
でも、そのユイさんが居なくなって元の孤独に戻った時には、昔は普通だったはずの孤独にもう耐えられない。
深く愛した分の喪失感に苦しみ続けて、全人類を巻き込んででも人類補完計画を進めようとする。
エヴァンゲリオンの主題歌として完璧過ぎるんですよ。作品のことを理解しすぎていて、それをさりげなくしかし最大限表現し切って、かつアーティストとしての自分の色にもなっている。
何もかもが凄すぎてもう何も言えねえ。
「もういっぱいあるけど もう一つ増やしましょう (Can you give me one last kiss?) 忘れたくないこと」
忘れたくないあなたとの想い出はもう沢山あるけど、もう1つ増やしましょう。
最後にもう1回キスしてくれない?
なんなんですかこの切なさは。
最初の6行でどんだけ筆者の心を揺さぶるんですか?
実際の時間だとこの6行の部分って30秒くらいなのに、筆者の情緒はジェットコースター並みに上下しまくりです。
もう凄すぎるよ・・・1番Bメロまででもうすぐ5000文字だよ・・・。
1番サビ
ほとんどがコーラスの声のサビなのに盛り上がりが凄い。
シンプルなものほど心の奥深くまで届く、みたいな凄みを感じます。
伝えたい事は「忘れたくないこと」と「I love you more than you'll ever know」(誰よりもあなたを愛してあげる)の2つだけなので、むしろこれしか言わない方が強くその気持ちが伝わってくるような感覚すら覚えます。
2番Aメロ・Bメロ
「写真は苦手なんだ」って言ってあまり写真を撮らせてくれない人だったんですね。
こういう相手側の人となりを描写してくれるの想像が膨らんで好きです。
そして、またとてつもない2行が来ました。
「寂しくないふりしてた まあ、そんなのお互い様か 誰かを求めることは 即ち傷つくことだった」
ここ凄くないですか?
何が凄いって、エヴァンゲリオンという作品をたった2行で完璧に表現してるんですよ。
ゲンドウもシンジくんもアスカもミサトさんも、エヴァのメインキャラはみんな正にこの心境だったわけです。
誰かを求めて期待することで、思い通りにならなくて傷付く。
だから心を閉ざして、孤独に生きようとする。
それが「ATフィールドという心の壁(自我の境界)を完全に無くして、全人類が1つに溶け合って記臆と意識を共有した1つの生命体になり、他人から傷付けられる恐怖が無くなった優しい世界を作る」という人類補完計画の目的だったわけです。
でも、結局は孤独のままでは生きられない。
傷付くのが怖くても、誰かと触れ合って心を通わせて生きていこう。
それが、テレビ版の最終話や旧劇場版、そしてシンエヴァのラストでシンジくんが辿り着いた結論でした。
庵野さんが25年かけてエヴァンゲリオンで伝えたかったメッセージを、たった2行で全部簡潔に言い表しちゃってるんですよ。
もちろん、庵野さんが凄く遠回しに回り道して伝えてきたメッセージもとても素敵だと思うんです。
でもこれをたった2行で全て表し切っちゃうの凄くないですか???
本当にあまりにも作品に対する理解度が高すぎると思うんですよ・・・。
そして音の面で凄いのが、2番から入ってくるベース!
藤井風のプロデュースを務めているYaffleさんが関ジャムという番組で語っていましたが、2番から入ってくるベースの存在感が凄い。
逆に1番で鳴ってなかったの?って不思議になるくらい違和感が無いんですが、そこがまた宇多田さんの凄さで。
普通1番があんなに楽器の数も少なくてシンプルだと、地味で2番まで聴いてもらえないと思うんですよ。
でもメロディーと歌声の素晴らしさ、そして「初めてのルーブル」の歌詞のフックで1番があれで成り立ってしまう。
だから2番までベースなどを温存出来て、それが同じメロディーに少し楽器数が増えただけなのにとてつもない盛り上がりを感じる2番を生んでいる。
宇多田ヒカルにしか歌いこなせないメロディーを宇多田ヒカルが作詞作曲して、宇多田ヒカルじゃないと成り立たない曲構成になっている。
アーティストとしての総合力が高すぎる・・・。
2番サビ
本当にこれ1番と同じメロディーなんですか?ってくらい盛り上がりが凄い・・・。
それもこれも前述した通り1番をシンプルに少ない楽器数で乗り切れてるからなんですが、もうこんなの真似しようがないです。
そりゃ誰だってなるべくシンプルにしたいですけど、それだとパンチが無くなったり間が保たないから色々装飾するわけじゃないですか。
それをシンプルなままやれてしまうというのはとんでもない地力がないとできないわけで・・・。
Cメロ~ラスサビ
ひたすら「忘れられない」を連呼し続けてるだけなのにどうしてこんなに心に響くんでしょう・・・。
こんなにシンプルな歌詞とメロディーなのに無限に心を揺さぶられ続ける。
Yaffleさんの「素晴らしいシンガーが素晴らしいビートで歌い素晴らしいミックスで仕上がっているというシンプルな楽曲の圧倒的な完成度」っていうコメントがもう完璧すぎて・・・。
何もかもその通りすぎで100回くらい頷きたいです。
そして最後のアウトロの歌詞。
「吹いていった風の後を追いかけた眩しい午後」
初めて聴いた時、冒頭の「初めてのルーブル」より驚きました。
この歌詞は何?
どこから発想したの?
分からないのになぜかこの曲のアウトロとして合いすぎてて、完璧な終わり方になっている・・・。
ずっと謎なまま聴き続けてたんですが、その謎はシンエヴァを観たら解けました。
シンエヴァのラストシーン。
大人になったシンジとマリが手を繋いで駅の階段を駆け上がっていくあのシーン。
あの光景が「吹いていった風の後を追いかけた眩しい午後」だったんですね・・・。
その階段を駆け上がるところでOne Last Kissのイントロが流れ始めた時は、もう全ての感情が溢れ出して信じられない勢いで泣き始めてました・・・。
一生忘れられないエンディングです。
あとがき
・何もかもが完璧すぎて、今後数十年揺るがない人生最高の曲です
・宇多田ヒカルという天才と同じ時代を生きられてよかった
というわけで、初めてClariSと全く関わりのないアーティストで真面目に書いてみました。
好きすぎて気持ちを制御しきれずに筆が乱れに乱れまくった乱文になってしまった自覚がありますが・・・伝えたかったことがちゃんと伝わっていたら嬉しいです。
色々あった2022年、まさか自分がこんなブログを書くようになるとは全く想像してませんでした。
来年も色々な予想外があるんだろうなと思いつつ、それも楽しんで生きて行けたらいいなと思います。
今回でようやく宇多田さんで記事を書けたので、来年は最初の挨拶に書いたClariS以外のアーティストについてももっと書いて行くのが目標です!(結局ClariSばっかりになりそうだけど・・・)
では、以上で今年の締めくくりの記事を終えたいと思います。
来年もどうぞよろしくお願い致します。
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