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【EDH・Lv7前後】ドラゴンと共に駆け抜けろ! 赤単《ドラゴンの女王、ラスリス》デッキ


はじめに

 お世話になっております、あなたの四葉静流です。

 突然ですが、あなたはドラゴンさんがお好きですか?

 はい! お答え頂きありがとうございます! やっぱりあなたもドラゴンさんがお好きですよね! 雄々しき翼で空を自在に駆け回り、意のままに野や山、人の街を焼き、自らの寝床に絢爛な財宝を溜め込む偉大なる存在。ドラゴンさんはみんなが大好きな、マジックにおける赤を代表するクリーチャーでしょう。そして、あなたはこう考えているはずです。「ドラゴンのように全てを奪い、貪り尽くしたい」、「ドラゴンのように見渡す限りの全てを火の海に沈めたい」と。

 そんな強欲極まりないあなたの為に、今回は《ドラゴンの女王、ラスリス/Lathliss, Dragon Queen》を統率者(以下、「ジェネラル」)に据えた統率者デッキ(以下、「EDHデッキ」)を解説していきたいと思います。とても楽しいデッキに仕上がったと思うので、最後までお読み頂けると幸いです。

 デッキの強さは、マジック:ザ・ギャザリング公式のパワーレベル区分としては「レベル7前後」帯、大手カードショップである晴れる屋さんの区分としては、「Challenge」帯を想定して構築しております。具体的には、「あくまで競技的なジェネラルではないが、勝利を目指す事に余念がない」というデッキです。

 ゆえに、1枚で数千円〜数万円の値が張る高額カードが潤沢に採用されています。命のやり取りに興じる強いドラゴンさんのようにエキサイティングなゲームを楽しめるように組みましたが、一般的な金銭感覚で見るとかなりお財布に厳しいデッキと言えるでしょう。

 逆に、「ラスリスという面白い能力を持ったジェネラルで、カジュアルにワイワイしたい」という、レベル3~5前後のデッキ紹介はこちらからどうぞ。

 前置きはここまで。ここから先のあなたは、「勝利の栄光」を獲物として狙う略奪者です。さあ、まずはジェネラル紹介に入っていきましょう!


《ドラゴンの女王、ラスリス》について

 では、はじめに当デッキの主役である、《ドラゴンの女王、ラスリス》について説明しますね。

最強で無敵、というわけではないけど私にとってのアイドル。

 彼女の作中設定やストーリーは、残念ながら多くはありません。基本セット2019のバンドルに封入されていたという小冊子によると、「彼女は同族を率いて村や都市を襲撃し、ドラゴンの女王を自称している」との事です。それ以外の背景ストーリーは謎に包まれています。

 とはいえ、「ドラゴンの女王」の二つ名を持つドラゴンは、(現時点)ラスリスだけです。それは、あのフォーゴトン・レルムのドラゴン女神である《ティアマト》にさえ与えられませんでした。そういう意味では、ラスリスって特別な存在に思えてきませんか? まあ、ゆーて私はティアマトも大好きなんですけどね。「ドラゴンの女の子」っていいよね! まあ、ゆーて私はドラゴンの殿方も大好きなんですけどねっ! ドラゴンさんだったら好き好き大好き超愛してる!!!

ドラゴンさんであるなら、卵から埋葬後まで守備範囲。

 これ以上はちょっと話が脱線してしまうので、カードとしてのラスリスについて触れていきましょう!

 前述の通りラスリスは、ジェネラルとしてあまり競技的とは言えません。ドラゴントークンを生み出す能力は強力ですが、ラスリス単体で完結しているものではありません。それに加えて、競技的なジェネラルと呼ばれるに必要な条件である、低マナコスト、ドロー能力やマナ能力、あるいは妨害能力などを欠いています。

 ゆえに、このデッキでは、赤と無色の汎用的パワーカードをふんだんに盛り込んで全力武装しています。ラスリス自身がそのパーツとなれる事も含めて、メインの戦術はコンボに寄せています。しかし、状況に合わせてミッドレンジ的な戦法が可能な継戦能力もあります。

ドラゴンさんのねぐらに溜め込まれた財宝の如き、パワーカードのオンパレード。

 コンボ解説などは、ちゃんと後述しますので、次は一旦デッキ全体を見渡していきましょう!


デッキリストと、各部の大まかな特徴

デッキリスト

 では最初に、デッキリスト全体をお見せしますね。

 このリストは都度、調整などを加えています。これを執筆している2024年3月上旬現在においてその予定はありませんが、もしかしたら今後、この記事の中で触れているカードが抜ける場合があります。

 また、普段お世話になっているコミュニティは「公式が製造したカードなら使用可能」というハウスルールがあるので、実物のデッキにおける《Gauntlet of Might》は30th Anniversary Editionです。それが使えない状況では、《水蓮の花びら》に差し替えています。

 前述の通り、このデッキは「ラスリスをジェネラルにして、可能な限り強くする」がコンセプトなので、赤と無色の汎用的なパワーカード詰め合わせのような状態ですね。それ以外のほぼ全てのカードは、ラスリスと特に相性がよいか、もしくはコンボパーツかそれらのサーチカードです。

 このリストを構成している全カードの総額は、(これを執筆している2024年3月上旬現在、私のデッキ実物で計算した場合、)日本円で39万円前後ですね。「走る宝石」の異名で名高い「MVアグスタ・F3RC」が約390万円なので、このデッキはそれの10分の1ほどの値段です。ヨシッ! 全然低価格デッキだな! オイ、ちょっと待て。

いつ見ても「ザ・イタリアン」なカラーリングしてるなあ。まあ、名実共に「ザ・イタリアン」なんだけどさっ。


基本的な戦術と初期手札基準

 全体的なデッキの戦術としては前述の通り、ミッドレンジもできるコンボ寄りです。全4種類・全7ルートのコンボを搭載しているので、対戦相手の動向や自分の手札と相談して、どの戦術を選ぶか見極めながら戦っていきます。

 自分の盤面が出来上がってくるといきなり潤沢にマナが出るようになるので、ついコンボに走りたくなります。しかし、個人的な経験則から述べると、「パーツは揃っているから」と無策に走り始めると、大抵は他プレイヤー全員から全力で止められます。当然の帰結ですね。とはいえ、他の対戦相手が走り始めたら、そのコンボに介入する事はあまり得意ではありません。その二律背反をどうクリアするか、それがこのデッキの醍醐味です。

 また、赤単ゆえにそのデメリットを最小限に抑える事が可能なので、《血染めの月》や《月の大魔術師》、あるいは《締め付け》といった妨害パーマネントを置いて、相手の展開や戦術を削ぎます。このレベル帯なら月で機能停止するデッキの方が悪いので、堂々と盤面に叩きつけてやりましょう。火力呪文などの、それ以外の妨害系カードについても、低マナで腐りにくいものを採用しています。

拷問じみた赤単のお助けカードたち。

 初期手札基準については、「これがあるからキープ」という明確な目安がありません。というのも、このレベル帯では対戦相手も相応のデッキを持ち込んでいるので、それに合わせた応用的な戦術が求められます。

 しかし、一つだけ言葉で言い表すなら、「自分が真っ先に頭一つ二つ抜き出て展開できるか、あるいは相手の展開を妨害できるか、そのどちらかを明確に行なえる事」でしょうか。もちろん、その速度も重要です。早ければ2ターンで、最低でも4ターン以内。5ターン以上必要になりそうなら、どんなパワーカードがあったとしてもマリガンするべきでしょう。


ドローについて

 ここであなたに質問なのですが、あなたは「赤単はドローが貧弱なデッキ」と思っていませんか? それは正解でもあり、不正解でもあります。その理由を述べますね。

 一般的な赤単のイメージほど、現在の赤単はドローができないわけではありません。《エルドレインの玉座》や《一つの指輪》のような汎用的な無色のカードがあります。コストやデメリットがあるとはいえ、カードそのものが存在しないより100倍マシです。

ドラゴンデッキなんですから財宝が入っていて当然です。

 それに加えて、《骨集めのドラコサウルス》や《敏捷なこそ泥、ラガバン》のような衝動的ドロー(やそれに類似したもの)を行なえるカードあります。しかも、こいつらマナも伸ばせるってちょっとおかしくね? まあ、自分が使うカードだからいいけど。「相手が使ってきたら」? (あくまで卓を盛り上げる冗談として)もちろんキレ散らかしますけど?

ウキーしたりただ存在しているだけで、ライブラリーが捲れて宝物も出ます。至れり尽くせりである。

 更に、《Wheel of Fortune》や《魂の再鍛》、《山背骨のドラゴン》のような昔ながらの「手札を全部捨てて複数枚カードを引く」というものも、もちろん存在しています。これらを活用してアドバンテージを獲得していきます。


サーチについて

 ここでまたあなたに質問なのですが、あなたは「赤単はサーチが貧弱なデッキ」と思っていませんか? それは正解でもあり、不正解でもあります。この理由についてもちゃんと説明しますね。

 たしかに、赤単に《悪魔の教示者》のような汎用的なサーチカードは、ほぼありません。せいぜい存在するのは《ギャンブル》程度です。しかし、それは「汎用サーチカード」に限った話です。

 赤のカードでは例外的に、マナコスト以外のデメリットが(ほぼ)存在しないサーチがあります。勘のいいあなたなら、もうお気づきですよね? そうです。《サルカンの凱旋》や《ドラゴンの嵐》、あるいは《鉤爪のジィーリィーラン》のようなドラゴン特化のサーチです。

 上でも書きましたが、このデッキには全4種類・全7ルートのコンボを搭載しており、その内4ルートはドラゴンをコンボパーツとして用います。それらの大部分はパーツとして組み合わせずとも、単体でクリーチャーとしての質が高いですし、コンボパーツではない他のドラゴンも同様です。つまり、このデッキにおいてドラゴン用サーチカードは、戦術の肝となるカードを引き込む為の重要な役割を持っています。

 また、ドラゴン系サーチではありませんが、赤には何かと使い勝手のよいサーチ能力を持った《帝国の徴募兵》や、手間はかかりますがファクトサーチができる《溜め込むドラゴン》があるのが嬉しいですね。

《波止場の恐喝者》やファクト全般をサーチできるぞ!


搭載コンボ

 前述の通り、このデッキには全4種類・全7ルートのコンボを搭載しています。ここからは、それを一つずつ解説していきます。

①《追い討ち》系無限コンバットコンボ

 マナを支払う事で追加戦闘フェイズが発生するエンチャントである《追い討ち》軸に据えた、無限コンバットコンボです。全7ルートの内の3ルートはこれです。一つずつ解説していきます。

《追い討ち》+《永遠衆、ネヘブ》

 対戦相手が失ったライフと同じ点数の赤マナを戦闘後メインフェイズに生み出せる《永遠衆、ネヘブ》と組み合わせたコンボです。追い討ち系コンボの中では最も有名なものの一つですね。

 ネヘブ自身のパワーが4である為、コンボを成立させるには、実質的に更にもう1枚のカードが必要になります。しかし、追い討ち系コンボの中では最もパーツ数が少ないルートの一つです。下記の2つのルートも、このルートを基準にしてコンボ成立難度が比較的低いものを選んでいます。


・《追い討ち》+《饗宴と飢餓の剣》

 装備しているクリーチャーが戦闘ダメージを与える度に土地を全てアンタップする《饗宴と飢餓の剣》をパーツにしたルートです。このルートでは更に、1体のクリーチャーと、最も多くて5枚の土地が必要になります。

 しかし、追い討ちと黒緑剣以外は全ての土地とクリーチャーがパーツとして用いる事が可能であるのが特徴ですね。黒緑剣はコンボパーツとして使わずとも、プロテクション(黒)とプロテクション(緑)により、ある程度の除去耐性が得られるのも利点です。単純に土地がアンタップする事も同様に、対戦相手にとっては苦しいアクションです。


《追い討ち》+《エインシャント・カッパー・ドラゴン》

 正確にはコンボではありませんが、それと呼んでも過言ではないと個人的に考える為、ここに記載します。戦闘ダメージを与える度に20面ダイスを振り、その出目の数だけの宝物トークンを生成する《エインシャント・カッパー・ドラゴン》をパーツとするものです。

 あくまでダイスの出目に左右される為、それが悪ければ追い討ちの起動コストを支払えずに途切れてしまいます。しかし、上記2つのルートと異なり、パーツが2枚だけで完結しており、前述したドラゴン系サーチによりデッキからカッパードラゴンを引っ張ってくる事が魅力的です。

 また、20面ダイスの出目の期待値は10.5なので、もしも出目が悪ければ己の不運を嘆くべきでしょう。「運に左右されるカードが嫌なら赤単なんて組むな」って話でありんす。


②ラスリスをパーツとした無限トークンコンボ

 ジェネラルであるラスリスをコンボ構成パーツに加えた、無限ドラゴントークンコンボです。このデッキでは、ラスリスだけはパーツが共通する2ルートが採用されています。その仕組みを説明していきますね。

 ここで説明するのは、あくまで「無限トークンコンボが成立するまでのパーツとその手順」です。戦場に《龍の大嵐》や《峰の恐怖》のようなクリーチャーが出る事で能力誘発し火力が飛ぶパーマネントが既に存在しているならば、∞体のトークンでコンバットを仕掛けずとも無限バーンが成立し、勝敗が決します。

ラスリス+《変わり身の強戦士》+《溶鉄の残響》

 「このクリーチャーが戦場に出た時に、他のクリーチャーを1体追放する。このクリーチャーが戦場を離れた時に、それを戦場に戻す」という覇権(クリーチャー)能力を持つ《変わり身の強戦士》を、コピートークンを生成する《溶鉄の残響》を使い、本物・コピーの計2体の《変わり身の強戦士》で能力をループさせます。《変わり身の強戦士》多相(全てのクリーチャータイプ)持ちなので、ラスリスが出ているならば無限ドラゴントークンが成立します。

 手順は以下の通りです。スタック処理が少々複雑なので、番号つき箇条書きで記しますね。

  1. ラスリスと残響が場に出ている状態で、変わり身(本物)を場に出す。

  2. 残響と変わり身(本物)の能力がスタック上に乗る。変わり身(本物)の追放能力をスタックの一番下にして、その上に残響を積む。

  3. 残響の誘発を解決。場に変わり身(コピー)が出る。

  4. 変わり身(コピー)の能力誘発。スタックの関係上、変わり身(本物)の追放能力の上に、変わり身(コピー)の追放能力がスタックされる。

  5. 変わり身(コピー)の追放能力を解決。これにより、変わり身(本物)が追放する。

  6. スタックの一番下にあった、変わり身(本物)の追放能力を解決。これにより、変わり身(コピー)を追放。

  7. 変わり身(コピー)の「このクリーチャーが場を離れた時、追放されているクリーチャーを場に戻す」能力が誘発し、解決。これにより、変わり身(本物)が戦場に出る。

  8. 2〜7の間でループが起こる。ラスリスがいるので、変わり身(本物)が場に出る度にドラゴントークン生成。無限トークンコンボが成立。(ループを止めたい場合は、変わり身の能力でドラゴントークンを追放する)

 このコンボの特徴は、「パーツ数が少ない事」「パーツにパーツ以外の使い道がある」というものですね。特に、ラスリスはジェネラルなので、実質的にゲーム開始時点でコンボを構成するパーツの1枚は手札に入っているのと同義です。

 赤単はマジでドローもサーチも質がよくないので、デッキに様々なコンボ・ルートのパーツを入れがちになってしまいます。それらにパーツ以外の用途があり、パーツとして用いるならば枚数が少ない事は非常に喜ばしいものです。コンボ以外ではデメリット能力に見える変わり身の覇権能力でも、ラスリスがいればトークンを追放し速攻5/3の変わり身が残ります。

 さっきは「赤単でも意外とドローできる」って書いてなかった? そりゃ引けるっちゃ引けるけど、赤にはエスパーセンチネルもレモラもむかつきも森知恵もねぇもん。

 難点としては、赤単ではエンチャントである《溶鉄の残響》へのアクセス性が悪い(=サーチできるカードが少ない)という事ですね。変わり身は前述のドラゴン系サーチで手繰り寄せる事ができますが、残響は汎用サーチである《ギャンブル》のみです。


・ラスリス+《雲石の工芸品》+《自在自動機械》+マナコスト減少パーマネント

 こちらはラスリスと、「アーティファクトではないパーマネントが場に出る度に、それと共通のパーマネントタイプを持つカードを手札に戻す事ができる」という、少々複雑な誘発型能力を持つファクトである《雲石の工芸品》を軸に据えた無限トークンコンボです。手順は以下の通りです。

 《龍王の召使い》《通報の角笛》のような(ドラゴンの)マナコストを減少させるパーマネント、《雲石の工芸品》ラスリスが既に戦場にある状態で《自在自動機械》を出します。(または、《自在自動機械》が既に戦場にある状態で他のドラゴンを出します)

 これにより、ラスリスの能力が誘発しドラゴントークンが生成されます。トークンが出た事により雲石が誘発。これを解決し、自動機械を手札に戻します。召使いや角笛のようなマナコスト減少パーマネントがあるので、自動機械が0マナキャストが可能です。これらを繰り返す事により無限ドラゴントークンが成立します。

 最低パーツ数でも4枚コンボと、構成カード数は多めです。しかし、こちらもラスリスをパーツとして組み込んでいるので、実質的にゲーム開始時点でパーツの1枚は手札に存在していると同じです。(能力が複雑でほぼほぼパーツ以外の活用は難しい雲石以外は)コンボパーツ以外の用途に使えるのも同様です。加えて、マナコスト減少パーマネントは代替できるカードをデッキに複数枚入れています。

 また、こちらのルートで必要なパーツは、赤単でも比較的サーチが容易です。《ウルザの物語》で自動機械を、《鉤爪のジィーリィーラン》《ドラゴンの嵐》《サルカンの凱旋》で自動機械を、《帝国の徴募兵》で自動機械や召使いを、《溜め込むドラゴン》でファクト全般をサーチが可能です。もちろん、汎用サーチである《ギャンブル》ならば、デッキ内の全カードにアクセスできます。


③ラスリス+《ドラゴンの嵐》(ストーム3以上)

 これは正確に表現するとコンボではありませんが、決まると一度に120点(プレイヤー1人につきライフ40点×3)以上のダメージを飛ばせるので、ここに記します。

 戦場にラスリスがいる状態で、《ドラゴンの嵐》をストーム3以上でキャストします。それによって場に出すカードは、《峰の恐怖》と《ヴァルカスの災い魔》と《気まぐれな厄介者》です。

ドラゴンデッキの欲張りセット。

 ラスリスでドラゴントークンを出しながら、峰やヴァルカスの能力で火力を飛ばしていきます。《気まぐれな厄介者》で墓地にある《ドラゴンの嵐》を追放できたならば、今度はマナコストを踏み倒した上でストーム4です。そこまでドラゴンが並ぶと、対戦相手3人のライフ合計120点分以上の火力が出せます。

下手なアダルトよりもよっぽど扇情的な光景である。

 赤単デッキは、《ジェスカの意志》や《永遠衆、ネヘブ》や《エインシャント・カッパー・ドラゴン》によって突如として膨大なマナが生まれる事があり、ドラゴンストームをストーム3で唱える事はそこまで非現実的ではないでしょう。

 また、ラスリスとドラゴンストームの実質的に2枚コンボなのも魅力です。マナが潤沢にあり、カードも揃っているならば、運の要素が絡む厄介者を避けて、《死の国からの脱出》を経由する事でも同様の結果を得られます。


④ブリーチコンボ

 これは上記3種類のように意識的に搭載したものではなく、「パワーカードを採用する上で偶然取り入れる事になったコンボ」です。

 まず最初に、「ブリーチコンボ」について説明しますね。ブリーチコンボとは、墓地の(土地以外の)カードに「本来のマナコストと墓地から他のカードを3枚追放」の脱出コストを持たせる《死の国からの脱出/Underworld Breach》を軸に据えたコンボの総称です。基本形としては、対象のプレイヤーのデッキを3枚切削させる《思考停止》と、手札を全て捨てる事が能力起動に含まれたブラックロータスである《ライオンの瞳のダイアモンド》と組み合わせてループを発生させ、ライブラリーアウトによって勝利するコンボです。

剣を握らなければおまえを守れない、剣を握ったままではおまえを抱き締められない。それはBLEACHだ!

 このデッキではブリーチの他に、《ジェスカの意志》と《Wheel of Fortune》との組み合わせでコンボを形成します。

 フォーチュンで相手の手札枚数を7枚に固定した上に、捨てる枚数も7枚にする事で、ジェスカで生み出せるマナ数と脱出コストに必要な墓地を肥やします。それによってジェスカで、ジェスカ自身とフォーチュンに必要なマナを確保し、ループを引き起こします。

 これは本来取り入れる予定のないコンボだったので、明確な勝利手段となるカードを採用していません。とはいえ、1ループごとに(ジェネラルが場に出ているなら3枚の衝動的ドローもあり、)墓地にカードが1枚増え、マナも赤1マナ増えていきます。何がなんでもマナが欲しい時や、最後の一押しとなるカードを掘り当てに行く時、他プレイヤーのデッキのドロー力が強くてライブラリーアウトが狙える時に、こういった方法があると記憶に留めておく程度のものですね。


レベル7前後赤単ラスリスデッキQ&Aコーナー

 ここからは「レベル7前後赤単ラスリスデッキQ&Aコーナー」と題して、このデッキにおけるポイント解説をQ&A形式で記していきたいと思います。このデッキ以外の、同レベル帯や他ジェネラルのデッキ、あるいは初めて高レベル帯デッキを目指すビギナーの参考にもなると存じます。

①Q.「赤のドラゴンデッキなのに、なんでゴージャーコンボを採用していないの?」

A.「《世界喰らいのドラゴン》がコンボパーツにしか活用できず、多人数戦であるEDHではコンボの途中で妨害を挟まれやすい。また、黒のそれのような汎用サーチがほぼ皆無である為、コンボパーツをサーチしている間に警戒される」。

 まずは「ゴージャーコンボ」について簡単に解説しますね。ゴージャーコンボとは、ワールドゴージャードラゴンこと《世界喰らいのドラゴン》の能力を用いた無限コンボです。ゴージャーの「戦場に出た時に全てのパーマントを追放する能力」と「このクリーチャーが戦場に離れた時に、これによって追放されていたパーマントを全て戦場に戻す能力」を活用して、無限ループを引き起こします。

 赤単においては、《鏡割りのキキジキ》とのコンボが有名です。要点だけ説明すると、ゴージャーとキキジキとコピートークンである2体目のゴージャーがいると、ゴージャーとコピーゴージャーの能力が複雑にスタック上へ積まれ、あるタイミングで本物ゴージャーやキキジキと全ての土地を含む全パーマネントがアンタップ状態で戦場に戻ります。そこでキキジキをタップし再度コピーゴージャーを生成する事によって無限ループを引き起こし、アンタップ状態で戻ってくる土地をタップする事で無限マナが成立します。

 このコンボはパーツが揃っているなら任意のソーサリータイミングでもインスタントタイミングでも可能で、ループも任意で止める事が出来ます。無限マナが成立した後は、《シヴの地溝》のようなループの中でアンタップするダメージソースや、《歩行バリスタ》などのいわゆる「無限マナの注ぎ口」を使って勝利します。

 これだけ聞くと、魅力的なコンボに思えるじゃないですか? そう思わないあなたは、マジック中級者以上ですね?

 どういう事かと言うと、ゴージャーコンボはコンボとして脆弱です。除去や打ち消しといった妨害1枚で簡単に止まります。それはこのデッキに搭載されているコンボも同様ですが、赤単におけるゴージャーとキキジキの組み合わせは、パーツを代替できるカードがほとんど存在しません。というか、たぶんない。一度止められたなら、二度目に挑戦するのは難易度が更に上がるでしょう。

 それに加えて、ゴージャーはコンボパーツして活用する以外の用途がほぼ存在しないカードです。ちょっと考えてみてください。本来の方法でゴージャーを使うならば、戦場には7/7飛行トランプルのクリーチャーが1体いるだけで、他のクリーチャーや置物どころか土地すら1枚もない状態です。そんなのパーティーゲーム寄りのカジュアル対戦でも勝てる気がしねえぞ。

 更に付け加えると、赤には《悪魔の教示者》のようなカードを公開しないで手札に加える事ができるサーチがほぼ存在しない為、サーチでゴージャーやキキジキを公開した瞬間に対戦相手は完全にコンボを警戒します。仮に私が逆の立場だったら、絶対に妨害札1枚は確保する。それが単純計算で対戦相手3人分ですよ? 《沈黙》や《龍王ドロモカ》などが使えない赤単で、どうやって相手の妨害を阻止します?

 え? 「赤には《偏向はたき》や《ティボルトの計略》があるじゃん」? だったら上で書いたラスリスをパーツにする無限トークンコンボか、そもそもキキジキをジェネラルにするのが合理的じゃね? これ以上正論書くと涙が止まらなくなるのでここでやめ!!

若干苦行じみたラスリスデッキを続ける理由が揺らいじゃう!

 総じて、ゴージャーコンボは(特にゴージャーが)コンボ以外の用途に乏しく、赤単では対戦相手に隠したままパーツを集めるのが困難である為、このデッキでは不採用としています。


②Q.「赤のドラゴンデッキなのに、なんで『Red Necro』コンボを採用していないの?」

A.「ラスリスデッキにおけるRed Necroの成功率の低さから不採用とした」。

 まずは、Red Necroコンボについて説明しますね。Red Necroコンボとは、とあるドラゴン系デッキコミュニティで発見された、大量ドローコンボです。

 コンボの仕組みとしてはシンプルです。ライフを支払う事によってパワーを上げられる《溶鉄鋼のドラゴン》を用いて対戦相手に大ダメージを与えた後に、戦闘後メインフェイズで《山背骨のドラゴン》を場に出し、大量ドローします。EDHでは初期ライフが40点なので、最大で38点のライフを支払い溶鉄鋼をパワー23まで上げる事が可能で、山背骨で23枚ドローできます。

 「ライフをリソースとして活用し大量ドローする様子」が、かの《ネクロポーテンス》に似ている事から、「赤いネクロポーテンス(もしくは、赤単でも可能なネクロポーテンス)」という意味で、Red Necroと呼ばれています。

 また、ライフを38点支払うという事は、「対戦相手にターンを渡せば敗北は免れない」となるので、基本的にこの大量に得たハンドを用いて別のコンボ(=勝利手段)に繋いでいきます。その潤滑油となるのが、《魔力の墓所》や《語りの神、ビルギ》、あるいは《ライオンの瞳のダイアモンド》と《死の国からの脱出》の組み合わせなどですね。

 一通りの説明を終えたところでラスリスデッキに立ち返ってみると、Red Necroってかなり達成難度が高いと思うんですよ。私個人としては、溶鉄鋼で大ダメージを与えた後に山背骨でドローした事さえない。ぶっちゃけ、そんな余裕いつもない。

 ジィーリィーランや《始祖ドラゴンの末裔》のような、ジェネラル自身がパーツを用意できる、もしくは自身がパーツになれるならまだしも、ラスリスにそんな便利な能力なんて皆無ですからねえ……やれる事はトークン出すか全体火吹き……。

 更に付け加えると、《ライオンの瞳のダイアモンド》が高額カードな上に、コンボパーツして用いる事が主な用途です。前述の通り、このデッキには既に複数のコンボが搭載されているので、これ以上増やすのは乗り気にはなれないですし。

 結論を述べると、「総じてラスリスデッキとは相性がそこまでよくはない」と判断した為、不採用としました。


③Q.「高レベルの赤単デッキに《Gauntlet of Might》って不可欠?」

 A.「もちろん強いカードだが、欠点はある。そして、《Gauntlet of Might》がなくとも高レベルは目指す事ができる」。

 これについて詳しく解説していきますね。《Gauntlet of Might》は(各プレイヤーがコントロールする)山からマナを引き出すと赤1マナを生み出し、赤のクリーチャーに+1/+1修正を与えるアーティファクトです。

 再録禁止カードであり、金枠や30周年verではない通常版カードは安くても9万円前後で取引されている高額カードです。一般的にEDHにおいては、「(高レベル帯)赤単を組むならほぼ必須カード」と評されています。

 しかし、個人的な結論を述べると、「《Gauntlet of Might》はたしかに強いマナファクトであるが、9万円の理由の半分ほどは再録禁止の希少性ゆえかつ、このカードを入れたところで値段分のデッキパワーを得られるとは限らない」です。

 その理由を述べますね。実際に《Gauntlet of Might》は現代マジックでは考えられないほどのマナ加速が行なえるアーティファクトです。カジュアルEDHデッキで採用される事が多い《統率者の宝球》や《面晶体の記録庫》と比べると、その強さが特に際立ちます。

これらのカードが弱いというわけではありません。《Gauntlet of Might》が常識外の強さなんです。

 しかし、これ1枚で必ず勝利に直結するカードではないと、私個人としては考えています。その理由の一つ目は「4マナというマナコストの重さ」です。カジュアルEDHならば4マナは低マナ域寄りに分類されますが、このレベル帯ではビッグアクション寄りです。しかも、相手の行動や選択を制限する能力はほぼ皆無であり、ヘイトが高いカードでもあります。

 更に、このデッキでは《血染めの月》や《月の大魔術師》を採用しているので、相手のマナ加速を手助けする危険性があります。また、私のこのデッキでは0〜低マナのマナファクトを詰め込んで、基本的に1ターンに1枚しか場に出せないカードである土地の枚数を可能な限り削っています。しかも、《作戦室》や《屍肉あさりの地》、《魂の洞窟》などの非基本土地を多用しています。

単色デッキでは多色のそれと比べて、色マナの価値が低下します。ゆえに、マナを出す以外の能力を持った土地を採用しやすいという特徴があります。

 初期手札にこのカードと4マナまで伸ばせる土地やマナファクトがあったとしても、それでキープするかは状況次第です。身も蓋もない言い方をすると、2ターン目に月や《背信のオーガ》をキャストできる方が圧倒的に強いと考えていますし、場合によっては3マナまで伸ばせるカードと《兄弟仲の終焉》にも劣る事があるかもしれません。

 個人的な考えとしては、仮にもしもカード資産が全くなく、一からカードを買い揃えるならば、1枚9万円の《Gauntlet of Might》を1枚だけよりも、ほぼ同じ値段で《魔力の墓所》と《宝石の睡蓮》と《Wheel of Fortune》と《波止場の恐喝者》と《一つの指輪》を手に入れた方が何倍も強くなると思っています。

 とはいえ、赤単を極めようと思うなら、「いつかは絶対買うカード」です。前述の通り、一般的なマナファクトでは考えられないほど膨大なマナを生むのですから。「戦いは数だよ兄貴!」理論です。

みんな大好きドズル中将。

 私は最近知ったのですが、あなたはマナファクトをサーチできる《月銀の鍵》で、《Gauntlet of Might》が引っ張ってくる事ができるとご存知でしたか?
 たしかに一般的なマナファクトのような、タップでマナを引き出す能力はありません。しかし、本質が「山から2マナ出す」ではなく、「山からマナを引き出したらならマナを生み出す」という誘発型マナ能力らしいので、サーチが可能との事です。もちろん、リメイク的カードである《魔力の篭手》も同様です。



④Q.「《魔力の墓所》や《宝石の睡蓮》のような、高額マナファクトカードってあった方がいい?」

 A.「価格的な事情やレベル合わせ以外で不採用にする理由はない。それくらいのカードパワーを秘めている」。

 これについて詳しく解説していきます。《魔力の墓所》は自分のターン毎にダメージを受ける危険性がありますが0マナで無色2マナを生み出せるマナファクトであり、《宝石の睡蓮》はジェネラルのキャストにしか支払えないとはいえ0マナで有色3マナを生み出せるカードです。どちらも高レベル帯のEDHデッキでは常連として扱われているカードでもあります。

 はい、私個人の見解としても、これらのカードは本当に強いです。1色のマナ3点という制約がある《宝石の睡蓮》はジェネラルのマナコストやシンボル数によっては採用しないデッキがありますが、《魔力の墓所》はマジで懐事情とカジュアル寄りにしたいか否か以外で採用しない理由が存在してない。

 もし、あなたが赤単で可能な限りの強さを求めるなら、これら2枚は必須です。とはいえ、どちらも(一般的な金銭感覚で言えば)高額カードなので、自分のお財布やプレイスタイルと相談するのがベターでしょう。あなたと卓を囲むカードゲーム仲間が許してくれるのなら、まずは(偽造品ではない本来の意味としての)プロキシカードで試してみるのも有効であるはずです。ほとんどのデッキで採用可能であり、そのパワーを存分に発揮するカードですが、対価としてヘイトがかなり高めですし。


⑤Q.「赤単デッキなら《Wheel of Fortune》って数万円で購入してでも入れるべき?」

 A.「代替できるカードはいくらでもあるので、無理に購入する必要はない。しかし、あるならあったでやはり強い」。

 これについて詳しく解説していきますよ。《Wheel of Fortune》「手札を全部捨てて、デッキから7枚引く」という、豪快なドローが特長なカードです。一見すると、手札を全部捨てるのは高いデメリットに思えますが、手札が6枚以下でこれを唱えるならば手札枚数としては得する事になります。マナフラッドなどの手札が腐っている時にもその解答になりますし、仮に墓地を多用するデッキならばデメリットを最小限にできます。

今はマジックの話で、ポケカ旧裏時代の話じゃねえんだわ。

 総じて、強力なドロー能力を持ったカードであり、再録禁止ゆえに安くても3,5000円前後で取引されています。また、「手札を全て捨ててカードを複数枚引く」という能力を持つカードの基準的な存在であり、今後もフォーチュンの完全上位互換が出る事はないでしょう。

 これを逆に言えば、「フォーチュンに類似した能力を持ったカードや、場合によってはフォーチュンよりも強いカードは多数存在している」という事です。代表的な例を挙げると、《魂の再鍛》《輪の大魔術師》《ドラゴン魔導士》などですね。

 つまり、「3,5000円を出さずとも、同じ行為を低価格なカードで行なえる」という事です。仮にフォーチュンをデッキに入れたとしても、それは事実として(ジェネラルを除いて)99枚で構成されたEDHデッキの中に紛れた、たった1枚のカードでしかありません。特に、赤単はドローもサーチも質が高くはありません。一度もフォーチュンを見かけずにゲームが終了しても不思議ではないでしょう。

 とはいえ、フォーチュンやその類似カードの中で最も扱いやすいのは、やはりフォーチュンですね。そういう意味では、このカードはやはり多くの類似カードが作られるほどのパワーがあります。

 結論を改めて述べると、無理に手に入れずとも代替カードは存在していますが、赤単もしくは赤を含んだ多色で高レベルを目指すならば、いつかは必要とする可能性が高いと言っても過言ではありません。


⑥Q.「なんで単色デッキなのにフェッチランドが入っているの?」

 A.「フェッチランドには土地を探す以外にも用途がある。特に、このデッキではそれが顕著」。

 「フェッチ」ってなんだか淫靡な語感だと思ってるのは私だけじゃないよね? それはともかく、このデッキにおいて、《山》を探す事ができるフェッチランドを5枚採用しています。

 ビギナーから見たら、「基本的に色事故が起こらない単色デッキなのに、なんでわざわざライフを1点失うフェッチランドを入れてまで山を探すんだろう?」と思うかもしれません。しかし、これには明確な理由があります。フェッチランドの「ライブラリーを切り直す」というものです。

 このデッキでは、《オーブ・オヴ・ドラゴンカインド》《ヴァラクートの覚醒》などの、能力の一部に「カードをデッキの一番下を置く」というものや、《師範の占い独楽》《巻物棚》と、「デッキの上部を操作できる」カードを採用しています。

 これらを使っているとどうなるか。「まさに今欲しいカードがデッキの下に行ってしまう(ついさっき下に行ったばかり)」や、「現状に対して不要なカードがデッキ上部に溜まりがち」が起きてしまう可能性があります。

 はい、そうです。フェッチランドはその対策や予防策として取り入れています。たしかにライフを1点失ってしまいますが、フェッチランドはシャッフル手段として見るなら、マナを必要としない破格の性能です。

 特に赤単は全く笑えないのに爆笑できるほどドローもサーチも質が高くない為、このレベル帯においてデッキ操作ができる独楽や巻物棚は重要な生命線の一つです。それらを最大限活用するには、フェッチは不可欠です。

 あなたがビギナーであるなら、これだけは覚えて帰ってください。「独楽を回すなら可能な限りフェッチを入れろ」は、マジックにおける鉄則の一つです。脱初心者したばかり特有の教えたがりである。

 フェッチランドには、デッキから土地カードをサーチする事によってデッキ残り枚数を減らし、戦術のキーカードを引き当てる確率を上げる「デッキ圧縮」の性能もあります。ただし、99枚デッキであるEDHにおいて、その効果は高いとは言えません。


⑦Q.「で、実際にこのデッキってレベル7前後の強さがあるの?」

画像はこのデッキを、「デッキの塩度(対戦相手に与えるストレス度)」を計測できるサイトで試した結果。このサイトは、あくまでパワーカードやコンボがどれくらい採用しているかを冗談を混ぜて表現しているだけで、高レベル・競技EDHそのものを否定しているわけではありません。また、もちろんデッキリストのみを用いた計測になるので、実戦的な動きは加味されていません。

 A.「乾坤一擲を体現する赤単らしく、上振れと下振れの差が激しいので、レベル帯の正確な特定は難しい。しかし、少なくともレベル4以下のカジュアルデッキの相手に出していいものではない事はほぼ確実」。

 正直に言うと、このデッキは勝利手段がコンボへ大きく傾いているので、便宜上「レベル7前後」と銘打っていますが、実際はレベル5〜6程度のデッキになす術もなく敗北する場合もあります。逆に、レベル8程度のデッキをゲームから脱落させる時もあります。

 このデッキは、レベル7前後帯のデッキとしては戦術の再現性があまり高くないので、初期手札の質が高い「上振れ」を引いた場合と、逆の「下振れ」が起こった際の差が非常に激しいです。一応は私なりにマナカーブを意識して、一度行なえるフリーマリガンまでにはなんとかゲームをできる手札を揃えられるようにしたつもりです。しかし、事故る時はとことん事故ります。まあ、好きで赤単をやっているので、「それが嫌なら色を増やして、マナ基盤やドローソースやサーチを積め」って話ですね。

 それはともかく、基本的にこのデッキは一つの目安として、レベル4以下のカジュアル志向なデッキの相手に相応しくないパワーはあると考えています

 《血染めの月》のような特定の相手をゲームから蹴落とすカードを入れていますし、《魔力の墓所》やモックス系マナファクトのような強力なマナ加速カードもあります。それらを初期手札に加える為の「攻めのマリガン」がある程度可能であり、ゲーム中にサーチやデッキを掘って探しにいく事もできる構築にしています。

 加えて、確率は非常に低いですが、1ターンキルが理論上は起こり得ます。前記したカジュアル帯のラスリスデッキにおいてそれは、デッキリスト内容から考えて絶対に不可能です。

ロイヤルストレートフラッシュ。これで搭載コンボ③が可能です。

 例えるならば、cEDHのガチデッキが現行最強クラスの戦闘機であるF-35であり、レベル4以下のカジュアル帯デッキが鳥人間コンテストであるとすると、このデッキは名機とはいえロートルの仲間入りをして久しいF-14戦闘機です。

 すっかりご老体になってしまったF-14で、現役バリバリの第5世代戦闘機であるF-35を相手にするのは相当厳しいものがあります。しかし、「F-14は推力重量比が1以下だから鳥人間コンテスト出ていいよね」なんて血迷えば、参加者全員をジェノサイド待ったなしです。「そんなにトップガンやエースコンバットがやりたいなら、一人回しでもしてろ」です。

ネガティブな例え方に用いてしまいましたが、どちらも名作中の名作です。

 私個人としては、「今日はまったりやりたい」や「レベル5前後かそれ以下」と言ったり言われた時は、このデッキではなくカジュアル用のラスリスデッキで対戦します。

 あくまで個人的な美学ですが、私にとってEDHの楽しさの本質とは、「お気に入りのカード(ジェネラルなど)を活躍させる事」と「対戦相手を楽しませる事」だと考えています。(二次創作メインの)創作者ならではの感性かもしれませんね。

 つまり、「相手にEDHを通して楽しいひと時を提供する事こそ、私にとっての楽しさ」です。1ターン目に《背信のオーガ》をキャストして《血染めの月》まで置いて爆走状態になっても、私1人が楽しくて卓が白けるのならば、私にとってなんの意味もありません。加えて、私には対戦相手の手応えとなる、(卓に合わせた)相応の強さを義務づけられているとも考えいます。

 なので、私は全く同一のジェネラルで複数のデッキを所持しています。対戦相手がちょっとまったりとしたプレイを望んでいる時も、少しスリリングなプレイを望んでいる時も、その両方に可能な限り対応できるように。もしかしたら私がやりたい事は、「ゲームのボスキャラ」なのかもしれません。究極的に言えば、(もちろん手を抜いたプレイは一切しないですど、)私は私の勝敗を気にしていませんし。

 ちなみに、全く同じジェネラルで複数のデッキを持つのはいいぞ。レベル合わせやゲームの準備が比較的簡単になるし、プレイの中で「あっちのデッキでも応用できるな」という発見がある時もあるし、何よりお気に入りのジェネラルでゲームをする回数が増えるからマジで爆アド。


結びに、「火を点けろ、燃え残った全てに」

言わずと知れた2023年覇権ゲームの一角。

 最後までお読み頂き、本当にありがとうございます。そして、本当にお疲れ様です。

 この記事を執筆した真意としては、私のドラゴンデッキプレイヤーを一人でも増やしたいと同時に、ラスリスデッキの可能性を少しでも広げたいという思惑です。

 上記のデッキリストは真似して頂いて全然構わないですし、これを叩き台にしてあなたなりの構築を探るのも大歓迎です。それを行なうにあたって生じたあなたの知識や経験は、巡りめぐって私の利益に、そしてラスリスというカードの可能性に、彼女自身の「ドラゴンの女王」としての栄誉に繋がるのですから。

 今後も、四葉静流をどうかご贔屓に。

(筆者はマジックを本格的に始めて数年の未熟者です。ゆえに、「ここが甘い」や「ここをこうした方がいい」という、マジックの兄様姉様がたのご指導をお待ちしております。ただし、厳しすぎると泣いちゃうのでお手柔らかにお願いします)