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開発者からみたミミズモード

こんにちは!今回はミミズモードに焦点を当ててみたいと思います。
スマスロ第一弾として出てきたヴァルヴレイヴに搭載されているミミズモード
スマスロ第一弾だからこその苦労だとか、気遣いがあることを考慮した「考察」となっています。

本申請とダミー申請

新しい仕組みを考えるとき、いきなり販売用に新しい仕組みありきで行うことはリスクが高すぎて行わないものです。
実際には「適合性」を担保するために、販売用ではない「ダミー申請」を行い、適合性の担保を取ります。

ダミー申請であっても、一度の申請で結果が返ってくるまでには2か月ほどかかります。
じっくり時間をかけられるタイトルにおいては事前にダミー申請を行うことが多いです。

申請時期から考える

ヴァルヴレイヴはスマスロ第一弾として世の中に登場しています。
スマスロの申請が可能になった時期はいつでしょうか?

スマスロにはコンプリート機能が必須となっていて、そのコンプリート機能が解禁され、申請可能になった時期は2022年の4月1日です。

ではヴァルヴレイヴの申請時期はどうかというと…
推定申請時期の出し方は最後に有料エリアで開示します。
(これは開発の方でも知らなかったっていう人もチラホラ)

これを知っていると、「これはあの機種の仕組みをブラッシュアップしたものだ」と言われているものが本当にそうなのかとかが透けて見えます。

さて、当のヴァルヴレイヴはというと・・・
おおよそ5月中旬~6月下旬頃に申請されたもののようです。

ダミー申請でも結果がでるまで2か月ほどかかると説明しました。
4月に申請可能になったスマスロで、2か月かかるダミー申請を行った上で5月~6月に本申請をもっていくというのは現実的ではありません。

ヴァルヴレイヴにおいてはワンチャンそのまま通ってくれ!っていう半実験機仕様のまま申請に送り出したと思われます。

販売想定の有無による仕様の差

販売予定のない「ダミー申請」と販売予定のある「本申請」とでは、仕様の踏み固め方が異なってきます。

ダミー申請ではいいものはいい、悪いものは悪いと白黒はっきりつけるため、NG項目もしっかりわかるように仕様設計をして、申請を行います。

反面、本申請となるとそうは言ってられず、より確実さを求められてきます。
そこに、スマスロ創世期のようにダミー申請ができないケースがでてくると、グレーな仕様の中に「OKになる理屈」を入れることを考えます。

試験抜けと捉えられない仕様の構築

6号機時代になって、射幸性を確保するため、現時点で適合挙動だったかどうかを管理下におく、適合コントロールの概念が一般化しました。
リゼロなどで見られた不適合ライン割ってるから出しちゃえ系の仕様ですね。

その流れから、スマスロで有利区間ゲーム数が無限になるものですから、各社適合対策を考えて持ち込むのは想定されていました。
その為、組合からも「17500G経過後の出玉の波が荒くなるような試験抜けと捉えられる仕様は搭載しないように」と事前に通達がでていました。

しないようにと言われて「はいそうですか」と答えるほどメーカーも素直ではないので、各社その上で仕様を考えてきました。
最速リリースができたメーカーはうまくいき、最速リリースから遅れてしまったメーカーはその部分がうまくいかなかったんでしょう。

スマスロ創世期のカオス仕様

スマスロ創世期では巧妙なものから、露骨なものまで各社様々な適合対策仕様を試験に持ち込んだようです。
その中で、有効だったものは「巧妙なもの」の部類に入ります。
ヴァルヴレイヴのミミズモードは「巧妙なもの」なわけです。

「露骨なもの」がどういった仕様かというと…
これは最後に有料部分でお話しします。
結果だけ言えば、「露骨なもの」の類は全て不適合になっています。

ヴァルヴレイヴが適合しているということは、ミミズモードが「通常のゲーム性」として見なされていたことになります。(少なくとも試験当時は)

開発視点でミミズモードを考える

「ミミズモードのような概念で、試験対策と思われない仕様を搭載したい」という開発オーダーがあったとき、私ならどういう風な仕様にするかを考えてみます。(ここから先は考察というより、想像です)

●朝一挙動
まず考えるのは有利区間突入時に「通常」か「ミミズ」かを振り分けることですが、より安全にいくなら有利区間突入時には「通常」もしくは「未分化状態」とします。
朝一に「通常」or「ミミズ」としてしまうことは試験対策仕様が露骨に見える恐れがあります。

●ミミズモードへの移行
ミミズモードへの移行は複数契機設けます。
一番大きな要素が朝1回目の当たり後で、ここがミミズモード移行する最も多いケース。
その後ずっとミミズモードだと露骨な閉じ込め仕様に見えるので、抜け道も用意します。
抜け道を用意することで、「通常のモード遷移の一環」として見せやすくなります。

●脱ミミズモード⇔途中からミミズモード
前述の通り、「通常のモード遷移の一環」として見せることが試験機関に対する心象もいいので、薄くモード遷移要素を組み込みます。
モード遷移についてはゲーム数で切り替えると露骨なので、例えば規定ボーナス回数とか、規定回数のレア小役成立とか、そういう普通のゲーム性でありそうなものを参照します。
長く打っていると自然に遷移して、ミミズにもなるし、通常にもなるという仕様にすることが必要です。

ということで、開発者が考えるミミズモードの中身はこんな感じ
朝1回目のボーナス後に「ミミズ」か「通常」かを振り分ける
⇒設定6ほどミミズになりやすくする
(なぜ設定6ほどなりやすくするかは「型式試験のあれこれ」を参照してください)

❷ボーナス回数や、レア役回数を参照して、途中からでも移行することがある(途中脱出もある)
⇒現実的に移行する必要はなく、そういうパスがあるというニュアンス

まとめてみると大したこと書いてなくて恐縮ですが、開発者マインドだとこうかなっていう形です。

ちょっと蛇足な要素で、所々濁した部分、有料エリアで記載します。
開発の方でも「それは知らなかった」っていうものもあります。

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