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特定行為研修を修了した救急認定看護師が診療看護師(NP)の道に進む意義とは?患者に対するメリットはありますか?

ご質問ありがとうございます。
私が答えることは恐れ多いのですが、頂戴した有難い機会ですので感じたことを記載します。
ご質問内にもありますが改めて記載しておくと、これは個人的に意見であり独断と偏見が含まれていることをご容赦ください。

・医学的知識は得られるか?
医学的知識は得られます。
10年以上の臨床経験、救急看護認定看護師になるための教育カリキュラム、特定行為研修の共通/区分別科目を踏まえても、診療看護師(NP)養成大学院に進学すると医学知識は得られるでしょう。
ただし、その中には大学院在学中の自己研鑽によるものも含まれます。
大学院で医学知識を学ぶとはいえ、たかだか2年であり、実習や研究や人によっては仕事をしながら学習するので2年間全てを丸々使える訳ではなく、時間的な制約はどうしても生じる。
なので、自己研鑽をどれくらい出来るかによって、得られる医学知識の量や質は変わってきますが、医学的知識は得られます。
そして、その知識を看護師とは違った考え方で使うことができるようになるでしょう。

・時間、労力、お金を掛けてまで診療看護師(NP)に進む意義はあるか?
「診療看護師(NP)に道に進む目的は医学知識を得るため」だとすると、大学院進学によって新たな知識、考え、視点などが得られるので意義はあると思います。
ただ、質問者さんの例えば熱量や趣味や年齢や家族構成といったプライベートな要素によってはその意義の度合いは変わると思います。
都合良く考えても、今年度の受験で合格して来年度から大学院入学、大学院は2年間、その後に就職して1〜2年の研修あるいは研修をしない施設ならそのまま臨床へ、最低限の活動が1人でできるようになるまで研修を含めて短く見積もっても3年。
都合良く考えても5年程は資格取得や下積みに必要でしょうから、その頃には質問者さんが例えば40歳になったとして、あと何年臨床で活動できるでしょうか?また活動したいでしょうか?
また、診療看護師(NP)に関する労力や様々な費用も診療看護師(NP)の道に進まなければ発生しません。労力はまだしも、費用に関しては以前の質問箱の返答で概算してみたところ、大学院を選べば150万円前後で、自由に大学院を選択するなら280万円ほどは必要になるでしょう。これに加えて家賃、水道光熱費、食費、通信費、その他固定費、雑費などのお話がありますが、それは許容できるでしょうか?
自分に時間やお金を掛けるということは、他のことに時間やお金を使いにくくなり、例えば趣味や家庭に掛けられる時間やお金は少なくなる。
進学しても、しなくても意義はあると思います。
何を優先したいか、だと思います。

・救急看護認定看護師の立場とは何が違うか?
立場と言われると法律上は同じ看護師なので、イメージしやすく業務で違いを考えてみます。
法律のもと、現状の仕組みの中で実践している前提で、分かりやすく記載します。
例えば救急外来で勤務しているとして、救急隊から胸痛を主訴とする患者を受け入れる際に何を考えるでしょうか?
心筋梗塞?肺血栓塞栓症?大動脈解離?といったところは想定するでしょう。
その時に、何を疑い、採血でどんなことを確認しますか?画像検査は?病歴聴取ができるとしたら何を聞きますか?
心電図変化があった場合はどうしましょうか?なかった場合はどうしましょうか?
病着時には胸痛が消失してましたが、トロポニンは陽性でした。どうしましょうか?
この患者さんは入院した方がいいですか?帰宅してもいいですか?
医師と事前に相談して、その都度必要な情報を集め、判断し、やって良い範囲で自分のできることを実践して、適宜医師へ報告や相談あるいは指示をもらい、また情報を集め、判断し、やって良い範囲で自分のできることを実践する。

例えば、医師と事前に相談して出来る範囲で実践をして、医師へ「救急搬送された糖尿病の既往がある中年男性が、突然発症の胸痛を訴えており、頻呼吸や末梢冷汗を認め、血圧の左右差とDダイマー上昇があり、心エコーで大動脈弁閉鎖不全や心嚢液貯留を認めており、大動脈解離が疑われるため造影CTをしてもいいですか?」と報告と提案をして、医師がその提案を採用あるいは追加/修正の指示をもらうようなイメージです。
もちろん施設や管理者の考え方に寄りますので、診療看護師(NP)だからといってどこでも誰でもこんな感じという訳ではないですけれど…

・今以上に患者にメリットとなる要素はあるか?
メリットとなる要素はあると思います。
自分で判断できるようになり、その判断を許容してくれる医師がいてくれれば、患者にできることが増えるでしょう。
例えば、受け持ち看護師が、患者の状態を評価して「この患者さん術後○日目で、・・・は問題なくて///だから、歩いても大丈夫だと思うのですが、歩いていいですか?」と提案して、医師が「歩いていいですよ」とその提案を採用するイメージです。
あるいは先ほどの救急外来のようなイメージで、それが安静度だったり、食事だったり、点滴だったり、内服だったり、患者にとって必要な様々なことを提供できるようになるかもしれないので、今以上のメリットとなる要素はあると思います。

ただ、医師がその提案を許容するかどうか、そもそもの施設や管理者の方針はどうか、協働するスタッフの受け入れなど自分以外の要素が影響するので、診療看護師(NP)なったからといって出来るかどうかは分かりません。
医師と関係性が構築できたり、医師とディスカッションができるようになったり、他職種が自分を受け入れてくれたりするかどうか、結局は自分次第でしょう。

先々への不安なのか、自分はこのままで良いのか、挑戦したいけど本当に挑戦しても良いのか…
質問内容から色々と考えていると妄想してしまいました。
少しでも参考になれば幸いです。
頑張ってください。

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