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夕暮れのパラダイストロピカルティー

今、ロイホでご飯を食べている。
ファミレスの中では断トツでロイヤルホスト派。

ロイホって、ちょっと高級なファミレスな気がするから。
名前に「ロイヤル」を背負っているだけあって、高貴なイメージがある。

都会のロイホはもっと好きだ。
都会の喧騒の中にある、静かな隠れ家のような。
扉を開けると一気に時間の流れがゆっくりになるような。
そんな感覚を味わうことができる。

幼少期、母はよく私をロイホに連れてきた。
仙台で、少しでも都会気分を味わいたかったのだと思う。なんたってあの都会好きの母だ。

そこで頼む、お子様ランチボックスが大好きだった。
普通のお子様ランチは新幹線やらミッキーやらのプレートで出てくるのに、ボックスというだけで特別なものに見えたのだろう。

このキャラクターを見ただけで、懐かしさで失神してしまいそうなほどだ。

ランチボックスを卒業したら、次はコスモドリア。
ドリアという概念を覚えたのはこのコスモドリアがきっかけだったように思う。
大きなエビと、栗がゴロゴロ入っているのが好きだった。今でもたまに、あの甘い栗とクリームソースとレモンの味が恋しくなる。

コスモドリアも卒業したときには、私は無節操に色んな物を食べるようになっていた。 

でも。

どんなに無節操にメニューを選ぶようになっても、唯一変わらないもの。
それがセットで頼むパラダイストロピカルティーだ。

物心ついた頃から母が頼んでいた飲み物。
お店で頼むと、オレンジのスライスがついて来る。私はそのオレンジをよくもらって食べていた。

レジの横にペットボトルでも売っていて、ロイホに行ったときはいつも買って帰っていた。

このパラダイストロピカルティー、ロイホ以外ではなかなかお目にかかれない。
たまーにスーパーとか、KALDIとかで出会えたりする。
だから、運良く黄色いラベルのこの子に出会えたときは、バカみたいにはしゃいでしまうし、大したお金もないくせに一気に三本くらい買ってしまう。
一時期学校の生協で売っていた時があって、その時は私しか買ってないんじゃないかな、というくらいしつこく買い続けた。
この子の良さをわかってるのは私だけなのよ、という謎の優越感と共に。

パラダイストロピカルティーは、私を「ちょっと幸せにするアイテム」だ。
そして、私の過ごしている時間の質を上げてくれる存在でもある。
この子をおいしいと感じて、好んで飲んでいる私自身の質も上げてくれるんじゃないか、という感覚にすら陥ってしまう。

私がロイホを支持する由縁のほとんどは、このパラダイストロピカルティーにあるのかもしれない。

パラダイストロピカルティーを売り続けるロイヤルホストってかっこいい。

「パラダイストロピカル」と「ロイヤルホスト」ってもう字面だけで相当かっこいい。

だから今日も、私はこの「なんかかっこいい」隠れ家で、「なんかかっこいい」お茶を飲む。

不思議と行き詰まった気持ちも取り除かれるというものだ。

お茶ひとつで幸せになれる低燃費な自分も、悪くない。

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