見出し画像

清里の「インタビューのワークショップ」

2023年12月26日〜30日 … キャンセル待ち受付中(11/12時点)
>お申込み|Googleフォーム

「インタビューのワークショップ」は、始めて13年になるプログラムです。最初はある大学の依頼でひらいた2日間の公開講座。最近は4泊5日・7名という形でつづけています。

安曇野/穂高養生園(2023)
遠野/クイーンズメドウ(2023)

ひとの話を「きく」態度や手法の再構築を通じて、それぞれが「はなす」ことを再体験する。本でいえば『自分をいかして生きる』のつづきであり、『かかわり方の学び方』の実践編のような時間になっていると思います。

遠野/クイーンズメドウ(2022)

最近あらためて思うのは、話しながら人はどんどん変化しているということ。AがBになる!ような劇的な変化もあるけど、A→Bの遷移を微細に表現しつづけているんですよね。

でもきき手は見逃してしまうことが多い。なぜだろう。理由の一つは、話の内容の方に関心がいって、話している本人への関心が下がってしまう。話している人がそのことについて、いまどんな〝感じ〟なのか、という小さな報告に気づかない。内容が美味しくて、モシャモシャとそっちを食べ始めてしまう。きいているようで考え始めてしまい、その頃はもう「きいて」いないわけです。

清里/清泉寮(2019)

「考えずにきくなんて出来るの?」という問いに出会うことがままあるけど、「できるんちゃう?(笑)」と、楽天的にいろんな方法を試してみるわけです。10年以上になり、この試みのバリエーションは増えてきました。

ペアワークが多いけど最近は7名(奇数名)でひらいているので、すると私自身も一緒にきいたり話すことになる。これはよいなーと思っています。ワークの中にファシリテーターが混ざることには以前疑問があったけど、いいものですね。メンバーの肌感がよくわかるし、なにより一所懸命にやれる。余裕なくやれる。

「一所懸命にやるのがいちばん」というのが、ファシリテーションでも、インタビューでも、人とかかわる働きではすべからく重要で、それ以外にないんじゃないかな。みんな一所懸命に生きているので。そうでない人を見たことがない。どんなにやる気のなさそうなどんな人でも、のんびりしている人でも、子どもでも高齢者でも、それぞれの手続きでなんとか懸命に生きようとしている。

インタビューの仕事をしていちばんよかったのは、その姿を見つづけたことかな。「こうだといいな」でなく「こうなんだ!」と実態を確認できたのは、大きな安心感になった。

遠野/クイーンズメドウ(2022)

参加する方の背景はさまざまで、ライターのお申込みが多くなる?と思っていたけど、実際には多いときで2名くらい。他は、ひとの話をきく機会の多い仕事についている人…そうでない仕事の方が少ないか。ラジオ番組を持っている方との出会いも楽しかった。あるいはマネージャーとか、教師とか。友人や家族の話をもっとききたいとか。あと、なんとなくピンと来た方。

「きく」ことの再構築と「はなす」ことの再体験という言葉は書いていますが、あれが出来るようになるとか学べるとか掲げて告知していない。プログラムの詳細も明記されていないこのワークショップに来る人は冒険家だなーと、いつも思う。

日常の冒険家の集いでもあります。「自分かも?」と思った人は、どうぞお越しください。

インタビューのワークショップ|清里編
清泉寮(キープ協会)
定員:7名
参加費:77,000円
宿泊費:86,000円(個室は104,000円)
>お申込み|Googleフォーム

清里/清泉寮(2022)


清泉寮について

20年ほど前から通っている場所です。「清泉寮」は宿泊部門の名称で、敷地には酪農を手掛ける農業部門があり、野外・環境教育の拠点があり、幼稚園もある。全体はKEEP(Kiyosato Educational Experiment Project)という名称。ドライブの途中で立ち寄る、美味しいソフトクリームの場所として有名ですが、実は社会教育の実験空間です。

元々はポール・ラッシュという人が、戦前から立教大学の学生さんたちと通い、キャンプを通じてリーダーシップを学び合っていた場所。

戦争で一度アメリカに戻り終戦後に清里を再訪した彼は、地域の人々の暮らしの困窮を目の当たりにし、標高の高い高冷地でも可能な農業や営み、そして青少年の教育をテーマに「KEEP」というプロジェクトを立ち上げ、GHQや山梨県と交渉して形づくられてきた。そんな不思議な来歴を持つ場所です。

夏休みに滞在すると、食堂で隣り合わせた20名ほどの小学生のグループが養老孟司さんの昆虫観察合宿だったこともあった。自然教育、環境教育の現場でもある。

私はワークショップやフォーラムの仕事で通う機会が多く、あとリビングワールド(デザイン事務所)の仕事で、妻と一緒に建設プロジェクトのスキームマークやパンフレット制作を手がけた関係があります。

(2004-05)

清泉寮で開催されたある研修で、自殺防止センターを創設した西原由記子さんと出会いました。思い出の場所。季節をかえて西原さんとすごした「ハンターホール」を借りて、5日間をすごします。

親子何代にもわたって幼い頃から通ってきた人が少なくない場所。ここで暖炉に薪をくべながら、年末年始をすごすのを楽しみにしている家族が多い。それもあって12月末はハイシーズンなのだけど、賑やかなまちをしばらく離れ、標高1,400mの静かな世界でよく冷えた空気を吸いながらすごす時間のよさがあります。

Photo: Mai

食事はバイキング。レストラン部門の立ち上げには四谷の「オテル・ドゥ・ミクニ」もかかわっていて、デザートを含み料理が美味しい。何泊もすると結構ヤバい。露天のある大浴場も快適です。

*以上「清泉寮について」部分は以前書いたテキストに加筆しました
*「インタビューのワークショップ」については soar の記事「『きく』は、その人と一緒にする“小さな冒険”」(2023年3月22日)もご覧ください。よくきいて、書いてくれました(ありがとう>池田さん、工藤さん)