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世界5大ウイスキーとは?その特徴も解説

近年はジャパニーズウイスキーブームで原酒不足が騒がれています。そんなジャパニーズウイスキーも世界では5大ウイスキーの1つに挙げられ、世界各地で親しまれています。今回は世界5大ウイスキーについて解説していきたいと思います。

世界5大ウイスキーとは

世界的なウイスキーの産地としてはスコットランド、アイルランド、日本、アメリカ、カナダの5カ国です。それぞれスコッチウイスキー、アイリッシュウイスキー、ジャパニーズウイスキー、アメリカンウイスキー、カナディアンウイスキーと呼ばれ「世界5大ウイスキー」と呼ばれています。
それぞれがそれぞれの風土や水に合わせた製法を生み出して、世界中のウイスキーファンを魅了し続けています。

スコッチウイスキーの歴史と特徴

“ウイスキーの元祖”とも言われ、古い歴史を持つアイリッシュウイスキー。
ウイスキーに関する文献によると15世紀頃にはウイスキー造りが行われていたようです。一方で12世紀頃にはアイルランドから伝来したとも言われていて、どちらが発祥かという論争は今も続いています。19世紀になって、大量生産に向いた連続式蒸溜機の発明や、飲みやすいブレンデッドウイスキーの開発などによって世界中に広がりました。
スコッチウイスキーを名乗るには
・スコットランドの蒸留所で製造されている
・原料は大麦麦芽などの穀物、水、酵母のみを使用する
・アルコール度数94.8度以下で蒸留する
・容量700L以下のオーク樽で、3年以上熟成が必要
・瓶詰時のアルコール度数は40度以上
・添加物は水とカラメルのみ
という厳しい条件があり、これにより品質も保たれています。
スコッチウイスキーの特徴はピート香と呼ばれるスモーキーな香りです。ピートとは野草や水性植物が炭化した泥炭のことで、醸造過程でこの香りがウイスキーに移ります。ただスコッチウイスキーすべてに当てはまるわけではありません。

アイリッシュウイスキーの歴史と特徴

一説によると12世紀頃にはウイスキー造りは始まっていたと伝えられていますが、確たる証拠はありません。18世紀に入ると世界一の生産量を誇っていましたが、2度の世界大戦、独立戦争により一時衰退してしまいます。
アイリッシュウイスキーもスコッチウイスキー同様
・穀物類を原料とする
・麦芽の酵素にて糖化、酵母の働きで発酵させる
・蒸留液はアルコール度数94.8%以下に抑える
・木樽で3年以上熟成させる
・アイルランド、もしくは北アイルランドの倉庫にて熟成を行う
という条件が定められています。
その他に、モルト(大麦麦芽)と未発芽麦芽、その他の穀物を加え、大きなポットスチル(単式蒸溜器)で3回蒸溜して造るのが基本です。それにより雑味が少なく穏やかで滑らかな味わいをしているのが特徴と言えます。

ジャパニーズウイスキーの歴史と特徴

ジャパニーズウイスキーの歴史は、ウイスキー造りを学びにスコットランドに留学した竹鶴政孝と、サントリーの創業者である鳥居信治郎氏によりつくられたと言っても過言ではありません。
1929年にこの2人により造られたウイスキーがサントリーウイスキーでした。ジャパニーズウイスキーにも基準が設けられており、
・原材料は麦芽、穀類、日本国内で採取された水に限ること。
・麦芽は必ず使用すること。
・糖化、発酵、蒸留は日本国内で行うこと。
・700リットル以下の木樽で、3年以上、日本国内において貯蔵すること。
・日本国内で容器詰めすること。
があります。ジャパニーズウイスキーはスコッチウイスキーをお手本としたことから、似たような特徴を持ち合わせていますが、日本人の味覚に合わせより軽やかな味わいをしています。その品質の高さから世界でも注目を浴びています。

アメリカンウイスキーの歴史と特徴

アメリカンウイスキーは1622年にトウモロコシを原料に造られたのが始まりと言われています。ただ熟成もしておらず、美味しくなかったことから香辛料やハーブを混ぜるようになり、現在の多種多様なウイスキーが造られるきっかけにもなりました。代表的なものでは「バーボンウイスキー」「コーンウイスキー」「モルトウイスキー」「ライウイスキー」「ウィートウイスキー」「テネシーウイスキー」などが挙げられます。それぞれにそのウイスキーを造る際の基準が設けられています。
アメリカンウイスキーは自由の国アメリカらしい多種多様なウイスキーが楽しめます。

カナディアンウイスキーの歴史と特徴

カナディアンウイスキーは1775年アメリカの独立戦争の際に独立に反対した人たちがカナダに移住して穀物を作り、ウイスキーも造られました。アメリカの禁酒法時代には多くのカナディアンウイスキーが密輸されていたようです。カナディアンウイスキーにも基準が設けられており
・穀物を原料に、麦芽などで糖化、酵母などで発酵し、蒸留したもの。
・700リットル以下の木樽で3年以上熟成させること。
・アルコール度数40%以上で瓶詰めすること。
・糖化・蒸溜・熟成はカナダ国内で行うこと。
・カラメルまたはフレーバリングを添加してもよい。
というものがあります。1番の特徴は「カラメルまたはフレーバリングを添加してもよい」ということ。フレーバリングとはウイスキー以外の風味付けのためのお酒(スピリッツ、ワイン、ブランデーなど)を指します。他の産地ではウイスキーの風味が大きく変化してしまうという観点から、フレーバリングは色味をつけるカラメルのみとしていますが、カナディアンウイスキーは9.09%までは許可されています。これにより風味豊かなウイスキー造りが可能となっています。