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オンラインで初開催した "Learn by Creation NAGANO" を振り返る - WEEK2

2021年1月に3週末・6日間にわたり開催したイベント"Learn by Creation NAGANO"。「地域を越える」をテーマにしたWEEK1に続き、WEEK2のテーマは、「立場を越える」。こちらも簡単に振り返りってみます。

WEEK2のオープニングセッションは、日本が誇る世界的建築家の伊東豊雄さんを筆頭に、さまざまな領域の第一線で活躍するゲストによるクロストーク。ゲストの共通項は、長野出身だったり、子ども時代を長野で過ごしていたりと、長野に深い縁があるということ。不確実な状況の中でいま改めて問われている「興味」「好奇心」。それに突き動かされる自分に生じる多様性、創造性についてそれぞれの専門的な知見や体験から意見が交わされました。あっという間の90分でした。

まじる長野、学ぶ長野 
伊東 豊雄(建築家)、小川 さやか(文化人類学者)、ドミニク·チェン(IT起業家·情報学研究者)、千々和 淳(一般社団法人 Learn by Creation 理事)

POINT
• 予測不可能なものを制御しようとスキルを積み上げていくのではなく、いろいろな⼈との交わりの中で、⾃分以上の⾃分が⽣まれる考え⽅もある。
• ⾃分であることから離れるということを肯定する。他者に流されてみたり、他者の意⾒をそのまま採り⼊れてみて、⾃分の創造性がひらかれる。
• 予測不可能な状況の中で好奇⼼を持って学び続けるには、個⼈の中にある多様性を互いに引き出せるような関係が必要となるのではないか。

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次のセッションも「学びと自治」を象徴するようなお話が聞けました。上田市で20年続いている地域通貨団体「蚕都くらぶ・ま〜ゆ」。自分たちの手でお金をつくるというプロセスで、何に気づいたのか。地域の豊かなつながりの中で育まれる「学び」と、その先にある「自治」のひとつの姿が見えてくるようなセッションでした。

20年続く地域通貨コミュニティが自治(つく)り続けること
坂倉 杏介(東京都市大学都市生活学部准教授)、孟 晗(『もうひとつの明日へ』映画監督·千葉大学大学院·博士後期課程)、安井 啓子(蚕都くらぶ·ま~ゆ代表)

POINT
• 地域通貨ま〜ゆは、購買や交換の仕組みではなく、⾝の回りの宝物を⾒つける、またそれが巡り巡っているということを、みんなで確認するためのもの。
• 20年続くこの仕組みは、地域通貨の仕組みが続いているというよりも、⾊々な⼈の参加や出会い、そこで⽣まれる様々なプロジェクトが続いている。
• “⾃治“について。暮らしの中で、⾃分で判断し、⾃分で決める場所が沢⼭あることがとても⼤事なこと。

お次は、いつから遊びと学びは分かれるのか?遊びと学びの違いとは? やまほいくを実践する森のようちえん園長、小中学校を担う教育長、地域との連携で新たな価値の創造に取り組む高校教員、探究学習を実践する市川力さんによるディスカッションです。

学齢·学校を超えて一貫した学びと遊び 理想と課題 
松下 妙子(NPO法人ふじみ子育てネットワーク代表)、小林 雅彦(須坂市教育長)、國松 秋穂(飯田OIDE長姫高校商業科教諭)、市川 力(一般社団法人みつかる+わかる代表理事)

POINT
• 学校へ上がったときのギャップの問題は、⼤⼈が⼦どもと新たな枠をつくったり、更新したりできるようになることを共に学ぶことで乗り越えられるのでは。
• 幼児教育から学校教育が学ぶべきことは、⼦どもたちの背中を押し、先頭に⽴つ指導者ではなくファシリテーターとして⾒守る⼒。
• 幼児であっても⾼校⽣であっても学びに必要なのは、第3の場所や、教員や保護者以外の⼤⼈たちとの関わり

次のテーマは、コミュニティスクール。長野県内で実践されてきた等身大の取り組み事例が紹介されました。

コミュニティスクールの可能性〜地域と学校で自由な学びをつくる〜
前川 浩一(文科省総合教育政策局CSマイスター·美麻小中学校地域学校協働コーディネーター)、元田 和行(小布施学園コミュニティスクール委員)、小P野 伸二(学校運営協議会会長)ほか

POINT
• ⼩布施でのコミュニティスクールの始まりは、先⽣と⼦どものものだけではない「地域の学校」、「学校を中⼼としたまちづくり」を⽬的としてつくられた。
• 特産物の産業化など、地域の⼈たちが当事者となりつつ、⼦どもたちもその⼀員として学び、先⽣たちも共に学ぶ。結果として、先⽣たちと地域との間に深い信頼関係が出来上がる。
• より多くの地域の⼤⼈たちが関わることで⼦どもたちは⾃信を持つようになり、地域も活性化する。

さて、次はとてもLearn by Creationらしいセッション。大学生から教育委員会、お笑い芸人まで、まさに「立場を越え」てごちゃまぜに混じり合い、自らの偏愛を共有するという内容でした。

集え!!偏人たち 
篠原 七彩(大学生)、郷 進太郎(バックパッカー)、ゆでたかの(芸人)、宮田 浩司(飯田市教育委員会)、吉川 みのり(株式会社シソーラス)

POINT 
• ⾃分が当たり前と思っていた何気ない地域の暮らしや⽂化が、他の⼈から⾒ると、経験し難いものであったりする。
• 百聞は⼀⾒に如かず。ニュースで報道されている事と、旅に⾏って感じる事は違う。ニュースなどの⼆次情報で判断するのではなく、実際に⾒ること。
• 江⼾時代はこんなに⾝近なものであった“性“が、なぜ現代ではタブー視されているんだろうって⾼校⽣の時から違和感を持って、知らない間に春画の世界に⾜を突っ込んでいた。疑問や問いを持ち続けることの⼤切さ

WEEK2最後は、「学びの空間」というまた少し違った視点からのディスカッション。社会とつながりを持ちながら学ぶ探究型授業、プロジェクト形学習(PBL)、体験学習など、これからの学びとそれを支える空間について、様々な視点でお話をいただいたパネルディスカッションでした。

個別化、協働や共創を促す学びの空間と環境
 
荒木 貴之(ドルトン東京学園 校長)、森 いづみ(県立長野図書館 館長)、丑田 俊輔(ハバタク株式会社 代表取締役)、栗林 梨恵(インターナショナルスクールオブ長野代表)

POINT
• めざす学びの場は寺⼦屋のイメージ。地域の⼈、専⾨家、保護者など、いろいろな⼈が出⼊りし、混ざり合う場。
• これまでの「静かに本を読む」図書館から、学びの糧となる資料やワクワクを引き出す仕掛けや⼈と⼈の関わり合いが組み込まれた、「共知、共創」の場へ。
• 学校の統廃合の際、住⺠参加型で新しい学校づくりとして「越える学校」というコンセプトが⽣まれた。図書室などを地域とシェアし、年齢に関係なく学び続けられる環境を作った。これから学校と地域がお互いにどう連携していくのか楽しみ。


今回ご紹介したほとんどのセッションはYouTubeにて録画を公開しています。ぜひご覧ください。
Learn by Creation NAGANO 公式YouTubeチャンネル



\ 今年もオンラインイベントを開催します! /


● 日時 : 2021年12月18日(土)・19日(日) 9:00~19:00


● 場所 : オンライン配信(Zoom Webinar / Zoom Meetingsを使用予定 )


● 対象 : 長野県や国内外の多様な学びに関心のあるすべての人


● テーマ : 「違いを味わう」



【プログラム内容】


18日(土) "みつかる土曜日"


・ 見えない違いから始まるインクルーシブ教育


・ 森のようちえんと魅力的な幼保小のつながり


・ 学びの改革に取り組む実践高校における主体的な学び


・ オンライン参加型対話セッション ラーニングバディ 他

19日(日) "つながる日曜日"


・ 「次世代を担う若者たちが目指す”新しい学び”とは?」公開企画カイギ


・ LXC NAGANO実行委員による「多様な学びの場」ライトニングトーク


・ 学校空間DIYプロジェクトの実践報告


・ オンライン参加型対話セッション ラーニングバディ 他



※ 順次追加予定。現時点での仮タイトルであり、変更する可能性がございます。
お申し込みはこちらから!


Learn by Creation NAGANO 公式サイトでもイベント詳細をご確認いただけます。


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