地方自治体の持続可能性分析レポートについて #3

リュディアです。引き続き地方自治体の持続可能性分析レポートについてまとめていきます。元データは次の人口戦略会議のページにあります。

今回はブラックホール型自治体を見てみます。封鎖人口で見ると減少率が大きいのですが、移動仮定で他の地方自治体から若年女性を吸い込む、つまりブラックホールのように若年女性を吸い込む自治体として名付けられたそうです。25自治体、全体の1.4%です。グレーのBの部分がブラックホール型自治体を示しています。ほとんどどこにあるのかわからないですね。

元データの表から抽出して都道府県名を追加した表を用意したので見てみましょう。ブラックホール型にはB1, B2の2つの型があります。B1は封鎖人口減少率が50%以上、移動仮定人口減少率が25%未満の地方自治体です。B2は封鎖人口減少率が50%以上、移動仮定人口減少率が25~50%未満の地方自治体です。いずれも封鎖人口減少率は50%以上なのですが、移動仮定人口減少率が小さいということです。ではB1に該当する地域から見てみましょう。東京23区のうち16区が含まれています。東京がいかに多数の若年女性を吸い込んでいるかがわかります。実際、大阪に住んでいる私から見ても、大学進学や就職で東京圏に移動して再度大阪に戻ってくる人はほぼいない、という感触です。東京以外に千葉、埼玉の地方自治体は含まれていますが、神奈川県の地方自治体は含まれていないので驚きました。

次にB2に該当する地域を見てみましょう。北海道の2つの地方自治体が目を引きます。占冠村はトマムを中心としたリゾート施設の影響で人口増加率が高い自治体として有名ですね。他には近畿の京都市、大阪市も入っています。京都市、大阪市も東京への人口流出が問題になっていますが、その分を近隣の地方自治体から吸い上げているような構図なのかもしれません。

今回のブラックホール型自治体については考えさせられるものがありました。単に自分たちの住んでいるエリアだけが維持できればよい、ということであれば問題ないです。しかし実際には周辺自治体があってこそ、農産物や海産物が確保できていることも事実です。日本は小さな本土に対して、北から南に長いため国内での寒暖差が大きく、海に囲まれており、雨が多い、という人類が生活する上で豊かになるための自然環境が整っている珍しい国です。国全体として人口が減少している中で東京への一極集中は本当に何とかしないと国内での人口の取り合いが発生することになります。

男女含め、若い人は東京にはたくさんの大学がある、たくさんの働き口があるからという理由で関東圏に移動し、若い人がたくさんいるから企業も関東圏に集中するという状態が続いています。災害リスクの話もありますが、国全体のことを考えるとすべての地方自治体を維持させるのは難しいとしても、いくつかに分散するような方策を国が行うべきではないでしょうか。

では、ごきげんよう。

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