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スピッツ歌詞考察(第29回)惑星のかけら


【基本情報】

惑星のかけら
作詞:草野正宗 作曲:草野正宗 編曲:スピッツ
5分26秒

<リリース日>
1992年8月26日(4thシングル)

<収録アルバム>
惑星のかけら(1992年9月26日リリース 3rdオリジナルアルバム)
CYCLE HIT 1991-1997 Spitz Complete Single Collection(2006年3月25日リリース)

<備考>
「惑星」と書いて「ほし」と読む。

【MUSIC VIDEO】

【歌詞】

知らないふりをしていたんだ 君の夢を覗いたのさ
二つめの枕でクジラの背中にワープだ!
ベチャベチャのケーキの海で 平和な午後の悪ふざけ
はかなげな笑顔で つま先から溶けそうだよ

骨の髄まで愛してよ 惑星のかけら
骨の髄まで愛してよ 僕に傷ついてよ

君から盗んだスカート 鏡の前で苦笑い
オーロラのダンスで素敵に寒いひとときを
いつでも心は卵だ 割れないように気をつけて
綿毛に守られて 二人は変わらず元気だね

骨の髄まで愛してよ 惑星のかけら
骨の髄まで愛してよ 僕に傷ついてよ

誰かがベルを鳴らす
そうだよ 解かるだろ?

骨の髄まで愛してよ 惑星のかけら
骨の髄まで愛してよ 謎のかけら
骨の髄まで愛してよ 惑星のかけら
骨の髄まで愛してよ 僕に傷ついてよ

惑星のかけら(作詞:草野正宗)

【考察】

知らないふりをしていたんだ 君の夢を覗いたのさ
二つめの枕でクジラの背中にワープだ!

「夢」には、将来の目標の意味の夢と、眠っているときに見る夢の二種類があります。
前者だとした場合は、「“君”の将来の夢が書かれた日記を覗き見したけど、知らないふりをしていた」となりますが、ファンタジックな歌詞であるため、後者である可能性も考えられます。
となると、本当に“君”の夢を見たのでしょうか?

実際は、超能力者でもない限りできません。
“僕”は“君”が眠っているときに見た夢を、あたかも覗き込んでいたかのようにふざけて話しています。
“君”もその妄想話を聞ききながら、楽しんでいます。
「ずっと黙っていたんだけど、実は昨日“君”が見た夢を覗き込んだよ。どんな夢だったかって?…じゃあクジラの背中にワープして見てみよう!」などと言いながら、もう一つのクッションのほうに飛び移ったりして戯れている様子です。

ベチャベチャのケーキの海で 平和な午後の悪ふざけ
はかなげな笑顔で つま先から溶けそうだよ

「ケーキの海」は、白いシーツのベッドをさします。
行為が終わったあとで、ベチャベチャになりました。
“君”のどこか儚げな笑顔に、“僕”はもう全身メロメロになっています。
 
骨の髄まで愛してよ 惑星のかけら
骨の髄まで愛してよ 僕に傷ついてよ

「惑星(ほし)のかけら」は、文脈から推察するに「“君”の心」といったところでしょうか。
「僕に傷ついてよ」という表現は草野正宗氏の変態性を感じずにはいられませんが、ここは「“僕”のことをしっかりと“君”の心に刻み込んでよ」という意味でしょう。

君から盗んだスカート 鏡の前で苦笑い
オーロラのダンスで素敵に寒いひとときを

ベッドの近くに脱ぎ捨てた“君”のスカートを奪い、鏡の前で合わせてみたけれど、あまりにも自分には似合わな過ぎて苦笑いをしています。
「オーロラのダンス」は、抱き合いながらゆらゆらと揺れている様子でしょう。
「素敵に寒いひととき」は、少し寒い部屋だけど、二人が裸でいることをあらわしています。

いつでも心は卵だ 割れないように気をつけて
綿毛に守られて 二人は変わらず元気だね

心はいつでも卵のように割れやすいので、割れないように気をつけて育んでいきたい。
そして二人はベッドの中で変わらず元気に愛を育む。

骨の髄まで愛してよ 惑星のかけら
骨の髄まで愛してよ 僕に傷ついてよ

骨の髄まで“僕”を愛してよ。
“僕”のことをしっかりと“君”の心に刻み込んでよ。

誰かがベルを鳴らす
そうだよ 解かるだろ?

「ベルを鳴らす」は、急かされている様子です。
「誰かが」とありますが、ここには“僕”と“君”以外登場しません。
“僕”が「解かるだろ?」と“君”に話しているので、急かしているのは“僕”ではないでしょうか。

そして「ベル」=「ウェディングベル」だとすると、「誰かが結婚式を挙げている姿を想像している。
それが誰だか、“君”にも解かるだろ?」というよに話しかけていることになります。

骨の髄まで愛してよ 惑星のかけら
骨の髄まで愛してよ 謎のかけら
骨の髄まで愛してよ 惑星のかけら
骨の髄まで愛してよ 僕に傷ついてよ

「謎のかけら」は、まだわからない部分があることをあらわしています。
求婚したけど、“君”の気持ちを聞いていません。
だからまだ「謎のかけら」があるのです。
骨の髄まで“僕”を愛してよ。
“僕”のことをしっかりと“君”の心に刻み込んでよ。

前回の「プール」に引き続き、ベッド上での出来事で、「性」がテーマの曲でした。

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