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スピッツ歌詞考察(第48回)みなと


【基本情報】

みなと
作詞:草野正宗 作曲:草野正宗 編曲:スピッツ&亀田誠治
4分30秒

<リリース日>
2016年4月27日(41stシングル)

<収録アルバム>
醒めない(2016年7月27日リリース 15thオリジナルアルバム)
CYCLE HIT 2006-2017 Spitz Complete Single Collection(2017年7月5日リリース)

<タイアップ>
『NTT東日本』CMソング(2016年)
フジテレビ木曜劇場『silent』挿入歌(2022年)

【MUSIC VIDEO】

【歌詞】

船に乗るわけじゃなく だけど僕は港にいる
知らない人だらけの隙間で 立ち止まる
遠くに旅立った君に 届けたい言葉集めて
縫い合わせてできた歌ひとつ 携えて

汚れてる野良猫にも いつしか優しくなるユニバース
黄昏にあの日二人で 眺めた謎の光思い出す
君ともう一度会うために作った歌さ
今日も歌う 錆びた港で

勇気が出ない時もあり そして僕は港にいる
消えそうな綿雲の意味を 考える
遠くに旅立った君の 証拠も徐々にぼやけ始めて
目を閉じてゼロから百まで やり直す

すれ違う微笑たち 己もああなれると信じてた
朝焼けがちゃちな二人を染めてた あくびして走り出す
君ともう一度会うための大事な歌さ
今日も歌う 一人港で

汚れてる野良猫にも いつしか優しくなるユニバース
黄昏にあの日二人で 眺めた謎の光思い出す
君ともう一度会うために作った歌さ
今日も歌う 錆びた港で 港で 港で

みなと(歌詞:草野正宗)

【考察】

船に乗るわけじゃなく だけど僕は港にいる
知らない人だらけの隙間で 立ち止まる

旅や冒険をするわけでもないけれど、行き交う人々の中に紛れて立ち止まり、“僕”は港にいる。

遠くに旅立った君に 届けたい言葉集めて
縫い合わせてできた歌ひとつ 携えて
遠くに旅立った“君”のことを想い、届けたい言葉を集めては縫い合わせるようにしてできた歌を一曲携えて。

汚れてる野良猫にも いつしか優しくなるユニバース
黄昏にあの日二人で 眺めた謎の光思い出す
汚れた野良猫に対しても、優しい気持ちになれるような世界を目指したい。
あの日二人で夕暮れ時に眺めた謎の光を思い出している。

君ともう一度会うために作った歌さ
今日も歌う 錆びた港で
“君”ともう一度会うために作った歌さ。
今日も錆びた港で歌っている。

勇気が出ない時もあり そして僕は港にいる
消えそうな綿雲の意味を 考える
勇気が出ない時もあり、そして“僕”は相変わらず港にいる。
消えそうな綿雲を眺めて、物思いにふけっている。

遠くに旅立った君の 証拠も徐々にぼやけ始めて
目を閉じてゼロから百まで やり直す
遠くに旅立った“君”の記憶も徐々にぼやけ始めたので、目を閉じてあれやこれやと思い返す。

すれ違う微笑たち 己もああなれると信じてた
朝焼けがちゃちな二人を染めてた あくびして走り出す
すれ違う人たちの微笑を見て、自分も同じようにいられると思っていた。
朝焼けが未熟な二人を染めていた。
あくびして、次へと動き出す。

君ともう一度会うための大事な歌さ
今日も歌う 一人港で
“君”ともう一度会うたの大事な歌さ。
今日も一人で港で歌っている。

汚れてる野良猫にも いつしか優しくなるユニバース
黄昏にあの日二人で 眺めた謎の光思い出す
君ともう一度会うために作った歌さ
今日も歌う 錆びた港で 港で 港で
汚れた野良猫に対しても優しい気持ちになれるような世界を目指したい。
あの日二人で夕暮れ時に眺めた謎の光を思い出している。
“君”ともう一度会うために作った歌さ。
今日も錆びた港で歌っている。

歌詞をそのままの意味でとらえると、“僕”は遠くへ旅立って行った“君”が帰ってくることを願い、いつも錆びた港で“君”に聴かせるために作った歌を歌っているという物語です。
ではこれを、次のように置き換えて考察してみましょう。

「僕=スピッツ」
「君=ファン」
「港=スタジオ」

船に乗るわけじゃなく だけど僕は港にいる
知らない人だらけの隙間で 立ち止まる
次の新しいステージへと旅立つわけでもないけど、スピッツはいつものスタジオにいる。

遠くに旅立った君に 届けたい言葉集めて
縫い合わせてできた歌ひとつ 携えて
ライブが終わり、今はもう家路に着いたファンに向けて、新しく届けたい詞と音を縫い合わせて完成した歌を一曲携えて。

汚れてる野良猫にも いつしか優しくなるユニバース
黄昏にあの日二人で 眺めた謎の光思い出す
汚れた野良猫に対しても優しい気持ちになれるような世界を目指したい。
あの日、夕暮れ時にファンと一緒に眺めた光景を思い出しながら。

君ともう一度会うために作った歌さ
今日も歌う 錆びた港で
ファンともう一度会うために作った歌さ。
今日もいつものスタジオで歌っている。

勇気が出ない時もあり そして僕は港にいる
消えそうな綿雲の意味を 考える
意欲が湧かない時でも、やっぱりスピッツはスタジオにいる。
消えそうなアイデアを手繰り寄せては、新しいフレーズを考える。

遠くに旅立った君の 証拠も徐々にぼやけ始めて
目を閉じてゼロから百まで やり直す
ファンと過ごしたライブの記憶も徐々にぼやけ始めた。
そういう時は目を閉じて、気持ちをリセットしてから作り直す。

すれ違う微笑たち 己もああなれると信じてた
朝焼けがちゃちな二人を染めてた あくびして走り出す
ライブであちらこちらから笑顔が見えた。
自分も笑顔になれると信じてた。
翌朝、心地よい朝焼けが貧弱な僕らを染める。
あくびして、次へと動き出す。

君ともう一度会うための大事な歌さ
今日も歌う 一人港で
ファンともう一度会うための大事な歌さ。
今日も一人、スタジオで歌っている。

汚れてる野良猫にも いつしか優しくなるユニバース
黄昏にあの日二人で 眺めた謎の光思い出す
君ともう一度会うために作った歌さ
今日も歌う 錆びた港で 港で 港で
汚れた野良猫に対しても優しい気持ちになれるような世界を目指したい。
あの日、夕暮れ時にライブ会場で眺めた光景を思い出しながら。
ファンともう一度会うために作った歌さ。
今日もいつものスタジオで歌っている。

このように、新しい歌を作って届けたいというメッセージソングになります。
よって、テーマとしては「生」でしょう。

君に聴かせるためだけに歌を作ったので、忙しけりゃ忘れてもいいから、気が向いたらならまたここで会おうと言っているような感じがしますね。
(ん? どっかで聴いたフレーズだな…)

また、歌詞は漢字で「港」ですが、タイトルが平仮名になっているのは、スピッツの歌はファンの「皆と」作り上げているという意味が込められているからかもしれません。
信じるか信じないかは、あなた次第です!

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