イスラエルとハマスの停戦交渉について。

 昨年10月7日、イスラエルはハマスによる南部への攻撃で約1200人が殺害され、253人が人質に取られた。同国はイスラム組織ハマス壊滅を掲げてガザで軍事行動を開始し、それ以来34480人以上が殺害されたと同組織が運営するガザ保健当局が報告している。
 2024年4月27日、米国のニュースサイトのアクシオスは、イスラエルがパレスチナ自治区ガザでの戦闘休止などを巡る間接的な交渉で、人質解放後に恒久停戦を議論する用意があるとハマスに初めて提案したと報道した。
 これに対し、同国のカッツ外相は協議が合意に至れば、ガザ最南部ラファへの侵攻計画を停止するだろうと述べた。ハマスは同日、イスラエルの提案について検討した上で回答するとの声明を出した。
 現在、カタールやエジプト、米国を仲介役とする間接交渉が続いている。これまでハマスは恒久停戦とイスラエル軍のガザからの完全撤収を要求してきたが、イスラエルは応じてこなかった。
 今回の提案には、ガザ北部への避難民の帰還やガザを南北に分断している道路からの軍撤退など、ハマスの要求が含まれている。そして、イスラエル当局者は大幅に譲歩する意思を含む提案だと語った。
 ロイター通信は28日、ハマス代表団が29日に交渉のためにエジプトの首都カイロを訪問すると報じた。カタールのアンサーリ外務省報道官はイスラエル紙ハーレツのインタビューで、合意に近づいているが、双方から妨害があると述べた。
 28日米国のバイデン大統領とイスラエルのネタニヤフ首相が電話で協議し、人質解放と停戦の話が焦点になったとされる。またパレスチナ自治政府のアッバス議長も、ガザ南部のラファへの攻撃を防ぐことができるのは米国だけだと述べた。
 29~30日に湾岸諸国の閣僚らとガザ情勢を協議するブリンケン米国務長官は、ハマスとエジプト、カタールによる協議が進む中、29日訪問先のサウジアラビアで交渉に関し、ハマスは極めて寛大な提案を受け取ったと述べ、早期に合意を決断するよう圧力をかけた。
 同日、イスラム組織ハマスはイスラエルの新しい提案について、仲介役のエジプト、カタールと協議を行った。現在の提案は人質の解放と引き換えに、40日間の停戦と、避難しているガザ住民の北部への帰還を認める内容とされるが、恒久的な停戦という要求に応えるため、平穏の回復に関する新しい文言も含まれている。
 エジプトのシュクリ外相は停戦に期待感を表明し、今回の交渉は双方の立場を考慮し、適切な合意点を探っており、すべての人がこの機会を捉えて前向きに対応することを望んでいると述べた。エジプト国営アルカヘラ・テレビによると、イスラエル側の提案を受けた同組織の代表団は、同日中にカイロを離れた。
 恒久停戦の準備は万全に整った。世界が固唾を飲んで成り行きを見守る中、イスラエル軍は攻撃を行った。ガザ保健省は5月1日、過去24時間で33人が死亡したと発表した。
 これに対して、国際連合のグテーレス事務総長は30日、イスラエルに影響力を持つすべての者が作戦阻止へ全力を尽くすよう訴えた。また世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長はラファへの全面侵攻は人道的な大惨事となるだろうと警告した。
 そして、ネタニヤフ首相は同日、パレスチナ自治区ガザで続く戦闘の休止合意の有無にかかわらず、ガザ最南部ラファに侵攻し、ハマスを壊滅すると述べた。そのため恒久停戦を求めるハマスの反発は必至になった。
 しかし、戦争の終結と平和の実現の絶好の機会である。

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