ネツァ・イェフダ大隊について。

 米国とイスラエルの関係でこの名が報道の注目を集めている。いきなり、そう言われても当惑するだろうから、同大隊の状況と、それが米国とイスラエルの間でどんな問題があるかについて記述する。
 2024年4月21日、イスラエルのネタニヤフ首相は、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸地区での人権侵害の疑惑を巡り、米国がイスラエル軍部隊に制裁を科す計画だとの報道を受けたところから始める。
 これに対して、同首相はいかなる制裁も拒否すると強調した。そして、国防軍(IDF)の部隊に制裁を科すことができるなどと考える者がいるなら、私は全力で闘うと述べたが、いかにもネタニヤフ氏らしい発言である。
 その前日に米国のニュースサイト「アクシオス」は、イスラエルが占領する同地区でのパレスチナ人に対する人権侵害疑惑で、米国はネツァ・イェフダ大隊への援助を削減すると報じた。
 IDFの同大隊は、1967年の第三次中東戦争でイスラエル軍が占領した当地区で、殺人や性的暴行や放火を繰り返すイスラエルの入植者の暴力から、パレスチナ人を守る任務を与えられている。それにも関わらず、彼らはこれらの犯罪の共犯で、時にこの部隊は自ら殺人や性的暴行などを行ってきた。
 彼らの占領地での狼藉は今更ではなく、人権侵害の疑惑は多数に上る。22年1月にパレスチナ系アメリカ人のオマル・アサド氏(80)が捜索中のイスラエル兵に縛られて猿ぐつわをされ、その後に死亡した事件も含まれる。
 米国は当時、この問題に関して徹底的な犯罪捜査と完全な説明責任を果たすよう求めた。
IDFは後に、アサド氏の死を遺憾に思うとし、ネツァ・イェフダ大隊の司令官をけん責処分にし、兵士3人については2年間、昇進を禁止するが、起訴はしないと付け加えた。そして、アサド氏は持病が原因で死亡したとした。
 アサド氏の遺族の多くは米国を拠点に生活しており、この決定を非難した。これらの侵害行為の疑惑は、パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスがイスラエルに侵入し攻撃を仕掛けた昨年10月7日よりも前に起きた事件で、米国とイスラエルの問題である。
 さらに言うと、IDFの部隊を米軍の支援から締め出す決定は、1997年に提唱された「レイヒー法」に基づいて行われる。同法は重大な人権侵害に関与する外国の軍隊に対してアメリカの資金援助や訓練が提供されるのを防ぐ狙いがある。
 BBCの報道によると、米政府の元高官はイスラエル・レイヒー審査フォーラムとして知られる米政府関係者のグループは昨年、ネツァ・イェフダ大隊を含むIDF部隊に対する少なくとも12件の申し立てについて調査を行ったと語った。
 米国の武器移転を監督する国務省政治軍事局の責任者だったポール氏は、「これらの勧告を国務長官に伝えようとしても、政治のレベルを一度も通過させられなかった」と話した。ポール氏は昨年11月、イスラエルへの武器移転をめぐる説明責任の欠如に抗議して辞職した。
 ポール氏が言及した勧告がその後、ブリンケン国務長官のもとにまで届いたのかどうか問われると、同氏は長官にまで届いたことを最近の報道が示唆していると述べた。それはブリンケン米国務長官が先週、IDFへの援助削減の可能性があるとの報道について質問された時、「私はすでに決めている。その内容は、数日中にわかるはずだ」と語ったことにあるかもしれない。

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