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黒龍薬研がいた場所

薬師寺で俺はただ1人だった

私が呪いで大ピンチの時に応じてやって来てくれた黒龍薬研はとても物理を理解している。
危険を察知したときにいち早く対応する必要がある時は物理的に知らせてくれるため、上手いこと物理を使って事務局や私に知らせるのだ。

自分のことを伝えるのも上手い。

『大将、俺がいたとこはここだ。』
ベースを某ゲームの薬研藤四郎に定めた彼はその影響を少なからず受けている。
黒龍薬研の名前を決めたとき【小さくて黒い戦う守護】というイメージから薬研藤四郎としたけれど、黒龍薬研はそれで間違いないというように自分は薬師寺にいたことを明かした。

まさかの【薬】繋がり。
ちょうど近くだったので黒龍薬研のいた薬師寺に妹と一緒に赴くことにした。
それはそれは素晴らしいところだった。

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とても綺麗に手入れされたお寺。
地元の方から信仰も厚いのか駐車場には車が数台。
日本庭園のようなお寺の中をゆっくりと散策しながら1番奥にある薬師堂を目指す。

階段を登っていると薬師如来さまの御真言を唱える声と多くの人の気配がした。

ふらっと空いた日に赴いたにも関わらず、その日はちょうど薬師如来さまのご縁日であり、境内には人がいて、部外者の私と妹は1番奥にある薬師堂の門から中に入れずにいた。
ちょっと待て待て、こんなの聞いてなーい。
どうしよう帰ろうか。

黒龍薬研はしたり顔で薬師堂の真上で待っている。

『中に入っていいよ、はい、どうぞ。』

お堂の前にいたおじさんに声をかけられてお堂の前の広場に招かれ、玉こんにゃくをもらって食べた。
そして、聞いてもいないのにお堂の周りを案内して、昔の話をしてくれる。

『ここは昔、川が流れていてね。耳に水が入っちゃった時にみんな穴の空いた石を探してきて納めるんだよ。そうするとね、良くなっちゃうんだ。』

そうか、昔は川があって、子供たちが遊びにくるような場所だったのか。
今はもうその名残しかないけれど。
黒龍薬研がよく物理を理解しているのも、私の声に応えたのも人との距離が近い場所にいたからかもしれない。

いい場所だろ、大将

黒龍薬研は私たちが来たときに自分がいた場所を伝えてくれる人をちゃっかり用意していた。
偶然を装って起こる必然。
私の世界ではよくそれが起きる。

『俺は長いこと一人でな。
声が聞こえたのも久しぶりだったんだ。
大将、よろしく頼む。』

玉こんと薬師如来さまの御真言の大合唱と昔語りをするおじさんに迎えられた薬師寺の訪問だった。
ちなみにここにはお堂の裏に薬師如来さまがいて、薬壺を給り、ご縁を結んでいる豊かさの女神である金山媛さまのエネルギーからは座敷わらしが新しく遣わされました。
座敷わらしくんのお話もまた別の機会に。

その後、私の居住地が東京、そして今は関西某所に移ったときも彼はしっかりとついてきて私の近侍を務めている。
最近はどんどんご縁が増えて、近侍のポストを護るために少しだけ気が立っているようだ。
それもまた私を楽しませる為のものだと思っている。

『大将、俺だ。
俺のグッズが出るらしい。
1つどうだ?』
そして、事務局や電子機器を通してのアピールも忘れていない。
それは君のグッズじゃなくて某ゲームキャラのグッズだ。
買わない。
買わないぞ、黒龍薬研。

彼はこんな私とのやり取りも楽しんでいる。


リアルな見えない世界の体験を綴ろうと思っています。自分が感じた感覚をそのままに。私の大切にしたい世界が伝わることを願って。見えない世界も大切にしたいと思う方はサポートしてくれると嬉しいです。