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春過ぎて夏! 〜女性天皇のうた〜

九條です。

蒸し暑い日が続いていますね。皆さま、いかがお過ごしでしょうか?

熱中症などには、くれぐれもお気をつけくださいね。

今日(2022年6月27日)は、関東・甲信地方、東海地方、九州南部で梅雨が明けたとのことです(速報値/気象庁発表)。いよいよ本格的な夏がやってきますね。

ということで、ここで皆さまに『万葉集』から夏らしい爽やかな歌を一首お届け致します。^_^

『万葉集』には、持統天皇じとうてんのう(男系の女性天皇/西暦645年~703年/在位:690年~697年)作と伝えられる、夏をうたった有名な歌があります。

【万葉集】
はるぎて
なつきたるらし
白妙しろたえ
ころもほしたり
あめ香来山かぐやま
(巻第一・二十八/持統天皇)

【原文】
はるすぎ  なつきたる  しろたへ  ころもほしたり  あめやま

【意味】
春が過ぎて夏がやって来たようですね。
天の香来山に真っ白な衣が干してありますよ。


よく晴れた夏の日の真っ青な空の下。あめ香久山かぐやまには神事に用いるための真っ白な衣が干してあります。

青い空。緑の香久山。そして白い衣。

青と緑と白の鮮やかな色彩が美しい、夏らしくて爽やかな歌ですね。その光景が目に浮かぶようです。

明るく色鮮やかで大らかな古代らしい雰囲気がよくあらわれている歌だなと思います。

この歌は鎌倉時代に少し改変されて『新古今和歌集』に収録されています。

【新古今和歌集】
はるぎて
なつにけらし
白たへしろたえ
ころも干すてふほすちょう
あめ香具山かぐやま

『万葉集』の「夏きたるらし」「衣ほしたり」が『新古今和歌集』では「夏来にけらし」「衣すちょう」に変えられていますね。

ちなみに、この『新古今和歌集』に収録されている歌はさらに『小倉百人一首』にも収録されています。


今日の大阪市内は、最高気温が31度と暑さは少しマシでしたが、湿度が高くてムシムシとした不快な1日でした。

大阪でも早く梅雨が明けて、カラッとした夏空のもとで気持ちよく洗濯物を干したいなと思う今日この頃です。

【参考資料】
◎鶴 久/森山 隆 編『萬葉集』桜楓社 1986年
◎佐々木信綱『新訂 新古今和歌集』岩波文庫 1959年

【おことわり】
私は『万葉集』が好きで、気分転換によく紐解くのですが(私は歴史学の人間で、国文学の人ではありませんので)とくに何かを調べたりしたわけでもなく、ただ単に歌を鑑賞してボンヤリと心に浮かんだことをこのような拙い文に致しました。解釈等に間違いがありましたら、どうかお許しください。

©2022 九條正博(Masahiro Kujoh)
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